NECパーソナルコンピュータ(以下NECP)は27日、山形県米沢市にある同社製パソコンの製造・開発拠点「米沢事業場」を報道陣に公開。「かんばん方式」で無駄を省いた生産工程や、次世代のパソコンに採用されるかもしれない開発中の新技術、製品化されなかった幻のAndroid試作機などを披露した。
NECPはNECのコンシューマー向けパソコン事業を手がける企業で、ご承知の通りレノボ・ジャパンとの合弁会社「NEC レノボ・ジャパン」グループ傘下にある。今回公開された米沢事業場は、NECPのデスクトップ・ノートパソコンの製造を一手に引き受けると同時に、NEC本体に残されたビジネス向けパソコン(Mate、VersaPro)の製造も担当している。
米沢事業場は生産だけでなく、新パソコンの開発や将来のパソコンに使われる(かもしれない)技術の研究開発も行なわれている。技術開発から生産までを担う、まさにNECパソコンの心臓部にして生まれ故郷というわけだ。
今回の公開は、米沢事業場の生産現場の見学や改善への取り組みの紹介と、次代のパソコンに向けた技術開発の一端を公開という2本立てであった。まずは生産に関するポイントを紹介していこう。
元トヨタ幹部直伝
8倍の生産性を実現したNECPの生産方式
NECP米沢事業場では、2万種類におよぶパソコンの生産を担っている。BTO方式での注文が普及した今では、1日に生産されるパソコン約8000台のうち半数近くが、まったく同じ構成がほかにない1台きりの製品という、少量多品種の極みのような状況になっているという。人件費や地代などでコストの高い日本で製造業を続けるのは、パソコン業界に限らず苦しい状況にあるが、NECPでは生産性の改善や注文から配送までの期間短縮によって、海外勢に対抗して国内ナンバーワンのシェアを維持し続けている。
米沢事業場でのパソコン生産は、いわゆる「セル生産方式」と呼ばれる少人数チーム(米沢の場合3~5人程度)により、コンパクトなライン内で組み立てからソフトウェアのインストール、検査、箱詰めまで行なう方式を採用している。セル生産方式自体は、パソコン生産の現場では珍しいものではない(もちろん工程の細部は異なるが)。だがNECPでは「生産革新」と呼ぶ生産性向上の取り組みにより、2000年頃と比較して8倍以上の生産性を実現しているという。
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