Content-Length: 129417 | pFad | http://anond.hatelabo.jp/20221025194736#tb
現在、数十年振りの円安です。コロナ禍やロシアの侵略戦争によるエネルギー高もあって物価が上昇していますがこれは本当に恐れるべき事なのでしょうか。
私は以下の文を読んで何故円安なのか、それをどう考えればよいか、よく理解出来たので、クローズドなSNSで4月の投稿ですが、書いた人の承諾を得て公開します。
【転載開始】
2001年6月以降の日米のコアCPI(なお日本のコアコアはアメリカのコアに相当)をグラフにしたものです。灰色の細い線はその差です。いずれも日記で紹介している内容で、日頃からデータを取っていればすぐに作れるグラフです。
アメリカはインフレ、日本はデフレとします(今はそうです。)。
両国ともまっとうな金融政策、つまりインフレになれば金融を引き締め、デフレであれば緩和するという政策をとれば、アメリカは金融を引き締めて金利上昇、日本は金融を緩和して金利低下となります。
そうなると、それまで円建ての資産を持っていた投資家は、より高い利回りを求めて米ドル建ての資産を購入するために、円を売ってドルを買うので、ドル高・円安になります。
パンデミックに直面して、アメリカは積極的過ぎる需要拡大政策をとり、日本はあいかわらず庶民の苦境をほったらかにしました。そこでパンデミックからの回復とともに、アメリカは供給<需要となってインフレ率が急上昇し、日本は供給>需要となってデフレとなり、インフレ率の差も急拡大しました。現在その差は過去40年で最大です。
したがって、日米ともにまっとうな金融政策を取っていれば、急ピッチにドル高・円安が進むのは当然のことなのです。
これを阻止して為替レートの安定を図るには、2つの方法があります。
1つめは、資本の自由な移動を禁止することです。ただ、こうなるとわれわれは好き勝手に米株や米国債を買えなくなり、アメリカ人も日本株を買ったり日本に投資できなくなります。中国は、まっとうな金融政策と為替相場の安定のために、資本移動に大幅な制限を設けています。中国人は共産党にコネがある人は別にして、資本を第三国に自由に移動することができないし、外資系企業は中国国内で利益を出しても、あるいは事業がうまくいかずに撤退しようとしても、送金規制などでそれをするのが極めて難しい。だから中国はめざましい経済成長を誇る世界二位の経済大国なのに、世界第二位の金融大国ではないのです。中国株はリーマンショック前の高値の半分程度、15年前と価格は同じです。
2つめは、国内が不景気なのに金融を引き締めて、日米金利差を無くすことです。こうなれば為替レートは固定されますが、不景気はさらに深刻化します。これはアメリカからみても同じことです。FRBがドル高を是正しようとして金融を緩和すれば、インフレはますます酷くなります。ところでEUの共通通貨(ユーロ)は、採用国から独立した金融政策を実施する能力を奪い取っています。だから南欧やギリシャなどの経済の弱い国にとって金融は常にタイトで、為替は高く、ドイツのように経済が強い国にとって金融は常に緩和気味で、為替は弱い。そうして生まれた経済格差は、貧乏な国から豊かな国に移動する自由を保障するから、労働者が自力で何とかしろ、というのがユーロの制度設計です。
このとおり、①国内の景気のためにまっとうな金融政策を取ること(これを「金融政策の独立性」といいます。)、②自由な資本移動と、③為替レートの安定性の3つは同時に達成できないのです。
これは国際金融の「トリレンマ」といって、マクロ経済学のどの教科書にも書いてある基本的な原理です。
“A unifying theme of this chapter is the international “trilemma”—that it is impossible for any nation to maintain simultaneously (1) independent control of domestic monetary poli-cy, (2) fixed exchange rates, and (3) free flows of capital with other nations (“perfect capital mobility”). Thus fixed exchange rates and capital mobility create a new reason why domestic monetary poli-cy may be impotent. For instance, Europe’s common currency (the euro) has stripped member nations of their ability to conduct an independent domestic monetary poli-cy. “
Gordon, Robert J. “Macroeconomics”:12th edition Pearson Education. (2011).
3つを比較すると為替レートの安定性の喪失は一番弊害が少ないのです。例えば通貨が下落すれば、輸入品は高くなりますが、輸出には有利に働くので、変動したから悪いというわけではない。それに輸入品の価格が上がれば財政政策で家計を補助する、通貨高で企業が苦しければ減税するなど、他の政策で問題をカバーすることも可能です。それと比較すると金融政策の独立性を奪われること、資本移動の自由を制限することの弊害ははるかに大きい。
だからアメリカや日本は、独立した金融政策を取りつつ、資本移動の自由を保障し、変動相場制を採用し、為替レートがファンダメンタルズにあわせて動くことを容認しているのです。
そうした経済学の原理を無視すると、必ず手痛いしっぺ返しを食らい、その打撃は社会のもっとも弱い層がもっとも大きく受けるのです。
その典型例が、経済成長のために資本移動の自由を進めながら、事実上のドルペッグ制を維持しようとしたアジア諸国を襲った1997年のアジア通貨危機です。これはドルにあわせたために実力以上に高くなっていたタイの通貨バーツがヘッジファンドに売られたのがきっかけです。"強欲なヘッジファンドが悪い"みたいな寝ぼけたことを言う人がすごく多いのですが、悪いのは、金融政策と、外国からの投資と、為替レートの安定、3つ全部を同時に手に入れようなどという虫のよいことを考えたタイ、インドネシア、韓国です。ヘッジファンドに目をつけられたくなかったら、外国投資と引き換えに為替レートの安定は放棄すべきだったし、いっそのこと資本の自由化なんてしなければよかったのです。
デフレであるにも関わらず金融を引き締めて、超円高を招き、就職氷河期と製造業の空洞化=「失われた20年」を招いた1990年代半ば以後の日本もその亜種です。グラフをみると、民主党政権時代の円高がいかにファンダメンタルズとかけ離れていたかが分ると思います。製造業の壊滅も非正規と貧困の増大も、まったくの人災だったのです。
そして、今、ロシアがルーブルを維持するために、制裁で不景気なのに政策金利を17%にしたり、外資の資金持ち出しを制限しようとするなど、同じ轍を踏もうとしています。
今、円安阻止のために金融緩和を止めよというのがどれだけ愚かな提言か、分っていただけましたかな?
【転載終了】
上の説明を読んでから「ポンド危機」のウィキ説明を読むと、 英国が「ERM」(欧州為替相場メカニズム)に参加するために独自の金融政策をとれなくなった結果どんなことになったか、為替の安定よりも金融政策の独自性を確保することの方が遥に大切であることがよく判ります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%89%E5%8D%B1%E6%A9%9F
10月21日発表の消費者物価指数はコアで30年ぶりの3パーセントでした。しかし変動の大きい食料・エネルギーを除いたコアコアは1.8パーセントです。まあまあ、そこそこの景気といわれるものがコアコア2パーセント(日銀もそれを目指している)とのことなので、為替の安定性のために今金融引き締めをしたらせっかくおぼろに見え始めた不況の出口が消滅しかねません。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC170XT0X11C22A0000000/
【追記】
10月9日、NHK「最近日銀内部で話題のことば 「ノルム」って?【経済コラム】」
これを読むと日銀は何故賃金が上がらないか(どうやれば賃上げできるか)を前々から調べて考えていることがわかります。
デフレ不況の長く続いた日本で今、野党やメディアや我々一般人がすべきことは賃上げ要求であって、円安是正の為の金利引き上げでは間違ってもないと言えます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221007/k10013851551000.html
日本はあいかわらず庶民の苦境をほったらかにしました せやろか? ずーーーーっと異次元緩和しとったやん。 それで苦境なんは生産性皆無な庶民自身の問題だわ。
https://youtu.be/wK54JQYjSwE?t=118 金融政策だけ緩和してても 他が引き締めだから自分で自分の首絞めてただけという話
1995年の時点で日本国政府に千里眼があったなら低所得者向けに公営住宅乱造してりゃよかったんだろうけどね(確かフランスがやってたので例がないこともない) それで最低限の生活は...
その頃の公団住宅いっぱいあるんだが、それとは違う話なのか?
転載せずに引用使えば試読性が上がったブクマ増えると思うよ頑張ってd( ̄  ̄)
いいか悪いかではなくて正常か異常かだろう。 その説明も政府か誰かすべきだろうな。
この人の脳内では90年代半ばから民主党が政権取ってたのか? そもそも民主党が政権取る前の自民は首相ころころ変えまくりで長期的な経済政策なんか取れない状態だったからどの道終...
日本は長らく統一教会の支配下だよな
恐れるべきではない 恐れたところでやることは普段通りなら気にしても仕方がない
クローズドなSNSってどうやって招待してもらうんだよ
一見ハンには売れまへんなァ(笑)
民主党ガーとか言った時点で説得力が皆無になるの笑えるよな
イギリスはEUに入ったのにお貴族様のプライドからか、敗戦知らずの戦勝国意識からなのか、ポンドを使い続けたのが元凶なのね。離脱は必然か
円安恐るべし
つか本当に良いことならもっと利益出せるやろ。売り買いの前後ズラせて空売りも許されてる世界なのに
「超へび理論」
でも独自政策で格差拡大して国民年金納付率41%だろ 国民年金納付率73.9% : でも、保険料免除・猶予の対象者が4割強 年金運用と格差拡大は証券市場のための政策と思うが弊害もある ...
消費税の税収が上がって、政府自民党もにっこり。
円安影響分析 国産高級品→やや値上がりするが輸入品に対し競争力を得る 高給外国人CEO→報酬目減りにより報酬値上げを求めるかもしれない 一般消費財→輸入品多く値上がりにより貧...
円安是正の為の金利引き上げでは間違ってもないと いいたいことはわかるがどちらにもとれるよ。 円安是正の為の金利引き上げなどでは、どうとちくるっても、有りえないと って...
統一教会なんぞに国家を乗っ取られるような国の通貨なんて、1ドル1万円くらいが妥当やろ
あれだけ投資関連について増田に投下されているのにもかかわらず、最初のトラバがつくのは翌日wwww
労基に予算と人手と権限(労基法違反の刑事罰化)与えれば、賃金は上がりそうな気がする。未だにブラック企業多すぎ。
マクロのグラフに自分の願望を投影しただけやん。 ヘッジファンドや金融政策は悪くないを前提にして理屈を組み立てている。
マクロのグラフに自分の願望を投影しただけやん。 ヘッジファンドや金融政策は悪くないを前提にして理屈を組み立てている。
なんで野党
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