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地球は環境の激変がいつでも起こりうる…この地球に生を受けた生物は、「変わらざるをえない」宿命を負っている、じつに深いわけ(武村 政春) | ブルーバックス | 講談社

地球は環境の激変がいつでも起こりうる…この地球に生を受けた生物は、「変わらざるをえない」宿命を負っている、じつに深いわけ

美しい二重らせん構造に隠された「生命最大の謎」を解く!

DNAは、生物や一部のウイルス(DNAウイルス)に特有の、いわゆる生物の〈設計図〉といわれています。DNAの情報は「遺伝子」とよばれ、その情報によって生命の維持に必須なタンパク質やRNAが作られます。それゆえに、DNAは「遺伝子の本体である」と言われます。

しかし、ほんとうに生物の設計図という役割しか担っていないのでしょうか。そもそもDNAは、いったいどのようにしてこの地球上に誕生したのでしょうか。

世代をつなぐための最重要物質でありながら、細胞の内外でダイナミックなふるまいを見せるDNA。その本質を探究する極上の生命科学ミステリー『DNAとはなんだろう』から、DNAの見方が一変するトピックをご紹介しましょう。

*本記事は、講談社・ブルーバックス『DNAとはなんだろう 「ほぼ正確」に遺伝情報をコピーする巧妙なからくり』から、内容を再構成・再編集してお届けします。

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DNAがもし“強い物質”だったら

さて、正確無比の複製のしくみを駆使するはずのDNAポリメラーゼが、ときどき起こす複製エラーや複製スリップに起因する、「わずかな塩基配列の違い」が引き起こされる意味とはなんだろうか?

じつは、この問いにこそ、「DNA最大の問題」が横たわっている。

DNAは、いったいどうして“少しずつ”変化するようになったのか。そしてその変化には、いったいどのような意味があるのか。

*複製エラーや複製スリップについてのおもな参考記事*

ウイルスについて考えてみよう。天然痘ウイルスやヘルペスウイルスのようなDNAウイルスもまた、生物には比べるべくもなく短いけれども、DNAをゲノムとしてもっている。

ウイルスは、宿主である生物の細胞に感染しないと生きていけない(増殖できない)という宿命を負っているが、今ここにある宿主との相互作用がもし〈うまくいっている〉のなら、自らのDNAに突然変異を生じさせて、その相互作用を変えてしまう必要はない。

保守的な考えというのがどのような場合でも一定の支持を得られるように、「現状のままでいたい」という欲求は、生物でもウイルスでもそうは変わらないはずだ。

【写真】著者らが分離した「メドゥーサウイルス・メドゥーサエ」の透過型電子顕微鏡像著者と共同研究者が、日本のある温泉の水から分離したDNAウイルスの一種、「メドゥーサウイルス・メドゥーサエ」の透過型電子顕微鏡像(写真:東京理科大学武村研究室)

したがって、DNAがもしほんとうに、どれだけ複製が繰り返しおこなわれ、どれだけ世代交代を繰り返そうとも、まったくその塩基配列が変化しない“強い”物質であったなら、ウイルスと生物との相互作用は、おそらく永久に変わることはなかった。

言い換えれば、「なにも変わらなかった」はずだ。

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