(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)など著作権保護団体42団体が加盟するデジタル時代の著作権協議会(CCD)は22日、シンポジウム“マルチメディア技術の現状と著作権問題”を開催した。シンポジウムでは、各分野の著作権権利者団体が管理している著作権情報を1つのサイトで提供することを目標に、文化庁などと共同で“J-CIS”と呼ばれるシステムを紹介。その概要やロードマップが、一般にはじめて公開された。
![]() | 文化庁からは、文化庁長官官房著作権課長の吉田大輔氏(写真)と、文化庁のJ-SIC構想の窓口となっている係長の塚本圭二氏が参加 |
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CCDは、'94年に設立されたマルチメディア問題に関する著作権連絡協議会(CCM)と、マルチメディア製作者連絡協議会(CMP)を土台に、昨年設立された団体。'95年よりこの2団体が文化庁と共同で進めていた、J-CIS構想に関する研究を引き継いだ。J-CISとは、Japan
Copyright Information Service Center:著作権権利情報集中機構の略。シンポジウムでは、CCD
J-CIS構想研究会の主査、藤井一孝氏(JASRAC常務理事)が活動報告を行なった。
![]() | J-CIS研究会主査の藤井一孝氏 |
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同グループが進める研究は、著作権情報の検索サービスを提供するというJ-CIS構想に基づくホームページの開設を目標としたもの。この検索システムを利用する場合、ユーザーはJ-CISのページで作品のタイトルなどの検索条件を入力。この検索要求は、J-CISの検索システムを経由し、各権利団体が運用している著作権情報データベースシステムに送られ検索が行なわれる。そして、検索の結果は、著作者情報、制作年といった項目と共に、J-CISのページに検索結果として表示するという。なお、検索の対象となるのは文字情報のみ。
システム開発の進捗状況について、藤井氏は言及。'99年度('99年4月~2000年3月)はCGIを用いた検索システムの開発を手掛けている段階という。今後は、2000年度中にシステム全体を完成させ、2001年に実証実験を実行。2002年の本格稼動を目指す。システム構築にかかる約1億円の費用は、文化庁および科学技術庁が負担する。
ホームページ立ち上げ後、情報検索サービスの利用は無料にするという案もあるが、2002年以降の運用経費(年間700万円程度)の負担先が決まっていないこともあり、これについては未定。システムの保守・運用体制も含めて、検討課題として残っている。
現時点で同システムに接続を名乗り出た権利団体は、音楽情報ネットワーク協議会*、(社)日本書籍出版協会、日本美術著作権機構の3団体のみ。このことに対し藤井氏は、「データベースを持たない権利団体も多い。こうした団体や個人の場合は、J-CISのデータベースに権利管理情報を登録すれば総合検索の対象になることができる。また、ホームページにリンクを張るだけでも参加を受け付ける」と語った。
*JASRAC、(社)日本レコード協会、(社)日本芸能実演家団体協議会で構成
なお同システムは当初、著作権権利情報の公開だけではなく、実際の権利処理機能も持たせる予定であった。このことに対しJ-CIS構想を担当する文化庁長官官房著作権係長の塚本圭二氏は「現段階では、そうしたシステムの開発は難しい。権利情報の提供に留まる見込み」と語った。
同団体では今後もこうしたシンポジウムを開催し、活動報告を行なう予定。
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