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絶え間なく事業構造を変化させ続ける日東電工。成長の根幹にあるGlobal Niche Top™戦略とは? | Business Insider Japan

絶え間なく事業構造を変化させ続ける日東電工。成長の根幹にあるGlobal Niche Top™戦略とは?

Sponsored Content by Nitto

Feb 28, 2025, 11:00 AM

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100年以上の歴史を持つ高機能材料メーカー、日東電工(以下、Nitto)。光学材料や回路材料、粘着テープ・フィルムなど、多岐に渡る製品をエレクトロニクスや自動車、住宅、環境、医療関連などの幅広い領域に提供しており、同業他社と比較しても製品や事業の独自性や収益性が際立っている。

そんなNittoの成長を支える強みが、成長市場でのトップシェアを目指す「Global Niche Top™(グローバルニッチトップ)戦略」だ。2020年からは新規事業を発掘するため「Nitto Innovation Challenge(NIC)」を開催し、毎年グループ全従業員が新規事業や新製品に関するアイデアを出し合っている。

Nittoはなぜ、独自の強みを発揮し新たな価値を創出し続けられるのか。その秘密を「Global Niche Top™戦略」や「NIC」の取り組みから紐解くため、NIC事務局の山本怜氏、2024年度のNICでファイナル賞を受賞した矢野威氏、そして、ニューラル 代表取締役CEO、ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長、信州大学グリーン社会協創機構特任教授の夫馬賢治氏に鼎談してもらった。

「Nitto Innovation Challenge (NIC)」―新規事業創出のカギはチャレンジを楽しむ組織文化

夫馬賢治(ふま・けんじ)氏//ニューラル 代表取締役CEO、ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長、信州大学グリーン社会協創機構特任教授。サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリー会社を2013年に創業。著書『データでわかる 2030年 雇用の未来』(日経プレミアシリーズ)、『ネイチャー資本主義』(PHP新書)、『超入門カーボンニュートラル』『ESG思考』(以上、講談社+α新書)他。環境省、農林水産省、厚生労働省、経済産業省の審議会や委員会での有識者委員、上場企業の社外取締役や有識者アドバイザーなどを多数務める。Jリーグ特任理事(非常勤)、DE&I専門の一般社団法人Mashing Up理事等。「ESG伝道師」とも呼ばれ、国内外のメディアに多数出演。
夫馬賢治(ふま・けんじ)氏//ニューラル 代表取締役CEO、ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長、信州大学グリーン社会協創機構特任教授。サステナビリティ経営・ESG投資アドバイザリー会社を2013年に創業。著書『データでわかる 2030年 雇用の未来』(日経プレミアシリーズ)、『ネイチャー資本主義』(PHP新書)、『超入門カーボンニュートラル』『ESG思考』(以上、講談社+α新書)他。環境省、農林水産省、厚生労働省、経済産業省の審議会や委員会での有識者委員、上場企業の社外取締役や有識者アドバイザーなどを多数務める。Jリーグ特任理事(非常勤)、DE&I専門の一般社団法人Mashing Up理事等。「ESG伝道師」とも呼ばれ、国内外のメディアに多数出演。

夫馬賢治氏(以下、夫馬):Nittoは2020年から「Nitto Innovation Challenge(以下、NIC)」という新規事業創出大会を開催しています。どういった取り組みなのですか。

山本怜(やまもと・さとし)氏/日東電工 経営戦略管理グループ。2017年6月に日東電工に入社し、知的財産部門で職務発明規程の策定、自社特許のグレーディングを担当。2019年7月に経営企画部に異動し、社内意思決定基準や予算編成方針の策定、統合報告書作成に従事。2024年4月からは経営戦略管理グループのグループ長として、経営会議の運営やNIC事務局リーダーを務める。
山本怜(やまもと・さとし)氏/日東電工 経営戦略管理グループ。2017年6月に日東電工に入社し、知的財産部門で職務発明規程の策定、自社特許のグレーディングを担当。2019年7月に経営企画部に異動し、社内意思決定基準や予算編成方針の策定、統合報告書作成に従事。2024年4月からは経営戦略管理グループのグループ長として、経営会議の運営やNIC事務局リーダーを務める。

山本怜氏(以下、山本):社内の新規事業創出大会です。NICは通常業務以外で新規事業のアイデア創出にチャレンジする場を提供しています。対象は、グローバルも含めた全グループ社員全員、約3万人。1人ひとりがチャレンジを楽しみ、会社の活性化につながっています。

アイデアをエントリー後、3段階に渡る書類審査があります。通過したアイデアはアクセラレートプログラムに進み、社内外のメンターによる支援を受けながら最終審査のプレゼンに挑みます。このプレゼンで「NIC Final賞」に選ばれたアイデアは、事業化に向けて会社から支援を得ながら活動を続けていきます。

提供:日東電工
提供:日東電工

NICは2020年から始まりましたが、初年度は1,107件で昨年は1,563件の応募がありました。他社の同じような取り組みと比較すると、応募件数が多いと感じています。最終選考に進まなかったアイデアの全てに事務局が丁寧に改善ポイントをフィードバックしていることも、次年度の再チャレンジにつながっているのでしょう。

加えて、チャレンジを後押しし、たとえ失敗したとしてもそれを許容し次につなげる企業文化が大きく関係していると思っています。2024年度のNIC Final賞に選ばれた矢野も、何度も挑戦していますね。

矢野威(やの・ひかる)氏/日東電工 分離技術研究センター。2019年入社。サステナブル技術研究センターで塗料とバイオベースフィルムの開発に従事。2022年からは分離技術研究センターで溶剤分離膜の開発に携わり、現在は基礎開発から製品化に向けたスケールアップ、シミュレーションによる膜システムの提案を担当。
矢野威(やの・ひかる)氏/日東電工 分離技術研究センター。2019年入社。サステナブル技術研究センターで塗料とバイオベースフィルムの開発に従事。2022年からは分離技術研究センターで溶剤分離膜の開発に携わり、現在は基礎開発から製品化に向けたスケールアップ、シミュレーションによる膜システムの提案を担当。

矢野威氏(以下、矢野):好奇心旺盛なので、毎年、応募をしています。昨年度は最終6テーマに残り、2024年度はNIC Final賞に選ばれました。テーマは「窒素化合物の回収事業」です。窒素化合物は大気や水、土壌の汚染を招いており、EUでは規制が検討されつつあります。その規制を見据えて、農業や畜産業、工業で排出される窒素化合物を回収する事業を提案しました。

私は研究開発部門に所属しており、営業やマーケティングは門外漢です。しかし、事業化を考えるならそこを避けては通れません。新規事業の経験がある上司に相談したり、社外のアドバイザーに伴走したりしてもらったことで、乗り越えられました。NICを通じてビジネス全体を俯瞰して学べたことは大きな収穫で、成長につながりました。

夫馬:NICを大義名分にして、社内外の人に声を掛ける。いわば、社員同士がコミュニケーションを取るための潤滑油にもなっているわけですね。イノベーションを加速させるためには、異なる専門性の人たちが意見を交わすことが大切だと言われています。でも、どの企業でも社員は基本的に忙しく、気軽に声を掛けるのが憚られるという雰囲気が実際にはある。でも、Nittoの場合、NICという会社お墨付きの制度があるので、どんな話題でも話しかけやすい環境が整備できている。これは大きなメリットです。ところで、応募アイデアはどういった基準で審査されるのでしょうか。

山本「新規事業創造への熱意」「顧客課題の深掘り度」「Nittoが取り組む意義」という3つの観点で審査しています。ビジネスとして成立させるために具体的な顧客課題を特定して掘り下げられているか等、最終的に取締役が総合的に判断します。

ただし、利益になればどのようなビジネスでも良いわけではありません。Nittoは2020年にESG(環境・社会・ガバナンス)を経営の中心に置く方針を打ち出し、それ以降は開発する新テーマを地球環境と人類社会に貢献するものに限定すると決めました。NICの応募アイデアもそれに準じています。

夫馬:NICは、通常業務では出合わないテーマを探索し、学び、新しい課題や可能性を見つけ出す。これは、人財育成につながりますね。

Nittoが開発するのは、地球環境と人類社会に貢献する製品だけ

山本:夫馬さんは、民間企業がイノベーションを発揮する重要性をどう考えていますか。

夫馬:2015年に国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択して以降、日本でも持続可能性=サステナビリティという言葉は、よく知られるようになりました。実は、学問分野では50年近く前から存在し、北米やヨーロッパの企業では15年くらい前から使われている言葉です。

国連でSDGsが採択されたときに発表された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」には数多くのゴールが設定されています、どの目標についても「持続可能性の実現は、民間企業のイノベーションにかかっている」という内容になっています。企業はそれくらい、人類に対する大きなミッションを背負っている。企業で働く人は、そこに生き甲斐や誇りを持ってもらいたいと思います。

18世紀後半から19世紀前半に始まった産業革命は、働き方だけでなく社会構造まで一新させました。今、まさに新たな産業革命が始まろうとしています。以前の産業革命は世の中を便利にしていくことが大きな狙いでしたが、新たな産業革命は、人類の経済・社会活動がもたらす負の側面も理解しながら、人類社会の存続、サステナビリティがミッションとなっています。過去の産業革命が不可能と言われてきたことを可能にしてきたように、企業の皆さんには、もう一度、不可能を可能にするイノベーションが期待されています。

矢野:私は入社6年目なのですが、入社当初は目の前のお客様への価値貢献を重視した研究開発をしていました。しかし、先ほど山本からも話があったように、私が入社2年目のときに、「地球環境・人類社会に貢献する製品以外は開発しない」という方針転換がありました。その方針に従い、今はサステナビリティを中心に置いた研究開発をしています。

Global Niche Top™戦略で、なくてはならないESGトップ企業を目指す

提供:日東電工
提供:日東電工

山本Nittoでは、サステナビリティ重要課題への取り組みを推進するため、製品の地球環境と人類への貢献を独自の基準により評価し、 特に貢献度が高い製品をそれぞれ「環境貢献製品(PlanetFlags™)」と「人類貢献製品(HumanFlags™)」として認定しています。これらの認定製品をはじめ、お客様にとって「なくてはならない」製品、事業を提供するための重要な戦略が「Global Niche Top™戦略」です。

夫馬:どういった戦略なのでしょうか。

山本グループ固有の技術で優位性を発揮できて、かつ、変化・成長しているニッチな分野へ経営資源を投下する、Nitto独自の差別化戦略です。

提供:日東電工
提供:日東電工

お客さまが困っており、その解決が地球環境貢献、人類貢献といったNittoのやるべきことに資するものなら、例え今はマーケットが小さくとも投資をして、そこでトップシェアを取っていく。

矢野:トップシェアを取れる製品を生み出す根底にあるのが、「三新活動」。これは、技術開発・製造・販売が一体となり、既存技術を応用した新たな技術で新製品を開発したり、既存製品の新しい用途を開拓したりすることで、新たな需要を生み出すNitto 独自のマーケティング活動です。

例えば、1950年代、電気絶縁の用途で誕生したビニールテープは、時代を重ねるたびに新技術・新機能の開発と新用途の開拓を繰り返し、自動車部品やステンレス、光学部材の表面保護フィルムへ進化。現在では、電線メーカーから自動車、ディスプレイといった新たな顧客・業界における需要を満たしています。

中長期を見据えて未来の種を蒔いているNitto

提供:日東電工
提供:日東電工

山本:Global Niche Top™戦略とNitto流ESG経営の実践により、 2025年3月期の連結営業利益(国際会計基準)は過去最高の1,850億円(営業利益率18.4%)になる見通しです。Nittoには財務目標と未財務目標の2種類があるのですが、未財務目標の指標には「ニッチトップ売上収益比率」もあります。これは、お客さまにとって「なくてはならない」Nitto 製品の拡大を計る指標で、2023年度の売上げに占める割合は44%で、2025年度には50%を目指しています。

夫馬未財務目標とは、あまり耳慣れない言葉です。どういったものですか。

山本: 未だ財務にならずとも未来につながり、財務となって利益を生んでいくという考えに立って設定した目標で、製品系、環境系、人財系の計9つを設定しています。

夫馬:これは面白いですね。日本では「非財務目標」という言葉が使われますが、私はこれに違和感があります。「非財務目標」という用語は日本以外ではあまり使われておらず、「サステナビリティ関連財務情報」という言葉が一般的になりつつあります。背景には、サステナビリティ目標も将来財務のために必要なものと考えられているからです。

未財務目標とは、今期のPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)に計上できないけれども、未来に向かって未財務を財務へとつなげていくという意味合いが含まれている。自社の製品を独自に色分けした「環境貢献製品(PlanetFlags™)」と「人類貢献製品(HumanFlags™)」もユニークですが、この未財務目標も独自色がありますし、社内でサステナビリティ経営の意義を深く理解している姿が読み取れます。

変化が激しい世の中ではニーズの移り変わりも早い。今のニーズだけに徹底的に向き合っていても、10年後の未来は見通せません。これからの時代、目先の利益だけを追っていては、中長期の利益を最大化できない。特に、ESGやサスナビリティは中長期で考えるべき項目です。

お話を伺っていて、Nittoは独自の成長戦略とチャレンジを楽しむ組織文化を育み、未来に通用するビジネスの種を自発的に作り出していると感じました。多くの企業は未来のビジネスを発掘できる社内風土醸成に悩んでいますが、Nittoは最初のハードルを越えている。

今後はぜひNittoがいま実現しようとしていることを、もっと積極的に発信していただきたいですね。未来に通用する新たな市場創出から利益を得ていくためには、顧客、行政、投資家、さらにはエンドユーザーなどの理解を促し、エコシステムを自ら構築していく必要がある。そうすることで、Nittoの企業価値を向上させることにもつながっていきます

※「Global Niche Top」「Area Niche Top」は、日東電工の登録商標です。


日東電工(Nitto)の詳細についてはこちら


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