米海軍は現在、「Spike」を開発している。長さ64cm、重量2.3kgという「世界最小の誘導ミサイル」だ。
Spikeには、携帯電話のカメラなど、民生部品の技術が使われている。空からも陸からも発射できるほか、肩に担いで撃つこともできるよう、開発が行われている。
海上での利用も検討されている。現在、高速戦闘艇(FAC)や高速沿岸戦闘艇(FIAC)など、小型船の集団による脅威が高まっているが、米海軍によるとSpikeは、この脅威に対抗する上で有効だという。
「弾頭サイズが足りない部分は、正確性によって補われる。船を爆破することはできないが、戦闘を行わせないようにできる」と、開発チームはリリースで述べている。
Spikeの正確性は、罪のない一般人が犠牲になることがあまりにも多いという、米軍のドローン(無人航空機)利用への批判を抑えるのにも役立つかもしれない。
ドローンでは精密な攻撃ができないため、一般人が巻き添えになるケースがあとを絶たないが、米国防総省は、JDAM(Joint Direct Attack Munition)を小型軽量化することで、ドローンによる精密攻撃を展開できるようにする計画なのだ。
JDAM(統合直接攻撃弾)は、米軍が2000年前後に開発した装置で、無誘導の自由落下爆弾を、慣性誘導装置とGPS受信機を使って精密誘導爆弾(スマート爆弾)に変身させるものだ。現在の重量は1トンはあるが、ドローンで利用するにはこれを小型化する必要がある。Spikeでそれを実現しようというのだ。
Spikeはいまのところ、着想、設計、開発、テストまですべて海軍の空中戦センター兵器部門(NAWCWD)で行われている。米海軍によれば、肯定的なテスト結果が現在10件あり、実用化は可能だろうという。
米海軍によると、企業と契約せず、軍内部でSpikeの開発にあたることによって、開発時間は大きく短縮された。コストも、1個あたり約50,000ドルと、大幅に小さくなったという。
TEXT BY ALLEN MCDUFFEE
PHOTOS BY U.S. NAVY
TRANSLATION BY RYO OGATA,HIROKO GOHARA/GALILEO