これは、これまで見つかった中で最も古い地球の断片、43億7500年前のジルコン。地球形成を解明する重要な手がかりとして注目を集めています。
本物かどうか不確かなサンプルは他にもありましたが、『Nature Geoscience』最新号に発表されたこのサンプルは正真正銘の本物みたいですよ?
解析を行ったのは、ウィスコンシン大学マディソン校ジョン・ヴァレー(John Valley)地球化学教授率いる国際チーム。使った技術は、原子レベルで分離解析する新断層撮影法「アトム・プローブ・トモグラフィー(Atom Probe Tomography:APT)」です。この技法でジルコンに含まれる各鉛原子の数を数えたんですね。
鉛原子の数を数える放射性同位体分析を用いた先行研究は、ジルコン内に閉じ込めらた放射性ウランが劣化する際に銅同位体を動かしてしまうため、結果は完全とは言えませんでした。「結晶内のA地点からB地点に鉛が動けば、鉛が動いた先のB地点の方が古く、鉛が出ていった元のA地点の方が新しいという風に解析結果にバラつきが出てしまうんですよ」とヴァレー教授。
しかしアトム・プローブ・トモグラフィーはこのような劣化の影響は受けないため、決定的な年代を割り出すことができるのだといいます。「我々はジルコン内に残る科学的痕跡が信頼に値することを実証したんです」(同教授)
43億7500年前というと、巨大な天体が地球にぶつかって今の月ができた、その1億年後。衝突エネルギーで地球はドロドロの灼熱地獄だったと思われています。が、この結晶自体は花崗閃緑岩か石英閃緑岩から形成されたもので、どちらも水分を多く含む岩なんですね。つまりこれが本当なら、地球はマグマの塊のような状態からものすごい勢いで冷えていったことに。もしかして地表に水ができるところまで急速に冷えたんじゃないかっていうのがヴァレー教授の見解です。以下のように話していますよ。
このジルコンは、原初の地球も今の我々が知る地球に近いものだったことを示唆するものです。住めない環境ではなかったんですよ。
[University of Wisconsin-Madison]
JESUS DIAZ(原文/satomi)