Content-Length: 11790 | pFad | http://www.kototone.jp/strings/electric/strings.html
スチール弦の張られたアコースティックギターからエレキに持ち替えて、まず最初に感じる違和感は弦の感触だ。アコースティックギターの太く強く張られた弦と違い、エレキギターのか細い弦はテンションも弱くいかにも頼りなげだ。弾いてみても、ボトム弦こそはゆったりと鳴っていい感じに響いてくれるが、トップ弦ともなれば少々心もとない。アタックが弦の許容する範囲を簡単に上回ってしまうのではないかと心配になってしまう。
私のエレキギターに張っている弦は、やっぱりJ. D'Addarioの製品で、EXL125というもの。トップの三本が.009, .011, .016とスーパーライトでボトムが.026, .036, .046のライトゲージになっている。
ちなみに、なにかこだわりがあってこのゲージにしたわけではない。楽器屋の兄さんに、エレキギターの標準的なゲージはなにかと聞いたら、.009で始まるスーパーライトゲージですよ〜、と教えてくれたのをいいかげんに聞いて、.009から始まる違うゲージを買ってしまったというだけの話だ。
この弦を張るレスポール(not Gibson, but by Gibson)の標準ゲージというのが.010のライトゲージというのを後から知って、この早まった選択如何したものかとしばし迷ったが、Les Paul先生お使いのゲージがまさにこの.009で始まり.046に終わるものと知って、よしここはLes Paul師匠にあやかってこのゲージでいってみようと思った。先生だ師匠だ言ってますがもちろん面識なんてこれっぽちもなく、ただ単にLes Paul Signatureがそうなっているというだけだったりする。
つくづくいいかげんな話だな。
トップ弦をスーパーライトにするというのは、チョーキングのしやすさを考慮してのことらしい。確かにチョーキングするにはテンションが弱いほうがやりやすいだろうし、昔知りあったギタリストはチョーキングを多様するために最も細いゲージを使っていると言っていた。
私はチョーキングが嫌いである。折角合わせたチューニングが狂うのがいやだし(私はチューニングが苦手だ)、それに弦の寿命が縮むのもいやだ(貧乏臭い理由だな)。そんなわけでろくにチョーキングを練習していないにも関わらず、スーパーライトゲージなら軽く1弦で1音、2弦3弦なら1音半チョーキング以上ができてしまう。
ブルースやるにはアコースティックの2弦で1音チョーキングができないときついと言われたのを真に受けて、一時期頑張ったのが利いてきたのかも知れない。ともかくチョーキングが楽なのにこしたことはない。
ただここまで弦が細くなると、スライド時に指を切るんじゃないかと心配する。さすがにそれは杞憂だったが、細い弦でチョーキングをすると、いくらテンションが緩いと言ってもさすがに指が痛い。それに音が繊細になりすぎるのもちょっと困る。
音の問題はピッキングでどうにかするしかないのだろうな。
ボトム弦が太くなると低音がちょっと強調されて、しっかりして丸みのある音が好きな私としては大歓迎。低音の響きがいいと和音全体が底支えされて、中域以上の音もよく聞こえてくるから音響というのは面白い。
ただちょっと問題があって、私がレスポール使ってやってる音楽というのが主にボサノバなので、コードが重厚に響くとちょっと困る。やっぱりボサノバは低中域にふくらみを持たせつつ、全体には軽やかに弾きたい。だからといってアンプのバスをしぼるのも負けた気がする。
やっぱりピッキングでどうにかするしかないのだろう。とりあえず親指の爪でも切るか。
J. D'Addario社の弦には弦のゲージ(直径)の他にテンションも書かれていて非常にありがたい。なので、それでもってちょっとした比較をしてみよう。比較するのはエレキギター弦EXL125とアコースティックギター弦のEJ16の二種類である。
音名 | EXL125直径 | EXL125張力 | EJ16直径 | EJ16張力 |
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張力合計 | 42.72 kg | 張力合計 | 74.02 kg | |
E | .009 inch | 5.94 kg | .012 inch | 10.57 kg |
B | .011 inch | 4.99 kg | .016 inch | 10.57 kg |
G | .016 inch | 6.67 kg | .024 inch | 13.70 kg |
D | .026 inch | 8.34 kg | .032 inch | 13.83 kg |
A | .036 inch | 8.84 kg | .042 inch | 13.56 kg |
E | .046 inch | 7.94 kg | .053 inch | 11.79 kg |
当然のことながら直径及び張力はJ. D'Addario発表のもので、張力は648mmスケールのギターに張った状態のもの。だから当然ギターによって違いは出てくるし、エレキギターのスーパーライト+ライトゲージとアコースティックギターのライトゲージを比較しようというのだから、そもそもからして平等ではない。
さてこの表を見て分かるのは、アコースティックギターの弦の張力は、エレキギターのおよそ二倍に達するということだろう。アコースティックギターのあの決して太いとは言えない1弦が10 kgの力で引っ張られているというのも驚くが、ネックが74.02 kgを支えているというのも驚いてしまう。74 kgといえば、私よりずっと重いですよ。
エレキギターでも42 kgほどを支えていて、そりゃネックも反ると納得する。
このテンションの差は弾いても分かるが、一番意識するのは弦の張り替えの時だ。弦を張り替えるとき、アコースティックギターのつもりで弦を巻き上げていくとあっという間に巻きすぎてしまって、物凄い高テンションになってしまっている(下手したら弦を切るかも知れないほど)。
逆にアコースティックギターを張ると、あんまりテンションが強くなるもんだからどんどん不安になってくる。不安でも巻かないことにはどうしようもないので巻くが、やはり練習後には弦を緩めるべきかも知れないななどと考えが揺らいでしまう。
感覚的に捉えるだけでも不安だが、実際に数値として出てしまうと余計に不安になるなあ。
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