ワインスティーン被告、さらに禁錮16年 米法廷で情状酌量訴えるも

画像提供, Getty Images
米ロサンゼルスの裁判所は23日、ハリウッドの元大物映画プロデューサーで、強姦などの罪で有罪評決を受けていたハーヴィー・ワインスティーン被告(70)に、禁錮16年の刑を言い渡した。被告は情状酌量を訴えたが、現在服役中の禁錮刑に長期の量刑が追加されることになった。
ワインスティーン被告は、すでにニューヨークの裁判所で禁錮23年の刑を言い渡されており、現在服役中。
今回の裁判では、2013年2月にロサンゼルス市であった映画祭の期間中、ホテルの部屋で俳優の女性を襲ったとして、強姦罪1件、性的暴行罪2件について昨年12月に有罪評決が出されていた。
この日の法廷で同被告は、量刑が言い渡される前、自らは無実であり「はめられた」と主張。「どうか(実質的な)終身刑にはしないでほしい」、「そこまでのことはしていない」などと訴えた。
同被告はほとんどの時間、目をそらして座っていた。量刑が言い渡された時にも、特に反応を示さなかった。
<関連記事>

弁護団は裁判のやり直しを求めていたが、判事はこれを却下した。同被告は上訴するとみられる。
同被告に対しては、80人以上が強姦や不法行為の被害を訴え出ている。古い事案は1970年代後半までさかのぼる。
匿名被害者が法廷で発言
この日の法廷では量刑言い渡しに先立ち、ジェイン・ドウ1と呼ばれる匿名被害者が発言した。
被害者は、暴行後に「長年」耐えてきた心の傷について説明。「あの夜まで、私はとても幸せで自信に満ちた女性だった」と振り返った。
「被告が残忍に私を暴行してから全てが変わった。どんなに長い禁錮刑もこのダメージをぬぐい去れない」
一方、ワインスティーン被告は、被害者とは面識がないと主張。「私はジェイン・ドウ1に対し強姦も性的暴行もしていない」と訴えた。
また、この事件には「多くの誤り」があり、あまりに「不備」が多いと述べた。被害を訴えた女性については、「涙を流す能力のある俳優」だとした。
被告の弁護団は禁錮3年の刑を求めていた。裁判官に対し、被告の健康状態の悪化や子どもたちの存在、慈善事業に「多大な」寄付をしてきたことを考慮するよう求めた。
計画性について陪審は一致せず
今回の裁判でワインスティーン被告は、カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事の妻ジェニファー・シーベル・ニューサム氏などに対する性的暴行罪3件についても問われた。陪審は昨年12月、これらの罪状について評決に至らず、無罪となった。
同被告はこの日、最大18年の禁錮刑を受ける可能性があった。
強姦の計画性や、被害者が「特に弱い立場」にあったかについて陪審員らの意見が一致しなかったため、最大24年の禁錮刑の対象にはされなかった。
同被告は2020年、ニューヨークの裁判所で、強姦と性的暴行の罪で禁錮23年の刑を言い渡された。2006年に制作アシスタントが、2013年には俳優志望の女性が被害を受けたと認定された。同被告は上訴している。
この裁判で同被告が有罪とされたことは、「#MeToo」運動で大きな意味をもつとされた。映画やテレビ業界で横行していた性的虐待やハラスメントに光を当てるものとなった。