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801 韓国捜査機関、公邸進入も尹錫悦大統領の拘束「不可能」 - 日本経済新聞
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韓国捜査機関、公邸進入も尹錫悦大統領の拘束「不可能」

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【ソウル=甲原潤之介】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領を内乱容疑で調べている独立捜査機関「高官犯罪捜査庁(高捜庁)」と警察の合同捜査本部は3日、尹氏の拘束令状を執行するため、捜査員が大統領公邸の敷地内に進入した。大統領の警護組織と5時間強にわたり対峙したが「不可能」と判断し、令状の執行を中止した。

令状の有効期限は6日まで。高捜庁関係者は「今後の措置は検討のうえ、決める」と述べ、6日までに再び拘束を試みるか明言しなかった。

捜査にあたる検事と捜査員は3日午前7時20分ごろ、公邸周辺に到着した。高捜庁は20人、警察は100人あまりの陣容で正門から入り、小高い山の上に建つ公邸をめざした。同8時ごろ、高捜庁は国内メディアを通じ「拘束令状の執行に着手した」と公表した。

高捜庁の説明によると、公邸までの道のりにはバスや乗用車が並べられた複数の防衛線が敷かれていた。最初の鉄門の前で大統領警護庁の職員と軍の人員が立ちはだかり、警護庁の次長が「大統領警護法に従い警護する」と伝えたという。

そこを突破し100〜150メートル上ると、また警護庁職員に通行を阻止された。さらに突破して80〜100メートル上った先で、下から上がってきた警備要員をあわせ200人を超える人員と対峙し、にらみ合いになった。

公邸から200メートル程度まで迫る位置だった。警護組織と軍が「幾重にも壁をつくる状況」だったという。午後1時半ごろ、安全上の懸念があると判断して令状の執行を中止した。

高捜庁は防衛線を突破する段階で「もみ合いや大小の小競り合い」が発生し、警護側の一部は火器を携帯していたと明らかにした。「法による手続きに応じなかった被疑者の態度に深く遺憾の意を表す」と表明した。

聯合ニュースによると、合同捜査本部は大統領警護庁トップの朴鍾俊(パク・ジョンジュン)氏と次長を「特殊公務執行妨害」の疑いで立件することも視野に、4日までの出頭を要請した。

尹氏の弁護士は高捜庁には「内乱罪の捜査権がない」と改めて主張した。「警察機動隊を動員し、無効の拘束令状と家宅捜索令状を強制執行しようとした」と述べて「非常に遺憾だ」と強調した。

韓国の刑事訴訟法では、まず容疑者を拘束し、48時間以内に正式に逮捕状を請求するかを判断する。通常なら拘束して捜査した後、身柄を検察に移管。検察が起訴か不起訴かを決める。起訴なら刑事裁判が始まる。

尹氏は2024年12月3日の「非常戒厳」宣言を巡る弾劾訴追で職務を停止しているが現職大統領のため、大統領警護庁に守られる。尹氏側は、軍事上の秘密を保全する必要がある場所で責任者の承諾なく捜索ができないとする刑事訴訟法の規定を掲げる。

高捜庁と警察の合同捜査本部は12月31日、尹氏の拘束令状が発行されたと発表した。期限は1月6日。現職大統領の身柄が拘束されれば憲政史上初めて。

高捜庁は3回にわたり尹氏に出頭を求めたが、尹氏は応じなかった。

公邸周辺に支持者集結

拘束令状が発行された2024年末以降、公邸の周辺では尹氏の支持者らが集まりデモや座り込みを続けている。3日朝も公邸周辺は支持者や警察官、メディア関係者が集まり騒然とした。

警察は公邸に通じる道周辺を大規模に統制し、歩行者の通行を規制した。歩道橋の通行をめぐり、市民と警官が口論になる様子もみられた。

午前6時台に高捜庁から捜査員が出発したという第一報が流れると、尹氏の拘束に反対する抗議デモの定位置になっている道路の一角に人が集まり始めた。「お菓子お持ちください。食べて闘いましょう」とテーブルの上に食料を広げ、支援者に配る男性の姿もあった。

3日朝のソウルは氷点下まで冷え込んだ。デモに参加した高齢の女性が「カイロありますか」と尋ねる様子もあった。

デモの会場は午前9時になると人で埋め尽くされた。参加した60代女性は韓国と米国の国旗を手に「自由民主主義を守らないといけない。拘束されるべきなのは最大野党『共に民主党』の李在明(イ・ジェミョン)代表の方だ」と興奮気味に語った。

昼になっても現場周辺の集会参加者の数は増え、歩道橋を渡るための行列ができた。参加者は「弾劾無効」「尹錫悦、我々が勝つ」などとシュプレヒコールを上げた。

与党「国民の力」トップの権寧世(クォン・ヨンセ)非常対策委員長は令状執行の試みについて「非常に不公正で越権的な不当行為だ」と批判した。最大野党「共に民主党」の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は「直ちに拘束に再び乗り出すべきだ」と強調した。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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韓国の尹錫悦大統領が2024年12月3日、野党多数の国会が行政をまひさせていると訴え「非常戒厳」を宣言、4日未明に解除されました。韓国国会は14日、宣言が憲法違反だとして野党が提出した弾劾訴追案を可決。25年1月15日に尹氏の身柄は捜査当局に拘束されました。最新ニュースと解説をお伝えします。

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