今売れるテクノロジーの第一条件、それはシンプルさ。
TwitterもFacebookもiTunesもSpotifyも今の売れ筋はどこもワンフレーズで説明できて、初めての人でもスイスイ思うままに使いこなすことができるサービスばかりです。
ここにご紹介する「Tomahawk」はやや複雑めだけど、音楽が好きで、ラップトップやデスクトップでいっつも何か流してて友だちも同じことしてる、そんな人は試して損なし。もしかしたら自分が探してる楽曲アプリのツボにビビンとくるかもしれませんよ?
Tomahawkの強さ
TomahawkはiTunesやWinampみたいに、コンピュータに保存した楽曲が再生できるメディアプレイヤーです。楽しいのは「content resolvers」というプラグインをダウンロードすると、検索用APIで各種ストリーミングサービス(Spotify、Official.fm、YouTube、Bandcamp、Groovesharkなど)から再生したい曲を探してきてくれること。
曲を再生しようとすると、Tomahawkの方でウェブ上の音源やローカルに保存した曲から探して再生してくれるんです。ローカルに保存した曲はわざわざSpotifyで聴かないし、それは再生できて当たり前だけど、自分がまだ持ってない曲も聴けるのは便利ですよね。Tomahawk使ってる友だちのプレイリストにその曲があれば、そこから引っ張ってきて聴けるんです。
「ある曲を再生したい、あるいは誰かが曲を送ってきたとするよね? この場合、彼らが送ってくるのは曲ではなく、曲のメタデータ(アーティストと曲、場合によってはアルバム名とか)なんですよ」と説明するのは、Tomahawkのオープンソースのコントリビューターであるジェイソン・ハースコヴィッツ(Jason Herskowitz)さん。「すると僕の側でTomahawkが『OK、使える全音源でベストマッチ探してみるね』と答えるわけ」
ひとつのプレイリストでもTomahawkでは例えば1曲目はローカルの曲で、2曲目は友達のマシンにある曲、3曲目はTouTubeの曲、4曲目はSpotify...という具合にソース混ぜこぜ。まあ、聴けさえすれば音源なんて普通気にしませんからねー。
P2Pストリーミング専用クライアントみたいに、Tomahawkは友達のコレクションも聴ければ、仕事場から自宅のマシンの曲も聴けるんです。
Tomahawkの使い方を延々紹介した時より随分使い易くはなりましたけど、まだもう少し技術的なところは磨かないと。一番のハードルは「content resolvers」のインストか...これ入れるとYouTube、Spotifyにも繋げるってやつ。
でもまあ十分簡単で、Tomahawkのページに行って右の写真のリストから好きなresolver選ぶか、Tomahawk > Preferences > Resolversで入れてしまえます(こっちの方が簡単)。楽曲が無制限に聴ける楽曲購読サービス(Grooveshark、Spotifyその他)は有料会員登録してからじゃないと使えませんけどね。
「Local network」ではiTunesみたいに家のネットワークで繋がってる他のマシンの曲が聴けます。「Extended network」ではプレイリストにない曲を友達のマシンのコレクションから探して流してくれます(但し友達もTomahawk使ってる時じゃないとダメ)。
Tomahawkの最新版(0.3.3)では友達とリアルタイムで一緒に同じ曲が聴ける機能や、 自分がアクセスできる音源すべて引っくるめたラジオ局を開局できる機能も搭載(後者はEvolver.fm.パブリッシャーであるThe Echo Nestの技術を採用しています)。さらにYouTubeからハイクオリティーな音源だけ選べる便利なエキストラの機能も加わりました。
儲ける予定はあるの?
「Tomahawkはどう儲ける予定なの?」と、NY MusicTech Meetupで会場から質問が出ると、先のハースコヴィッツさんはこう答えてました。
ハースコヴィッツ「その予定はない」
質問者「じゃあ、なぜ...」
ハースコヴィッツ「Tomahawkはオープンソースのプロジェクトで、以下の問題を解決したいという善意と情熱だけで動いているのさ。つまり10年前からあるメディアプレイヤーは10年前の問題を解決するため生まれたものであって、今は[CD-R]ラベルメーカーなんか要らないし、CDケースも印刷しなくていい。Winampみたいな、僕が昔手がけた古いプレイヤーが対処したもので今の我々に対処不要なものって多いのね」
「今解決しなきゃならない問題は、そこら中に音楽のサイロができてるってことさ。僕はExfmに楽曲ライブラリ持ってて、気に入ってるし、Spotifyにも持ってるし、他のところにも持ってるから、あっちのインターフェイスからこっちのインターフェイス、そのまた別のインターフェイスに行ったり来たりでヘロヘロだ。Beatlesから従兄弟のバンドの曲と、自宅にある好きな曲、今見っけたライブ録音まで含めたプレイリストが聴きたいなーと思っても、それをする手立てが地上どこ探してもない。その問題は、これで一挙解決さ。すごくユーザー中心の視点なんだよ」
まったくだわ。とはいえTomahawkも万能じゃなくて、例えばApple AirPlayスピーカーに楽曲送ろうとしたらAirFoilのソフトウェア使わなきゃなりません(少なくとも年内にOS XがAirPlayをネイティブでサポートするまでは)。
気になるAndroid、iPhone対応版は「まだ」とのこと。先が楽しみ!
Tomahawk[Tomahawk 0.3 from Jason Herskowitz on Vimeo]
本稿はEvolver.fmのゲスト寄稿。Evolver.fmは人の楽曲体験とその進化を決めるのは楽曲アプリとの信念のもと、その最新動向を観測・追跡・分析するブログです。ELIOT VAN BUSKIRK - evolver.fm(原文/satomi)