アトラシアンは2025年2月27日、ITSM(ITサービス管理)ソフトウェア「Jira Service Management」に、AI/AIエージェント機能を統合したと発表した。検索やAIエージェントを持つAIアシスタント「Atlassian Rovo」と連携して動作する。
アトラシアンの「Jira Service Management」は、ITIL準拠のITSM(ITサービス管理)ソフトウェアである。IT運用におけるインシデント管理や変更管理に加え、一般業務のサービスデスク/ナレッジ管理(ESM:Enterprise Service Management)を効率化する。
今回、Jira Service Managementに、AIおよびAIエージェント機能を統合した。多数のアラートをAIがグループ化し、変更のリスクや過去の類似インシデント、推奨される担当者や優先度などの情報を表示する。これらの情報は、Jiraのインシデントワークフローだけでなく、SlackやMicrosoft Teamsなどのチャットツールでも共有できる。
また、検索やAIエージェント機能を持つAIアシスタント「Atlassian Rovo」との連携が可能になった(関連記事:アトラシアン、AIアシスタント「Atlassian Rovo」を提供、SharePointやSlackのデータもまとめて検索)。
インシデントが発生した際、Rovoエージェントは、サードパーティツールなどの情報を表示し、IT運用担当者が詳細を掘り下げるのを支援し、考えられる根本原因を特定する。インシデント担当者は、Rovoエージェントにインシデントの性質と影響について質問し、状況の理解を深められる(画面1)。
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Rovoエージェントは、アクションを実行するために、確認すべき推奨プレイブックや自動化ワークフロー(他のRovoエージェントの呼び出しを含む)の提案も行う。インシデント解決後の事後インシデントレビュー(PIR)の作成もRovoが自動的に行う。
なお、Jiraは、仮想サービスエージェント機能も持つ。サービスデスクにおいて、よくある質問に自動で回答する機能である。ユーザーは、Slack、Microsoft Teams、電子メール、Webウィジェット、ヘルプセンターなど、各種のフロントエンドから仮想サービスエージェントにアクセスできる。今回、ナレッジを動的に主要な言語に翻訳できるようにした。
人事サービス管理(HRSM)機能をJiraに追加
Jira Service Managementに、人事サービス管理(HRSM)機能が備わり、人事部門の業務効率化に役立てられる。
従業員が利用可能なリクエストを人事部門が作成するのを生成AIで支援する。「私は人事部に所属しており、従業員関係チームを運営しています」といった短い文章でサービス領域を説明すると、Jiraがリクエストタイプを生成する。Jiraは、各リクエストに追加すべきフィールドも推奨する。これにより人事部門は、Jiraを技術的に理解することなく提供サービスを拡大できる。
人事に特化したテンプレートを用意している。従業員へのPCの支給、退職面談の実施、採用支援の依頼など、人事部門の一般的なワークフローを簡素化する。現在、数十種類のテンプレートを提供。「人事部門の担当者はすぐにJiraを使い始められる」(同社)という。
WorkdayやOktaのような人事担当者がよく利用するアプリケーションとの連携にも対応した。アトラシアンによると、ベータ版ユーザーの中には、OktaやWorkdayとJiraの連携により、入社と退職に関するリクエストを自動化し、年間で250時間を節約した企業もあるという。
加えて、人事に関する機密データの保護を目的に、特定のリクエストタイプを作成する担当者や、人事案件などの特定の作業を閲覧する担当者を管理するプロセスを簡素化している。