自動車レースの最高峰F1に参戦するため、ホンダが初めて製作した第1号マシン「RA270」のテスト走行の秘蔵映像が、半世紀を経て見つかった。車体は解体され、映像の存在も伝えられていなかった。創業者の本田宗一郎氏(1906~91)の様子も映っており、世界一に挑む高揚感を伝える貴重な資料だ。 幻の「RA270」 1964年2月、三重県の鈴鹿サーキット。日付は判然としないが18日とされている。ステアリングを握るのは、後にF1チームの初代監督となり、常務まで務めた故・中村良夫氏だ。 当時社長だった本田氏が好んだとされるゴールドに塗られたRA270。その運転席を興味深そうにのぞき込む本田氏。快調にストレートを駆け抜けるマシンを見て、うれしそうに身を揺らす。その脇には、当時専務で後に副社長を務めた故・藤沢武夫氏の姿も見える。これがテスト走行を収めた約2分の映像の内容だ。F1参戦がホンダの社を挙げたプロジ
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