私たちは人の顔を見ただけで「その人が誰であるか」を認識することができます。では、見分ける対象が別の動物、例えばサルならどうでしょうか。サルの個体どうしを見分けるのは難しそうですよね。でも、もしかすると赤ちゃんにはその違いがわかっているのかもしれません。このたび刊行された『顔に取り憑かれた脳』(中野珠実著)の中から、そんな研究を紹介します。 (※本稿は『顔に取り憑かれた脳』を一部抜粋のうえ、再編集しています) 人以外の動物の顔の違いは見分けられるか 赤ちゃんは発達に伴い顔の認識能力が高まる一方で、実は失ってしまう能力もあります。それを見つけたのはフランスのオリヴィエ・パスカリスのグループです。図を見てください。男性2人の顔はまったく別人の顔であることはすぐにわかると思います。一方、2匹のサルの顔は、互いが似ているように見えないでしょうか。大人の場合、自分と同じ種である人間の顔の識別は、得意中
