臓器提供待ちに終止符を。
現在、移植のための臓器が必要な人たちの長い待ち行列ができています。でも人工の臓器を移植できれば、待ち続ける必要はなくなります。そんな夢が実現に一歩近づきました。カリフォルニア州サンディエゴにある会社Organovoの研究者たちが、3Dプリンタを使って史上初めて人間の肝臓の小さなレプリカ製造に成功したんです。
それは厚さ0.5mm、幅4mmの小さな小さな肝臓ですが、普通サイズの肝臓とほぼ同じ機能を果たせます。つまりこの研究がもっと進めば、いつか3Dプリントした肝臓を病気の人に移植できるようになる可能性があるんです。
でもその前にこの人工肝臓だけでできることもいろいろあって、一番手っ取り早そうなのは薬や病気に対する肝臓の反応を見ることです。従来の肝臓組織の実験では人体から採取した肝臓のごく一部を使っているので、期間は2日間ほどしかできず、肝臓全体の活動は再現できていません。でもこのミニ肝臓は5日間使えて、実物の動きもシミュレーションできています。そこではホルモンや薬を体に運ぶタンパク質のアルブミンや、脂肪を運ぶコレステロール、アルコールを分解する酵素といったものがちゃんと生成されます。
今後Organovoでは普通サイズの肝臓を3Dプリントで再現し、人体に移植することを目指しています。それにはまず、臓器全体に血液を行き渡らせるための血管のネットワークを実物大でプリントするための方法が課題になります。でも小さくても肝臓を作ってしまえるくらいなら、そんなハードルもクリアできてしまいそうな気がしますが、どうなんでしょうか。期待です。
Ashley Feinberg(原文/miho)