ロシア軍、北朝鮮兵数百人を僻地の軍港へ海上輸送か 衛星画像分析
(CNN) 数百人規模の北朝鮮の兵士がウクライナとの戦争を戦うため、海路でロシアへ輸送された公算が大きいことが衛星画像によって明らかになった。米国に拠点を置くシンクタンクが最新の分析をCNNとのみ共有した。
米ミドルベリー国際大学院ジェームズ・マーティン不拡散研究センターの研究員らによれば、昨年の10月と11月、少なくとも2隻のロシア海軍艦が北朝鮮兵を極東にあるロシアの軍港ドゥナイに輸送したとみられる。
この艦艇による輸送を最初に確認した韓国国家情報院(NIS)は昨年の報道向け発表で一部の兵士について、北朝鮮の清津、咸興、舞水端里といった港湾エリアを経由して運ばれたと述べていた。しかし当時の韓国側が提供したのは不鮮明なレーダー画像のみだった。
現在、不拡散研究センターの研究員らは、NISが報告した兵員輸送と同時期にロシアの艦艇数隻が前出のドゥナイ港に停泊していたことを確認している。
北朝鮮側で兵士らは、これらの艦艇に夜間乗り込むことにより輸送の証拠をつかむのを困難にした公算が大きいと、研究員らは指摘する。しかし衛星画像によりドゥナイでの活動は露呈した。研究員らは「現地のロシア兵は比較的注意を怠っていたようだ」としている。
たとえば、米企業プラネット・ラブズが撮影した衛星画像の1枚には、ロシア海軍の揚陸艦1隻に向かって伸びるクレーンが写っている。同艦は昨年10月17日に停泊していた「ニコライ・ビルコフ」とみられる。隣接するドックには覆いを掛けたトラックも見える。同月20日までにクレーンは撤去されており、兵員輸送が完了したとみられる。
研究員らはロシア軍の「ロプーチャ級」、「タピール級」の揚陸艦も衛星画像からそれぞれ特定することができた。これらの艦艇が、日本の防衛省により2022年3月に撮影された写真と合致したからだ。この時当該の艦艇は、太平洋から津軽海峡を通過し、日本海へと航行していた。

ロシアの揚陸艦に向かってクレーンが伸びている様子が見える。研究者はこの艦艇について「ニコライ・ビルコフ」との見方を示している=10月17日、ドゥナイ港/James Martin Center for Nonproliferation Studies/Planet Labs PBC

10月20日までにはクレーンは揚陸艦から離れており、北朝鮮兵の移送が完了した可能性が高い/James Martin Center for Nonproliferation Studies/Planet Labs PBC
研究員らによれば、各揚陸艦には最大で400人の兵士が収容可能とみられる。
不拡散研究センターのサム・レア研究員はドゥナイについて、保安上優れた軍事施設であり、秘密裏に輸送を行うには近くの大型港ウラジオストクよりも格段に適していると説明した。
ウクライナの当局者と西側の諜報(ちょうほう)機関は今年1月の報告で、これまで推計で1万2000人の北朝鮮兵がロシアへ送られたと明らかにしていた。そのうち4000人前後が死亡するか負傷したという。ウクライナ政府は少なくとも2人の北朝鮮兵を捕らえたとしているが、ロシアと北朝鮮の政府はいずれも前線での北朝鮮兵の存在を認めていない。
CNNはロシア国防省にコメントを求めている。