外資コンサルの就職人気が高まっている。30年以上前にボストンコンサルティンググループに入社した戦略コンサルタントの金光隆志氏は、「多くのファームでは約1カ月の研修期間を経てプロジェクトにアサインされるのが一般的だが、私は入社4日目からプロジェクトを担当することになった」という――。

※本稿は、金光隆志『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

顧客にドキュメントを提示するビジネスマン
写真=iStock.com/vm
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きっかけは書店で見つけた「赤い本」

経済学の書棚に並んだ赤い背表紙の一冊の本。

それが自らの人生を大きく変えることになるとは、想像もしませんでした。

当時、大学の法学部生であった私は、大型書店にしょっちゅう通っていましたが、いつもなら脇目も振らず政治か哲学のコーナーへと向かうのに、その日はなぜか経済学の棚に足が止まったのでした。

次の瞬間、私の目に飛び込んできたのが、ボストンコンサルティンググループ(BCG)の創業者ブルース・D・ヘンダーソンが記した『経営戦略の核心』(ダイヤモンド社)でした。

何気なく手に取り、ぱらぱらとページをめくって、私はその本を買うことにしました。

経営に何の関心もなかった自分が、なぜ経営書を買ったのか。いまだに合理的な説明は難しいのですが、強いて言うなら「戦略」という言葉があったからでしょうか。国際政治戦略論に興味があったため、センサーにひっかかったのかもしれません。単純なものですが、家に帰って一読したときの衝撃は、いまだに覚えています。

異例だった「関西から新卒でBCG」

経営戦略とは、なんとダイナミックなのだろう。

ビジネスの世界に、これほど頭の切れる人がいるのか。

そうして、いてもたってもいられず、何が何でもこの本の著者がいる会社に入りたいと思いました。

それが私と経営戦略との出会いです。

当時、BCGは私の住む関西では新卒を募集していませんでした。そこで私は大学卒業生名簿にあたりました。個人情報保護も何もなかった牧歌的な時代、ご丁寧に勤め先と住まいの住所が載っていました。一人だけいたBCG在籍者を見つけ、その先輩に熱い思いを綴った手紙を出しました。しかし残念ながら、音沙汰なし。まあ、急に知らない奴から手紙が届いたら気持ち悪いですよね(苦笑)。

ところが、偶然にも東京の大学の友人から「東京ではコンサルティング会社が流行っていてマッキンゼーやBCGが新卒を募集している」との情報を聞きつけました。

「自分は関西にいるけれど、どうしても応募したい」とBCGに直談判して、おそらく関西から一人だけ応募が許され、インターンの採用試験を経て入社にこぎつけました。思えば、ずいぶんユニークな就職活動でした。