プレゼンの場面で、せっかくのチャンスを逃しているビジネスパーソンは多い。話題の書籍『対話するプレゼン』の著者、岩下宏一は、「プレゼンの場を、一方的に説明する場から、対話の場に変えた方がいい」と言います。本記事では、『対話するプレゼン』より、本文の一部を抜粋・加筆・再編集してお届けします。

“半生話法”とは?プレゼンが劇的に変わる話し方のコツ
本連載でお伝えしている、「対話するプレゼン」では「下を向いて資料を見る→前を向いて話す」を話し方の基本とします。このやり方を私は「半生(はんなま)話法」と名付けています。
「半生話法」とは、事前に用意した資料を活用しつつも、それに頼りきるのではなく、その場で生まれる言葉で語るスタイルです。
ここでは、プレゼン資料の本編ページをイメージしてください。
「対話するプレゼン」で採用している形式は、「ページタイトルー要点ー詳細」という3つのパートで構成されています。
1. ページタイトル:ページのテーマや主題を簡潔に示します。
2. 要点:そのページで伝えたい内容を数行で要約します。
3. 詳細:具体的な説明をします。1ページに詰め込みすぎないように
この形式を活用することで、プレゼンの流れをわかりやすく整理し、聞き手にとって理解しやすい構成にできます。
丸暗記せずに話す「半生話法」を使う
下記に「半生話法」の手順について、ご説明します。
丸暗記せずに話す「半生話法」の手順
①「ページタイトル」と「要点」を目視で確認する
↓
②目をあげ相手を見ながら、ページタイトルと要点を話す
↓
③次に「詳細」部分の、1つ目の箇条書き、グラフなど、アタマに入れられる分量の情報を目視で確認し、アタマに入れる
↓
④相手を見ながら、もしくは資料の該当箇所を指さしながら話す
↓
⑤「詳細」部分の次の箇条書き、グラフなどで③④を繰り返す
↓
⑥次のページに行ったら①から⑤までを繰り返す
注意)話している途中で忘れたら、いつでも資料を見て良い。ただし読み上げない。確認したらまた顔をあげて話すこと。
この手順に沿って進めていくと、資料の読み上げになることが防げます。
「どこを話してるの?」聞き手を迷わせるプレゼンの落とし穴
こうすることで、語尾や表現が多少変わるくらいの、程よい「半生」の言葉として話すことができるのです。資料と「つかず離れず」の距離感を保ちながら話すのがちょうど良いバランスです。
いっぽうで、完全に資料から乖離した言葉になってしまうと、相手は「どこを話しているの?」と混乱してしまいます。それは避けましょう。
もし、資料に書いていない内容を話したいと思った時は、「これは資料にはないのですが」とひとこと前置きしてから話すことが重要です。このひと言があるだけで、相手が迷子にならず、話の流れがスムーズに進みます。
資料は見るけど、頼らない。“視線8割”のプレゼンが説得力を生む
また、資料を見ている時間と相手を見ている時間のバランスも大切です。目安として、資料を見ている時間を2割、相手を見ている時間を8割程度にしましょう。
もし話し始めた後に、話す内容が「飛ぶ」(アタマの中から消えてしまう)という事態が起きた場合は、焦らずにゆっくりと資料に目を落としましょう。
これは、ふだんの打ち合わせなどで自然に行っていることと同じです。プレゼンでも、同じように対応すれば何の問題もありません。資料を見て冷静に内容を確認すれば、すぐに話の流れを取り戻すことができます。