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国内最大のSNS「mixi」の日記に、YouTubeの動画が挿入できるようになった(関連記事参照)。mixiはこれまで、ユーザーが投稿したテキストや画像などのコンテンツをmixi内に囲い込んできており、外部サイトとの連携は珍しい。加えてmixiにはすでに動画投稿機能「mixi動画」があり、YouTubeは競合ともいえる。
それでもあえてYouTubeの動画と連携する背景には、ユーザーのサイト滞在時間を延ばしたり、著作権侵害コンテンツ対策やサーバ負荷を“アウトソーシング”する狙いもありそうだ。
これまでmixi日記では、YouTubeのURLを入れてもそのままでは動画を見られず、クリックしてYouTubeにアクセスしなくてはならなかった。今回、YouTubeに対応したことで、mixi日記の画面上で動画再生が可能に。これまでYouTubeに流出していたユーザーを、mixi内にとどめられる。
動画ページは一般的に、テキストページよりも滞在時間が長いため、YouTube動画をmixi内で見てもらえれば、ユーザー1人当たりのmixi滞在時間増にもつながる。PC版mixiのユーザー1人当たりの月間ページビュー(PV)は、昨年12月が861だったのに対し、今年6月には607と半年で約30%減った一方、滞在時間は昨年12月の2時間58分から今年6月の3時間25分へと約15%増えた。mixi動画のスタートは今年2月。動画機能が滞在時間増の一因になってるようだ。
米Nielsen//NetRatingsはこのほど、Webサイトの「視聴率」測定サービスに、ページビューに加えて総滞在時間の指標を導入した(関連記事参照)。今後、サイトのメディアパワーを測る際に滞在時間が重要になってくる可能性が高く、滞在時間を延長できるコンテンツの導入は、mixiのネット上での存在感を高めるためにも重要になる。
mixi運営元のミクシィによると、mixi動画の1日当たりの投稿動画数は1万〜2万。その多くが、友人や家族などとのプライベートな動画だという。確かに、mixi動画の新着動画一覧を見ると、ホームビデオのような動画が多く上がっている。
だがそれだけですべてではない。mixi動画も、タレント名で検索すると、テレビ番組のワンシーンや音楽ビデオなどがヒット。YouTubeほどではないにせよ、著作権侵害コンテンツもアップされている。
同社は著作者向けに侵害コンテンツの削除ツールを提供しており、自社でも24時間体制でコンテンツをチェックしているというが、違法コンテンツの100%撲滅には至っていない。
一方、mixi日記にはYouTubeのURLも多く掲載されている。mixi日記の投稿のうち約1%(1日当たり約1万件)にYouTube動画のURLが引用されているという。
同社の広報担当者は、mixiに投稿されるYouTubeの動画は「時事的なコンテンツなど、mixi動画とは性質が違う」と説明する。mixi日記からYouTubeのURL(youtube.com)を検索してみると、8割ほどが、テレビ番組のワンシーンやミュージックビデオ、アニメ動画などで、それぞれ著作者に無断でアップロードされたものとみられる。
違法コンテンツはわざわざmixi動画に上げなくてもYouTubeから引用すればいい――YouTubeと連携すれば、こう考えたユーザーがmixi動画への違法コンテンツ掲載をやめ、YouTube利用にシフトすれば、mixiは違法動画対策の負担を減らせることにもなる。
動画配信にはばく大なコストがかかり、簡単には収益化できない。「ニコニコ動画」を運営するニワンゴ取締役の西村博之氏は、無料動画サイトはコスト高でビジネスが成立していないと指摘。有料会員制やアフィリエイト広告を取り入れたニコニコ動画もまだ赤字だ。
同社の広報担当者によると、mixi動画もまだ収益化しておらず、「具体的なビジネスプランはまだお話できる段階にない」という。
いまのところはコストでしかない動画コンテンツ。YouTubeとの連携は無料だから、それによってmixi動画の利用量がたとえ減ったとしても、減った分のトラフィックコストをYouTubeに肩代わりしてもらえると考えれば、メリットは大きいと言えそうだ。
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