困窮世帯支援施設ピンチ
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出雲で開設1年 食料や寄付減少
経済的に困窮するひとり親世帯に食料を無料配布する出雲市の施設「コミュニティフリッジ出雲」の運営が、困難に直面している。開設から1年が過ぎ、利用登録は市内外約200世帯に上るが、食料の寄贈や寄付金は減少傾向にある。運営するNPO法人は、幅広い方面からの一層の支援を求めている。
施設は、出雲市中心部から車で約15分の場所にある元喫茶店を改装し、2023年11月に誕生した。利用できるのは、児童扶養手当受給世帯など。登録すれば、スマートフォンの専用アプリを使って24時間好きな時に入室できる。利用者間で不公平にならないよう、利用は週に1回とし、冷蔵庫や棚に並ぶコメや缶詰、野菜など、決められた個数を袋詰めする。25年1月末現在、松江市から江津市までの人が登録中だ。
施設内の掲示板には、支援者へのお礼のほか、「ここにきたら助けがあるという安心感に支えられている」という率直な思いや、「お互いに頑張りましょうね」と、他の利用者を気遣う言葉も並ぶという。運営するNPO法人「しまね子ども支援プロジェクト」の副理事長、樋口和広さん(59)は「単に食料を配る場所ではなく、存在そのものが利用者の心の支えとなっている」と施設の必要性を訴える。
運営では野菜や果物を月2回、提供してくれる出雲市内のスーパーや、不定期で菓子を持ってきてくれる和菓子店など、活動に協賛する企業があり、食料の仕分けを手伝うボランティアスタッフらの支えがある。
一方、資金面は厳しい。寄付総額は1月下旬までで約930万円。寄付でまかないきれない食材の購入と、光熱費などに毎月計30万円かかり、あと1、2年で資金は底をつく状態という。樋口さんは「個人の善意だけを頼りに活動を続けることは難しい」と、行政や企業への協力を呼びかけている。
コミュニティフリッジ出雲の活動は、特定の地域課題の解決に向けた県共同募金会が行う「しまねテーマ募金」に選ばれた。3月31日まで、赤い羽根共同募金を通じて寄付を集めている。問い合わせは、しまね子ども支援プロジェクト(info@shimane-cspj.org)。