Content-Length: 43673 | pFad | http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/01/press20250124-01-bio.html

木材由来のバイオマス資源から優れた特性のポリマー合... | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-
本文へ
ここから本文です

木材由来のバイオマス資源から優れた特性のポリマー合成に成功 高機能と分解性を兼ね備えた特性が様々な産業で活用されることに期待

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所
助教 田原 淳士(たはら あつし)
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 木材や廃紙から製造可能なバイオマス(注1)化合物「レボグルコセノン(LGO)」を用いたバイオベースポリマー(注2)を合成しました。
  • 創薬科学の観点から得られた低分子化学の知見を高分子化学へ学際融合させ、モノマー(注2)同士を精密に配列させることに成功しました。
  • 耐熱性、旋光性(注3)、耐水性といった機能面と、簡単な化学処理による水中での分解性というサステナビリティの両面を併せ持つ、次世代の石油代替樹脂としての応用が期待されます。

【概要】

低環境負荷の観点から、化石資源に依存しないバイオマス資源を用いた樹脂開発は、持続可能な社会の実現につながります。植物や木材から誘導される基礎化学原料は石油由来のものとは異なる分子構造を持ち、バイオマス由来特有の物性が期待されますが、この構造の複雑さゆえに、樹脂を合成する際の重合反応(注2)におけるモノマーの配列は無秩序、またはその精密制御が難しいという課題が残されていました。

東北大学学際科学フロンティア研究所の田原淳士助教、同大学大学院薬学研究科の谷代省吾大学院生と土井隆行教授らの研究グループは、九州大学先導物質化学研究所の工藤真二准教授、星光PMC株式会社(東京・中央、菅正道社長)の外城稔雄氏らと共同で、木材や廃紙から製造可能なバイオマス化合物「レボグルコセノン(LGO)」をモノマーの一つとして用いる、分子鎖が精密に配列された新しいバイオベースポリマーの合成に成功しました。このポリマーは高耐熱性、旋光性、耐水性といった機能面と水中での分解性というサステナビリティを兼ね備えており、次世代の石油代替樹脂としての応用が期待されます。

本成果は 2025 年 1 月 22 日付で、英国王立化学会発行の学術誌 Polymer Chemistry に掲載されました。また学術誌の表紙(Front Cover)への採択が予定されています。

図1. バイオマス化合物の一種・レボグルコセノン(LGO)。木材や廃紙といったセルロースの熱処理によって入手可能。

【用語解説】

注1. バイオマス資源
生物から生まれた資源のこと。森林の間伐材、家畜の排泄物、食品廃棄物など、さまざまものが資源として活用されている。

注2. ポリマー
多数の繰り返し単位からなる高分子化合物のこと。ポリマーを構成する最小の単位をモノマーと呼び、モノマーからポリマーを合成するための化学反応を重合反応と呼ぶ。ポリマーのうち、バイオマス資源を原料とするポリマーをバイオベースポリマーと呼ぶ。

注3. 旋光性
ある種の物質(旋光性物質)が,その中を通過する直線偏光の偏光面を回転させる性質のこと。右手と左手のように互いに鏡写しの関係にある分子の過剰率や一方の異性体の純度をはかる指標となる。

【論文情報】

タイトル:Stereoselective Polycondensation of Levoglucosenone leading to Water-Degradable Biopolymers
著者:Atsushi Tahara*, Shogo Yashiro, Toshio Hokajo, Shinji Kudo, Yuta Yoshizaki, Tomohiro Konno, Takayuki Doi
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 助教 田原淳士
掲載誌:Polymer Chemistry
DOI:10.1039/D4PY01094A

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所
助教 田原淳士(たはら あつし)
TEL: 022-795-6868
Email: tahara.a.aa*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部
特任准教授 藤原 英明(ふじわら ひであき)
TEL: 022-795-5259
Email: hideaki*fris.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

sdgs_logo

sdgs09 sdgs12sdgs14

東北大学は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

このページの先頭へ








ApplySandwichStrip

pFad - (p)hone/(F)rame/(a)nonymizer/(d)eclutterfier!      Saves Data!


--- a PPN by Garber Painting Akron. With Image Size Reduction included!

Fetched URL: http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/01/press20250124-01-bio.html

Alternative Proxies:

Alternative Proxy

pFad Proxy

pFad v3 Proxy

pFad v4 Proxy