(英エコノミスト誌 2010年10月9日号) 電気自動車は歓迎すべき技術進歩ではあるが、推進派が言うほどには有益でもなければ、環境に優しくもない。 「街乗りや郊外でのドライブ専用に設計されたこの素晴らしい自動車は、走りがスムーズで音も静か、運転も楽々です。しかも動力源は電気なので、自宅で充電できます」――。 魅力的に思えるだろうか? 実はこの宣伝文句は、ゼネラル・モーターズ(GM)や日産自動車、あるいはルノーが発表した新型の電気自動車のためのものではない。 米インディアナ州サウスベンドにあった車両メーカー、スチュードベーカーが1905年に発売した電気自動車「ビクトリア・フェートン」の売り文句だ。 以来、電気自動車は何度も現れては消えていった。大抵は石油危機がその背中を押してきたが、今回は石油価格の問題とエネルギー安全保障の懸念、そして気候変動が一緒になって、電気自動車を後押ししている。 1