自転車に乗り始めたら誰だって、一度は太平洋から日本海まで一本の線を引いてみたい、そう思うだろう。思わない? そうか、俺は思ってしまったんだよね。幸いながら。
と言いつつも、正直に告白すると俺的自転車元年であった2010年に比べて今年は自転車に対するモチベーションは地に落ちかけていた。とりあえず5月に佐渡のリベンジを果たしてからは、俺のTREKちゃんもMINOURAのポールスタンドでひっそりとどちらかというと邪魔者扱いされがちに眠らせていたのだった。そんな酷い仕打ちにも黙って耐え、季節もあっという間に梅雨が過ぎて、怒涛のように夏が終って、秋が来てしまった。義務感があったわけではない。体が欲していた。もう自転車無しでは生きていけない体になってしまった。というのは流石に大げさなんだけど、硬いサドルに跨ってドロップハンドルを握ってペダルに足を固定して走りだしていた。4ヶ月ぶりに乗ったロードは固かった。でも楽しかった。富士山にもまた行ってきた。「どこまでも自転車に乗っていたい」という思いを一度抱いてしまった人間は、何度でもまた走りだすんだろう。この俺のように。さて、次は何処に行こうか、、
そうだった。新しい目的地にたどり着くためには、やっておかねばならない事がある。どうしても辿り着きたい場所があったんだ。挫折したままでは次の目的地に迎えない。
1日目(太平洋〜軽井沢)
3時半起床。ブラックコーヒーを流し込み脳みそを叩き起こす。
家を出たのは4時半ぐらいだったか。まだ当然のように真っ暗で太陽の気配は全くない。
眠らない街新宿を抜け、まずは東へと向かう。
スタート地点の海。太平洋(東京湾)@葛西臨海公園。『海(太平洋)から海(日本海)へ』起点。
空も海も灰色に染まっている。。去年の記憶がフラッシュバックする。。
今回の装備。バッグにはテントなどキャンプ用具一式。輪行袋は無理やりフレームに固定、はしたものの、非常に邪魔だったのですぐに外してこちらもバッグ行き。テントは佐渡の時にも活躍したARAITENTのTRECKRAIZ0。1260gの超軽量テント。というか背負って走るにはこれでも重いぐらい。ドリンクボトルは忘れたのでペットボトル。。毎回何かしら忘れてる。詰が甘い。
どうしてもスタート地点を葛西臨海公園にしたかったんだが、サイコンを見るとすでに24km以上走ってる。これが後々響いてくるのだ。
さて、そろそろ行こーか。
荒川サイクリングロード
まずは荒サイ。朝練するランナーやローディーがちらほら。天気が良ければ最高なんだが。。
昨日までの雨の影響で水たまりになっている所が多々ある。走れなくはないが、ちょっとでも濡れている路面だと緊張する。。去年すっ転んだのがトラウマになっとるなヤッパリ。
曇ってはいるがこれはこれで気温が上がらなくていいなー、なんて思いながら走っいたのもつかの間。埼玉入った辺りで、雨が落ちだした。。途中の高架下で雨宿りすること2回ほど。。なんとか、なんとか持ちこたえてくれ。
弱くなったタイミングを見計らって、超がつく安全運転で進む。ママチャリもビックリの超低速巡航モードだ。天気の方は、、大丈夫だ。行ける。
■10:50
熊谷とうちゃく。そして朝ごはんの為に駅前のマックに入るという1年前と全く同じ行動を取る俺。代わり映えのしない人生。
ここまで約90km。まだ半分も来ていない。自転車に乗っていることを人に話すと「なんで自転車なんか?」というような質問をされることが多々あるんだけど、そろそろその質問に意味が無いことをわかってほしい、と思う。だって答えは「楽しいから」でしかないので。「なんでゲームするの?」「なんで漫画読むの?」と同列。何に時間を使うか、何に思い入れがあるかなんて千差万別。それがたまたま自転車だったに過ぎないんだってこと。なんですよ。はい。
長めの休憩を終えて、灰色の空に向かって咆哮し、再び走りだす。2つ目のサイクリングロードがもうすぐだ。
利根川サイクリングロード
熊谷からは荒川に別れを告げて一般道を北上。利根川にぶつかる。
利根川サイクリングロード。天気が悪いせいか今回も全然自転車に出会わなかった(^_^;)
とはいえ、群馬inしてからはお空の機嫌も収まったのかなかなか太陽は出ないものの遠くを見つめると青空も。人間というのは単純な生き物で、ちょっと空が青いだけで気分が良くなる。自転車はそれを何倍にも増幅させる。だから面白いのかもしれない。
■14:20
高崎とーちゃく。結構時間がかかってしまっているのが気になりつつも。こっから先が勝負どころなので、燃料補給しに駅ビルの中へ。
そしてさらに北へ。3つ目だ。
碓氷川サイクリングロード
辿り辿って3つ目のサイクリングロード。太陽もチラチラ顔を覗かせるようになってきた。写真ではあまり分からないかもしれないけど水は濁っていて結構激しい流れだった。台風の影響でいつもより増水ぎみだったのかもしれない。
碓氷川サイクリングロードの写真はこれだけだった。あまり印象がない。というのも早々に18号に出てしまったからだ。時間のことが気になっていた。普段であればのんびり風景見ながらのサイクリングロードなんだが、たどり着かなければ、という焦りがどうしてもあった。
そして、
前回の脱落ポイント安中駅へ。1年以上置きっぱなしにしていた忘れ物を回収しに来た気分だった。さーてこっからは未知の領域だ。ワクワクが止まらない。山には雲が増えてきた。時間は迫っている。足は動くか。登りはどんなだ。
と、ここで暫くおとなしかった空から雨粒が落ちる。ちょっと位なら走り続けようかと思ったが結構な大粒だったので近所のSAVE ONに避難。ただの夕立だろうとは思うが…明るい内に着くのが難しくなってきたようだ…夜の峠か…((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
雨は思った通りの夕立だったので、上がったところですぐに再開。横川駅手前で線路を超えて本日のヒルクライム会場へ向かう。
さて、ドMヒルクライムのスタート。
し、しんどい。。そりゃそうだ。ここまで200kmぐらい走ってきてるんだもの。。全く回らない。。
峠まで12kmという表示に絶望する。。
めがね橋を過ぎてからの6kmほどが死ぬほど辛い。。日は落ちてしまって暗闇の中のヒルクライム。そしてまさかのアクシデント。フロントライトが付かない。正確には「押してないと」付かなくなってしまった。。あれこれいじってみるも改善は見られず。。キャンプ用に持ってきていたヘッドランプをバッグから取り出して代替する。いや、ホント持って来といて良かった。。夜道をライト無しとか自殺行為ですからね。。100ルーメンから45ルーメンに格下げされはしたが、そのか細い灯りが心の唯一の支えだ。早く、早く街の灯を見せてくれ。
■18:30
軽井沢着。1日目の目的地にようやーく到着。なんとか辿りついた。まずホットミルクティーを飲んで心を落ち着かせる。
テントを張ったあと、適当な居酒屋に入って晩ご飯。店員さんの応対がとても良くってほんわかした。

- ジャンル:居酒屋
- 住所: 北佐久郡軽井沢町軽井沢東11-1
- このお店を含むブログを見る |
- (写真提供:buff-buff)
関所茶屋をぐるなびで見る | 軽井沢の居酒屋をぐるなびで見る
それにしても軽井沢寒い。。ヒートテックなんかも用意してあったんだけどどうにも寒くて眠れずに、とった手段が…
輪行袋を掛ければいんじゃね?
ということで、輪行袋を掛け布団にして寝るという、まさかのサバイバルnight。。
そんなこんなでながーい1日目終了。就寝。
(つ∀-)オヤスミー
■1日目の走行記録(太平洋〜軽井沢)
走行距離:191.05km
走行時間:不明
平均速度:20.3km/h
最高速度:38.8km/h
朝の自宅〜葛西臨海公園までを合わせると215km。。よく走ったな…
2日目(軽井沢〜日本海)
この日もまた夜明け前の起床。寒くて目が覚めた、というのが正解。
これが昨日の宿でした。まだ買ってから2回目という。もっといろんなところに走りに行きたいのでこれからどんどん活躍して貰う予定。
■6:30
顔洗ってコーヒー飲んで。2日目のスタート。さあ、今日も行こーか。
走りだしてすぐのところにあった表示を見て驚愕。7℃…そりゃ寒いはずだ…。9月でこれかよ。。
昨日登ってきたということは、今日は下りですね。ダウンヒル。
暫く下りが続く。長袖ヒートテックにタイツ、ウインドブレーカー。それでも寒い。体感0℃ぐらいなんじゃないの…
基本的に、ルートは、ガイドブック頼りなんだけど、旧道やら裏道的なものを選択させられることも多々あり、こまめに地図で確認する必要がある。
それでも迷いまくっていた。ここでもそうで、しばらく気持よく走っていてたら標識が「諏訪」などと表示しており、あれ?と地図を見たら全然違う方向に向かってたりした。間違ったルート進んでることに気づかずにいた時に撮った写真折角なんで置いておきます。稲刈りも終ってすっかり秋ですね。。
気を取り直して。
こうやって、本で見た風景を自分の目で確認していく。誰かのブログで見た旅の記憶を自分の記憶で上書きしていく。誰もしてないことをするのもいい。でも誰かの跡をなぞっていくのも面白い。あの日自分を滾らせた、その風景を自分の目で目撃しておきたいんだ。
千曲川サイクリングロード
やってきました千曲川。
本当だ。進む方向に向かって水が流れていく。当たり前すぎることなんだけど、うん。凄くいい。
■9:00
上田駅。昨日とは打って変わって空は青空に完全に支配されていた。ここで長袖→半袖サイクルジャージに装備をチェンジ。日焼けをまた上塗りしていく。
4つ目!千曲川サイクリングロード。予想外に道路が分断されていたりなどして、迂回に迂回をしたが、やっと到着。
舗装状態はこんな様子なので、定期的な直下型の突き上げがフレームを通してオケツに響く。
正直あまり気持ちのいいものでもないので、ずっと走っている気にもなれず、ここでも早めの離脱。向かい風が半端無かったのも一因。
堤防道路と18号を行ったり来たり、たまにサイクリングロードに入ったり。また迷ったりしながら。
上越まで85kmか。。本当に辿りつけるんだろうか。。
長野駅はルートからそれてしまうのでスルー。
走ったことがある人でさえ分からないかも知れない写真シリーズ(ガイドブック上でのサイクリングロード終了地点)。こっから一般道オンリー。
それにしても長野は長すぎる。。長野だけに…
とつまらないとわかっていながら書かざるを得ないほど、どこまで走っても長野。地図を開く回数は50回ぐらい超えたんじゃないだろうか。もうだいぶボロボロになってしまった。このガイドの10コースを全部走るつもりなのに。。
飯山市へ。
■14:00
飯山駅。
本日のヒルクライムを前にして、「さらっとしぼったオレンジ」ごきゅごきゅ。さて、俺の足は耐えてくれるのだろうか。。
うおおーーー!
大したことないことないように見えるだろうけど、無理っす。距離も勾配も昨日の碓氷峠よりも楽なはずなんだけど、積み重ねられた疲労にもう、足が動きませんがな。。
こういうトンネル?を見ると、F1イタリアモナコGPを思い出すのは俺だけではないはず…
ごめん。がんばろうと思ったんだけど無理だった。足付いた。300kmとかとっくに超えてるところに峠作った奴何考えてんの。まったくもう。。
さて、後は海まで下るだけだ。ゆずの「夏色」に乗せてお届けします。再生開始。
直江津の文字が!括弧書きだけど!
■16:40
日本海到着。思えば遠くに来たもんだ。
やっと追いついた。と思ったらそこはすでにゴールではなく、スタート地点になっていたけど。
足はものすごく重いし体中痛いんだけど、それでもこの海を見れて疲れはぶっ飛んだ。
巷で流行りの輪行スタイル。
電車を待つまでの間駅の立ち食いそばを喰らうなど。
はくたか乗車。一気に越後湯沢へ。
18:05直江津→(はくたか)→19:00越後湯沢→(MAXとき)→20:12東京
2時間ちょいで帰って来れてしまう。行きは20時間以上かかってるんですけどね…(^_^;)
新幹線で待ちきれず、ビールごきゅごきゅ。体の芯まで沁み渡る。
東京駅からは地下鉄乗り換えて地元駅。21時過ぎには帰宅した。

- 作者: 丹羽隆志,菅原栄
- 出版社/メーカー: 東京地図出版
- 発売日: 2009/03
- メディア: 単行本
- 購入: 34人 クリック: 690回
- この商品を含むブログ (11件) を見る
■2日目の走行距離(軽井沢〜日本海)
走行距離:170.61km
走行時間:不明(サイコンの表示がおかしくて読めない…)
平均速度:21.6km/h
最高速度:55.8km/h
太平洋から日本海へ。地図の上に一本の線を引いてみたかった。
◆太平洋から日本海へ
■1日目の走行記録(太平洋〜軽井沢)
走行距離:191.05km
走行時間:不明
平均速度:20.3km/h
最高速度:38.8km/h
■2日目の走行距離(軽井沢〜日本海)
走行距離:170.61km
走行時間:不明(サイコンの表示がおかしくて読めない…)
平均速度:21.6km/h
最高速度:55.8km/h
thanks to……
◆4つのサイクリングロードをつないで日本海へ - Blue-Periodさんの日記
10/2 追記修正
ご指摘いただいたとおり、イタリアじゃなくてモナコだったのでこっそり修正。。