[胃心地いいね](816)沖縄てんぷら 純天 八重瀬町宜次578-1

 物価高が続く中、「子どもからオジー、オバーまで気軽に食べてほしい」と、沖縄天ぷら「全品90円」を維持する。

 味を追求し、決して妥協しない。衣は薄力粉に冷えた炭酸水と氷を混ぜ合わせた独自の配合。衣が厚くもちもちの沖縄天ぷらと、衣が薄い日本天ぷらの中間のサクサクフワフワの食感が「純天」の特徴だ。

 売れ筋は鶏肉に紅しょうがの衣をまとわせた「紅とり天」と「さかな」が不動のトップ2を誇る。新垣純店長(28)が開発した紅とり天は、そのままでもおいしい鳥唐揚げに沖縄そばでなじみの紅しょうがを掛け合わせた逸品。うま味と脂身、塩気が次々に押し寄せ、背徳的なおいしさが老若男女に支持されている。

 「伝統料理でもあり、おやつでもあるウチナーンチュに愛されてきた天ぷらを広めたい」と18歳の時に天ぷら店で働き始めた新垣さん。2019年に独立してからも伝統天ぷらの形式にとらわれず研究を続けた。

 卵アレルギーの人が多いことに気付き、衣に卵を使うことをやめた。味付けと衣の研究を重ね、現在の形にたどり着いた。

 イカ、エビ、野菜、モズクとおなじみの品目以外にも、店を構える農産物直売店「アグリハウスこちんだ」に並ぶ季節の島野菜も取り入れる。冬のインゲン、春のアーサ、夏のゴーヤーと季節感も楽しめる。

 創業時と比べ、油や小麦粉の値段は2倍に上昇。それでも小銭を握りしめた小学生や毎週訪れる年配者を思い、値上げはせずに姉の棚原ゆりさん(32)と店を切り盛りする。

 新垣さんは「僕と姉でたくさん働けばなんとかなる。何世代にもわたって、おいしいと言われる天ぷら屋にしたい」と人懐っこい笑顔を浮かべた。

(南部報道部・新崎哲史)=金曜日掲載

 【お店データ】営業時間は午前11時~午後6時。ラストオーダーは午後5時半。不定休。電話注文も受け付ける。電話080(6488)3882