
- 伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズは、ドナルド・トランプとカマラ・ハリスのどちらが大統領選に勝利してもインフレ率は上昇すると述べた。
- ジョーンズは、リスク回避の手段としてビットコイン、金、コモディティを保有しているという。
- どちらの候補者も当選後、膨れ上がる赤字に対処しなければならず、アメリカはインフレによって負債から抜け出す必要があると話している。
ポール・チューダー・ジョーンズ (Paul Tudor Jones)は、大統領候補のドナルド・トランプ(Donald Trumpov)もカマラ・ハリス(Kamala Harris)もアメリカの負債に対処するための適切な計画がないことを理由に、インフレ対策として金、ビットコイン、コモディティ(商品先物)を保有していると述べた。
億万長者のヘッジファンドマネージャーであるジョーンズは、2024年11月の大統領選後には、インフレリスクが大きく立ちはだかるだろうとCNBCに話している。というのも、2人の候補者は減税や歳出削減を公約に掲げる一方で、アメリカ政府の赤字問題には目を向けていないからだ。
「これがこのまま放置されてしまった場合、アメリカはインフレで負債を解消する必要がある」と彼は警告している。
「すべての道はインフレに通じている」と、ジョーンズは2024年10月22日に話した。
「私はゴールド(金)を保有している。ビットコインも保有している。コモディティは非常に過小評価されていると思うのでコモディティにも投資している。多くの若い人はナスダック(NASDAQ)を通じてインフレヘッジを見つけていると思うが、それもとてもいいことだ」
ジョーンズは全体的にはトランプが勝利する可能性があるとの見方から、自身のポートフォリオをよりインフレ関連の取引にシフトしていると述べている。
彼はさらに細かい内容については明らかにしなかったが、エコノミストたちは、共和党のトランプ候補が、関税の大幅な引き上げや2017年の法人税減税の延長を計画していることから、トランプが当選した場合はインフレ率を押し上げるだろうと予測している。
しかしジョーンズは、両候補に対して懸念を抱いており、2人とも国の膨れ上がる債務を十分に深刻に受け止めていないように見えると話している。ジョーンズはアメリカの予算に関し、ドナルド・トランプもカマラ・ハリスも「これからの仕事にまったく適していない」と語っている。
次の政権が、アメリカ政府の上昇する債務残高の対GDP比の上昇に取り組む政策を行わない場合、「この状況を打開するための処方箋は、インフレを起こすことだ」とジョーンズは言う。
彼は、「消費者に対する増税と金利をできるだけ引き下げるという措置に、これが加えられるだろう」と付け加えた。
ジョーンズは以前にも、国や企業が抱える債務が膨らみ、将来的に返済が困難になる「債務爆弾(Debt Bomb)」について警告したことがあり、アメリカの財政の進展についてはかなり悲観的だ。アメリカ議会予算局(CBO)は、債務比率が2034年までにGDPの122%に達すると予測しているが、ジョーンズはこれはかなり控えめな見積もりだと考えている。
ジョーンズは、選挙後に次の大統領がこの問題に対処しなければ、債券市場での反発に直面することになると予測している。「債券自警団(債券投資家)」はすでに2003年に米国債の購入を避けたり、売却することで債券市場を不安定にしており、同年10月には10年物国債の利回りが5%に達した。
「トランプ政権では財政赤字は毎年5000億ドル(約75兆8505億円)ずつ増え、ハリスの計画では年間6000億ドル(約91兆206億円)増える。提案や計画はすべて単なる夢物語にすぎないと思う」とジョーンズは話す。
「債券市場はそれを容認しないだろう」