Windows Package ManagerのクライアントプログラムであるWingetは、現在v1.10がプレリリース版で、安定版はv1.9だ。
プレリリース版v1.10では、以下のような新機能が搭載された。
・Sixel描画コマンドによるアイコンやプログレスバーのグラフィカル表示
・フォント管理機能
・showサブコマンドのロケール指定機能
・COM APIにソース管理機能が追加
前回Wingetを扱ったのは2023年なので(「Wingetにおける安定版v1.14からプレビュー版v1.16での新機能」)、Windows Package Managerについて再度まとめておく。すでに利用中でWingetについては知っているというのであれば読み飛ばしていただいてかまわない。
そもそもWindows Package Managerとは
Package Managerとは、アプリケーションのインストールパッケージを定義し、インストールや検索などの管理機能と、パッケージを保管・管理するインターネット上のサービスであるリポジトリを組み合わせた仕組みを指す。
そもそもWindowsは、MSIによるインストールやMicrosoftストア経由のほか、アプリ独自のインストール方法などを許容し、Package Managerを提供してこなかった。
Windows Package Managerは、Windows用のパッケージマネージャーとしてMicrosoftがWindows 10で開発したもので、Winget.exeは、Windows Package Managerのクライアントプログラムである。具体的なインストールや使い方に関しては、Microsoftのサイトに「WinGet を使用してアプリケーションをインストールおよび管理する」(https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/package-manager/winget/)があるので、こちらを参照してほしい。
なお、リポジトリに登録するマニフェストなどを作成するためにWinGetCreateも開発されている(Wingetでインストールできる)。
Winget.exeは、リポジトリからのパッケージインストールだけでなく、Windowにインストールされているアプリケーションの一覧表示機能などを持つ。ただし、前述のようにWindowsでは複数のインストール手段を許容してきたため、Windows Package Managerでアップグレードができない場合もある。
なお、Winget.exeの機能は、PowerShellからも利用できる。インストールは「Install-Module Microsoft.WinGet.Client」でして、インストールされたコマンドは「Get-Command -Module Microsoft.WinGet.Client」で見られる。
プレリリース版Winget v1.10の新機能はSixel描画
Winget v1.10の新機能としては、「Sixel描画」対応が挙げられる。これは、現在プレビュー段階のWindowsターミナル v1.23上でWinget.exeを起動したとき、showコマンドなどでアプリケーションのアイコンやグラフィカルなプログレスバーを表示するもの。
利用するには設定用のsettings.jsonファイルを編集する必要がある。
winget.exe settings
とすることで、登録されているJSONエディタ(デフォルトではメモ帳)が起動する。ここはVisual Studio Code(https://github.com/microsoft/vscode)をインストールしておくと便利だ。
Sixel描画を利用するには、以下のJSONコードを追加する。なお、すでに「"visual": {……」部分があるなら、その内側のみ追加する。
"visual": {
"enableSixels": true,
"progressBar": "sixel"
}
完全なsettings.jsonのリストを以下に示す。設定をしたあと、Windowsターミナル v1.23以上中でwingetを起動することで、Sixel描画によるグラフィックス表示が可能になる。
{
"$schema": "https://aka.ms/winget-settings.schema.json",
// For documentation on these settings, see: https://aka.ms/winget-settings
// "source": {
// "autoUpdateIntervalInMinutes": 5
// },
"visual": {
"enableSixels": true,
"progressBar": "sixel"
},
"experimentalFeatures": {
"dependencies": true,
"windowsFeature": true,
"fonts": true,
"configuration": true
}
}
「"enableSixels": true」は、アイコンの表示などを可能にし、「"progressBar": "sixel"」では、プログレスバーをSixelグラフィックスで表示する。
なお、アイコンは、Windows Package Managerリポジトリ側に登録されており、昨年11月以降に登録情報が更新されたプログラムでないと表示されないようだ。アイコンの表示は、infoサブコマンドやヘルプメッセージなどでも有効になる。
もう1つの新機能は、フォント管理機能だ。今回の実装は、Windows Package Managerによるフォント管理の最初の機能追加で、完全なフォント管理機能には至っていない。
できるのはフォントファミリの一覧と、ファミリ内のフォント一覧である。フォント管理を有効にするには、settings.jsonで「experimentalFeatures」に「"fonts": true」を記述する(上記リスト参照)。
すでにフォントは、Microsoftストア経由でのインストールが可能になっている。Microsoftストアアプリを扱えるWingetでは、今後、インストール、アンインストール、フォントの検索、情報表示なども可能になると思われる。
また、Winget.exe showコマンドで表示される情報は、ロケールごとに登録できるようになった。これは、Windows Package Managerのパッケージ作成の機能追加だが、winget.exe側では、showコマンドのオプションとして「--locale <ロケール>」を使い、特定のロケール用のマニフェスト情報を表示できるようになった。
とはいえ、これもリポジトリ側に登録されるマニフェストファイルの仕様変更なので、マニフェストが更新されないと、表示できない。現時点では、いくつかのアプリケーションが、複数のロケール情報で登録をしているのが確認できただけだ。

showサブコマンドでは、「--locale」オプションにより、パッケージの説明を指定したロケールの言語でできるようになった。ただし、現状ではいくつかのパッケージでのみ、限られた言語での登録がある状態で、すべてのパッケージに英語以外の解説が含まれているとは限らない
また、Wingetの機能を、他のアプリケーションから利用するためのCOMインターフェースにリポジトリマネージャ関連の機能が追加された。従来はソース(リポジトリ)を追加するには、Winget.exe sourceコマンドを使わねばならなかった。
Windows Package Managerを使うことで、アプリケーションのインストールが楽になる。同じアプリケーションのインストールでも、Winget経由ですることで、他のアプリケーションと同じコマンドで管理が可能になる点は大きい。
必要なプログラムがあったら、まずはWingetのsearchコマンドでアプリを探してみるのがいいだろう。たとえば「winget.exe search editor」とすれば、アプリケーション名や解説情報に「editor」という単語を含むパッケージの一覧を表示してくれる。

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