CP+初日の2月27日、キヤノンのカメラ事業の責任者がメディア向けの囲み取材に応じました。2024年、シグマやタムロンからAF対応のRFマウントレンズが登場し、RFマウントのサードパーティへの開放が実現。ただ、いまのところAPS-Cミラーレス対応レンズに限られており、主力であるフルサイズ対応の交換レンズの登場が期待されていますが、残念ながら今回の取材では前向きな発言はありませんでした。サードパーティからフルサイズ対応レンズが登場するのは、しばらく時間がかかることになりそうです。

  • キヤノンのカメラ事業を統括する、キヤノン 副社長執行役員 イメージンググループ管掌の戸倉剛氏。手にするのは、インナーズームに対応した新しい望遠ズーム「RF70-200mm F2.8 L IS USM Z」を装着したEOS Rシリーズのフラッグシップモデル「EOS R1」

フルサイズ対応レンズへの展開はほぼノーコメント

CP+2025開幕初日の2月27日、キヤノンのカメラ事業の責任者を務める、キヤノン 副社長執行役員 イメージンググループ管掌の戸倉剛氏が報道陣の囲み取材に応じました。

昨年のCP+2024で実施した囲み取材では、戸倉氏はRFマウント開放について「サードパーティーのメーカーとコミュニケーションを取っている。コミュニケーションの深さは(製品化までの)半分以上は行っているのでは」と前向きなコメントをし、注目を集めました。同年の4月には、シグマとタムロンがAF対応のRFマウントの交換レンズを発表し、戸倉氏の発言通りにサードパーティへの開放が進められました。

EOS Rシリーズのユーザーからは、サードパーティ製のAFレンズがお目見えしたことが歓迎されましたが、発表されたのはすべてAPS-C対応レンズのみで、主力のフルサイズ対応レンズの投入がなかったことを残念がる声も聞かれました。

今回の囲み取材では、「2024年にシグマとタムロンが発表したRFマウントレンズは、APS-Cミラーレス対応製品に限られていた。この点に関しての考えや、今後の戦略は」という疑問を戸倉氏に投げてみました。

戸倉氏は「他社がいくつかのRFレンズを出し始めているが、他社がどういうレンズを出すかについては我々は預かり知らない状況で、こういうのが出てきたのかと知るだけ。許諾など契約の内容については、とても外に言えるものではない。今は、我々の事業戦略の中で契約の内容を決めている、としか言えない」とコメントしました。

当面は、カメラボディよりも利益率の高い自社製フルサイズ対応レンズの販売を優先したい、という考えとみられ、サードパーティへのフルサイズ対応レンズの展開は慎重な姿勢が続く見通しとなりました。もちろん、フルサイズ対応レンズの展開を否定したわけではないので、今後の動きに期待したいところです。

キヤノンが2026年のアジア大会に協賛

CP+会場では、2026年9月19日から10月4日まで名古屋市で開かれる「第20回アジア競技大会」にキヤノンが協賛することも発表。カメラ・レンズや放送機器、ネットワークカメラに加えて、複写機、複合機、医療機器など、幅広い協賛カテゴリーを獲得し、製品やソリューションの提供を通じて大会運営を全力でサポートするとしました。

  • EOS Rシリーズで撮影した競技の写真を振り返る、空手家の清水希容氏(左)

  • 左から清水希容氏、アジア・オリンピック評議会 事務総長のフセイン・アル・ムサラム氏、戸倉剛氏