ナショナル ジオグラフィックの取材班は、レモニック氏に会うために、米ニューヨークにあるオフィスを訪ねた。記憶は、自分が自分であるためにとても重要な役割を果たしている。しかし、記憶が失われているにもかかわらず、ジョンソン氏は世界の美しさに感動し、喜びに満ちた日々を送っているという。レモニック氏に詳しく話を聞いた。(参考記事:レモニック氏担当の特集「宇宙生物学のいま」) ──ロニ・スー・ジョンソン氏について教えてください。なぜジョンソン氏の記憶は失われることになったのでしょうか。 ジョンソン氏は芸術家として大成功を収めた女性で、「ニューヨーカー」などの多くの出版物に関わっていました。また、アマチュア音楽家でもあり、自家用機のパイロットでもありました。しかし、2007年のクリスマスに、ニューヨーク州クーパーズタウン郊外の農場にいたとき、高熱と頭痛に襲われ、正常な受け答えができない状態になってしま
