米Appleのセットトップ・ボックス「Apple TV」およびスマートフォン「iPhone」の担当バイス・プレジデントは1月9日(米国時間),日本人記者団との質疑応答に応じた。Apple TVとiPhoneは,同社が同日発表した製品である(関連記事:「『電話を再発明する』---Jobs氏がMac OS X搭載の携帯電話機を発表」)。
iPhoneに関する質疑に応じたのは,同社ワールドワイド・プロダクト・マーケティングiPod担当バイス・プレジデントのグレッグ・ジョズ・ウィーアッグ氏。そして,Apple TVに関する質疑に応じたのは,同ハードウエア担当バイス・プレジデントであるデイビッド・ムーディー氏である。質疑応答の中で,iPhoneはMac OS Xを搭載するが,サード・パーティ・アプリケーションを自由に追加できる仕様ではないことなどが明らかになった。
質問:Apple TVは40Gバイトのハードディスクを搭載するそうだが,容量はこれで十分なのか。
ムーディー氏:40Gバイトのハードディスクは,多くの人にとって適した容量だと考えている。なぜなら,すべてのコンテンツをApple TVに保存する必要はないからだ。コンテンツを管理するのは,パソコン上で稼働する「iTunes」であり,そのすべてをApple TVと同期する必要はない。
またApple TVは,パソコン上のコンテンツをストリーミング受信して,大型テレビに表示できる。特にApple TVは「IEEE 802.11n」規格の高速無線LAN通信に対応している。11nを使えばハイ・スループットを実現できるし,「IEEE 802.11g」でも十分なスループットを確保できるだろう。
質問:ストリーミングの詳細について教えてほしい。
ムーディー氏:ストリーミングは,Apple TVとiTunesの組み合わせで実現できる。プロトコルの詳細については公表していない。Apple TVは,1台のパソコンとコンテンツ・ライブラリを同期でき,最大5台のパソコンからコンテンツをストリーミングできる。ネットワーク経由で接続していれば,すぐにストリーミングが利用できる。
質問:Apple TVのOSや,ハードウエア仕様を教えてほしい。
ムーディー氏:Apple TVは,消費者向けの特別なデバイスであり,詳細な仕様は「米Intelのプロセッサを使っている」こと以外明らかにしていない。「iPod」についても我々は,プロセッサやOSを公表していないことをご存知だろう。
質問:iPhoneについて質問する。「iPhoneを2008年にアジアで発売する」という中に,日本は含まれているのか。
ウィーアッグ氏:iPhoneの展開スケジュールに関する情報は公表していない。
質問:iPhoneではMac OS Xが稼働しているそうだが,OS X用のアプリケーションをユーザーが自由にインストールできるのか。
ウィーアッグ氏:できない。iPhoneはクローズド・プラットフォームだ。これは,セキュリティの要件による。コンピュータ・ウイルスなどの侵入を防ぐためだ。ミニ・アプリケーションの「Widgets」も同じで,限られたアプリケーションしかインストールできない。
質問:iPhoneのOSやハードウエアについて詳細を教えてほしい。
ウィーアッグ氏:OSは,Mac OS Xをモバイル・デバイス用に最適化したものになる。それ以上の詳細や,ハードウエアについては,消費者用製品ということで公表していない。
質問:iPhone用アプリケーションをサード・パーティが自由に開発したり販売したりできるのか?
ウィーアッグ氏:サード・パーティ戦略は今のところない。前にも述べたように,セキュリティ面を考慮してのことだ。
質問:iPhoneの機能は,購入後にアップデートできるのか。
ウィーアッグ氏:アップデートは考えている。携帯電話機に今まで存在しなかったようなアプリケーションを追加していきたい。新しいアイデアがあったら,アップデートしていく。インターフェースが更新されることもあるだろう。
質問:無線LANにも対応しているiPhoneに,VoIP機能を実装しなかったのはなぜか。
ウィーアッグ氏:GSMに対応しているので,VoIP機能は必要ないと考えた。
質問:「Googleマップ」について聞きたい。Googleマップを利用するときに使用するネットワークは,無線LANだけか,それともGSMと無線LANの両方か。
ウィーアッグ氏:GSMと無線LANの両方を使用する。Googleマップは,無線LANを優先的に使用し,無線LANがない場合に自動的に通信をGSMに切り替える。
質問:iPhoneに転送できるデータは,予定表やアドレス帳,音楽だけか。テキストやPDFなどは転送できないのか。
ウィーアッグ氏:iPhoneのデータ管理には,iTunesを使用する。iTunesで管理できることは,すべてiPhoneでできるだろう。ほかのデータについては,後日,詳細を発表できるだろう。
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