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miurayoshitaka.hatenablog.com
1. 中田翔のトレードと出場停止解除の経緯 長く日本ハムファイターズの主力を務めてきた中田翔選手が、チームメイトへの暴行によって出場停止中だった2021年8月20日、電撃的に読売巨人軍に無償トレードされた。 チームメイトへの暴力という重大な不祥事があったから、放出そのものは驚くに値しない。しかし、日ハムが8月11日に中田に科したばかりの無期限出場停止処分が、移籍当日の8月20日、わずか9日で解除されたことには驚いた人が多いだろう。 中田は8月21日に早速出場選手登録されて代打で出場し、翌22日にはスタメンに名を連ねて本塁打を放った。結果的に巨人は、阪神との優勝争いの最中に強打者をタダで手に入れたことになった。ネット上には、出場停止処分を有名無実化するような一連の動きを批判する意見が多い。 2. 中田の出場停止解除は日ハムか巨人が意図的に行ったもの ところで中田の出場停止処分がなぜ解除された
久しぶりの更新。 1. 慶大生6人事件にみる公益と私益の相克 1-1. 不起訴の背景には示談成立→告訴等の取り下げがある可能性が高い 1-2. 集団準強姦罪は親告罪ではないこと等 1-3. 公益を重視すれば起訴、私益を重視すれば不起訴に傾く 2. 日馬富士暴行事件にみる公益と私益の相克 1. 慶大生6人事件にみる公益と私益の相克 1-1. 不起訴の背景には示談成立→告訴等の取り下げがある可能性が高い 慶大生6人が女子学生を酒に酔わせて集団で姦淫した容疑で書類送検されていた件は、不起訴になったようだ。 私は被疑者を実名とする事件報道は原則的に拡散しない方針をとっているが、以下の記事は匿名なので貼っておく。 www3.nhk.or.jp 不起訴といっても嫌疑不十分なのか、それとも起訴猶予*1なのか、理由は判然としない。 判然とはしないが、上記の記事によれば、示談が成立したという捜査関係者からの
8月は異様に忙しく、ブログの更新を怠っていた。月も変わったことだし、ここからまた更新ペースを上げていこうと思う。 更新しないでいる間にやや古い話題となってしまったが、はてな元CTOである伊藤直也氏の不倫騒動というのがあった。 不貞相手の女性であるA氏が伊藤氏に対しての怨恨からか、自らのブログで不貞関係を詳細に、画像付きで暴露したことに端を発した騒動だ。 相手女性A氏のブログは、現在は非公開になっているようだが、伊藤氏自身による釈明ブログは現在も公開されている。 d.hatena.ne.jp 弁護士であり、日頃から不貞に絡む紛争を多数扱っている私は、このブログを読んで、「あるあるだなあ」「不貞男が相手女性から恨まれる典型的なパターンだなあ」という感想を持った。 以下、伊藤氏ブログの記述を引用しながら、不貞カップルにありがちなパターンを示していきたい。 1. 精神的に不安定な当事者が不貞関係に
1. はじめに 2. 本件訴訟に至った経緯 (1) 受任までの経緯等 (2)受任後の経緯等 3.X氏による私的制裁行為 (1) 反省文差止めの経緯 (2) X氏による本件記事の拡散工作 4. 和解決裂、判決へ 5. 所感および今後について 1. はじめに 著述家の菅野完氏が被告となった損害賠償請求訴訟(以下「本件訴訟」という。)の判決(以下「本件判決」という。)が、本日8月8日、東京地裁で言い渡された。 本件訴訟を一言で言うと、平成24年7月9日、菅野氏がX氏の自宅で、性的意図を持ってX氏に抱きつく等の行為をし、この行為が不法行為にあたるとしてX氏が220万円の損害賠償を求めたものだ。 本件判決は、請求額のちょうど半額にあたる110万円の損害賠償を認めた。 この訴訟において菅野氏の代理人は私が務めた。本件の事実関係や交渉・訴訟の経過について、一般向けに報告するよう本人から依頼を受けたので、
【氏名】 三浦 義隆(千葉県弁護士会所属) 【事務所名】 京葉弁護士法人(流山おおたかの森・佐倉志津に2拠点) https://otakalaw.com/ おおたかの森法律事務所 【所在】 千葉県流山市東初石6-185-1(新D102街区1) グランデアストーレ102 つくばエクスプレス・東武野田線 流山おおたかの森駅(東口)徒歩3分 https://otakalaw.com/access/ 【電話】 04-7192-7370 【E-Mail】 info@otakalaw.com (代表) miura@otakalaw.com(三浦) 【Twitter】 ystk (@lawkus) | Twitter 【スタッフ】 所属弁護士 2名(三浦義隆、蛯原友則) 事務職員 3名 【ご相談について】 法律相談は顧問先企業様を除き、電話やメールでなくご来所いただくのが原則ですが、相談予約までは電話、
1. エマ・ワトソン論争の概観 2. エマ・ワトソンの主張は矛盾はしていないが救済にはなりにくい 3. 「弱者男性」「キモくて金のないおっさん」問題に解決策はあるか 1. エマ・ワトソン論争の概観 3年前に女優のエマ・ワトソン氏が国連でしたフェミニズムに関するスピーチの話題が、なぜか今さらネット上で再燃しているようだ。 logmi.jp ワトソン氏はこのスピーチの中でいろいろなことを話しているが、今話題になっているのは、 男性もジェンダー・ステレオタイプから自由になってよい(あるいは、なるべきだ)」 と主張している部分。 ワトソン氏は、 「弱いと思われるのが嫌だから」と言って、男性は心が弱っているのに助けを求めようとしません。その結果、イギリスの20歳から49歳の男性は、交通事故、ガン、心臓疾患よりも自殺によって命を落とす方が圧倒的に多いのです。「男性とはこうあるべきである」「仕事で成功し
1. 高須院長は蓮舫氏と大西氏の欠席にご不満の様子 2. 民事訴訟に当事者が欠席するのはむしろ通常の事態 2-1. 代理人が出廷すれば本人の出廷は必要ない 2-1-1. 法律上、代理人に加えて本人が出頭する義務はない 2-1-2. 民事訴訟は書面中心のターン制なので、実際上も出頭の必要はない 2-2. 第1回口頭弁論期日に限れば代理人弁護士すら出頭しなくてよい 3. 「被告が反論していない」という高須院長の主張はおそらく勘違い 4. (オマケ)高須院長の勝訴の見込みは薄い 1. 高須院長は蓮舫氏と大西氏の欠席にご不満の様子 高須クリニック院長の高須克弥氏が、蓮舫議員と大西健介議員を被告として、名誉毀損による損害賠償を請求している民事訴訟の第1回口頭弁論が開かれたようだ。 www.sankei.com 被告は出廷していません。被告らなるものは代理人の弁護士です。いかなる反証もなされておりませ
1. 性的意図必要説に立つ判例は変更される可能性が高い 2. 従来の判例の立場は性的意図必要説 3. 従来の判例に対する批判など 1. 性的意図必要説に立つ判例は変更される可能性が高い 強制わいせつ罪の成立に、「性欲を満たす意図」が必要かどうか争われた刑事裁判で、最高裁大法廷が弁論を開くことを決めたようだ。 大法廷が弁論を開くのは判例変更等がなされる場合であるため、従来の判例が必要としてきた「性欲を満たす意図」を不要とする判断が出る可能性が高い。 以下、一般の方向けに簡単に解説する。*1 www.yomiuri.co.jp 2. 従来の判例の立場は性的意図必要説 従来の判例は、強制わいせつ罪の成立には、通常の犯罪で要求される「故意」に加えて、「その行為が犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行われること」が必要であるとしてきた。*2 性的意図必要説に立つ判例によると
蓮舫氏が戸籍を公開することにしたようだ。 www.news24.jp 私は、蓮舫氏であれ誰であれ、手続の失念などにより二重国籍状態のまま国会議員になった人がいたとしても、騒ぐような問題ではないという考えだ。 もちろん国籍法14条違反の問題はあるから、二重国籍状態が判明したら速やかに国籍選択の手続を行う必要はあるだろう。しかし、このような軽微な違法をことさらに重大視して蓮舫氏を非難し、戸籍という秘匿性の高い情報の公開まで要求する言説は、差別的としか思えない。 そこで私は、蓮舫氏の戸籍公開はする必要がない、それどころか「してはならない」と考えていた。選良たる国会議員、それも第二党の党首がこのような差別的な要求に屈して、戸籍を公開させられる前例を作るべきではないからだ。 だから私としては、今回蓮舫氏がしたとされる戸籍公開の決断は、事実ならば残念だと思う。 しかし蓮舫氏を責める気にまではなれない。
ワタミの求人広告が話題を呼んでいるようだ。 headlines.yahoo.co.jp 月給20万2100円の中に、127時間分の「深夜みなし手当」3万円と、「営業手当」1万円を含むという内容。 これが「127時間も時間外労働させるつもりか」と受け取られて炎上したようだ。 この求人広告についてワタミ側は、概要以下のとおり釈明している。 夕方に出勤する日があるから所定時間内でも深夜労働が生じるため、その分の手当を給与に組み込んだもの 127時間は理論上の最大値として表示しただけ そこで、ワタミの言い分と求人広告を突き合わせて検証してみよう。 1.深夜勤務が予定されている場合に固定深夜手当を定めること自体はおかしくない 2.月127時間分の固定深夜手当もただちに長時間労働を意味するとはいえない 3.「127時間は理論上の最大値」の実際上の意味 4.ワタミの給料は時給換算でいくら? 4-1.基本
週刊少年ジャンプに連載中の「ゆらぎ荘の幽奈さん」という漫画の扉絵が話題になっているようだ。 ジャンプ開いたらいきなりこれだった。成人コミックかと思うよ…。 公式の人気投票でキャラをここまで無意味に裸に剥いて、記号のように全員に恥ずかしがる表情をさせて、それが巻頭カラーだなんて、内容のある作品を描く意味なんてなくなるんじゃないか。 pic.twitter.com/OTDIQKyru4 — 中 (@kanakanakana35) 2017年7月4日 息子には少年ジャンプは読ませない。息子をもつ保護者の皆さん。少年ジャンプ編集部に抗議を。どうかと思うよ https://t.co/1psGZaRmDo — 弁護士 太田啓子 (@katepanda2) 2017年7月4日 このように批判的意見がツイートされ、それに対する反論も大量に出て、炎上の様相を呈している。 私はさほど興味がないから、以下のよう
今回は法律とは関係のない話。 今朝、小学1年生の娘が本の付録の紙の工作を持ってきて、「パパ、やまおりってどっちに折るの?」と聞いてきた。 目の前で折ってみせ、 「こう折るんだよ。やまおりって書いてある線があるでしょう。これが山のてっぺんになるように折るのが山折り。反対に、線が谷の底になるよう折るのが谷折り。山折りも谷折りも折り方は一緒で、線がどっちに来るかの違いだよ」 と教えた。娘は納得したようだった。 この私の説明は、一般的にはやや過剰に見えるものだったかもしれない。普通は目の前で折ってみせるだけで直観的にわかるのかもしれないと思う。 しかし、私自身が、上のように言語化して理解できるまでは、山折りと谷折りの区別が付かなかった。 何歳までわからなかったか明確には覚えていないが、普通よりも遅く覚えたのは間違いない。 誰に教わったわけでもなく、あるときふと「山折りというのは線が山のてっぺんにな
面白いツイートを見つけてしまった。 民進党は臨時国会の召集を「要求」するらしい。形式的とはいえ、国会を召集するのは天皇陛下なのであるから(憲法第7条)、陛下に「要求」とは、言葉が過ぎる。 加計 民進が臨時国会要求へ - Y!ニュース #Yahooニュースアプリ https://t.co/AWeVFiwCUr — 竹田恒泰 (@takenoma) 2017年6月20日 こんな面白ツイートに10日も気付かなかったとは勿体ない。(反省) https://t.co/K5A3rm4ci6 — ystk (@lawkus) 2017年6月30日 さすがに竹田氏も天皇の国事行為が形式的なものだということくらいは理解しているようだから、高校政経レベルの学力はあることがわかる。さすが名門慶應義塾高校出身だけあってなかなか優秀だ。 しかし、天皇の国事行為とされている行為について、その実質的決定権者に対し決定を
1. 度重なる無断駐車被害 2. 弁護士会照会による車両所有者の特定 3. 損害賠償請求 4. 解決 5. 無断駐車対策はなかなか難しい ① 弁護士に依頼するのはコストに見合わない場合が多い ②予め定めた「罰金」を取ることはできない ③ 自動車を足止めするなどの実力行使もできない ④ まとめ 1. 度重なる無断駐車被害 私の事務所には、契約している駐車場が1台分だけある。来客が利用したり、私が車で出勤したときに停めたりする。 土日に出勤すると、しばしばここに無断駐車がされている。 平日の被害はほとんどないことから、「土日は休みだから誰も来ないだろう」という思い込みがあるのだろう。残念ながら弁護士は、むしろ土日も働くことが多い職種だ(本当に残念だ)。 さて、5月6日の土曜日に私が車で事務所に行ったら、また無断駐車がされていた。フォルクスワーゲンだった。 私は従来は、何度無断駐車をされて
また警察絡みで「これはひどい」という情報に接した。 毎日放送という関西のテレビ局が、昨日放送したニュース番組だ。 リンク先の動画を要約しておく。 伊豆丸精二という人が電車内で痴漢の疑いをかけられて被害女性から腕をつかまれ、駅事務室に行ったところ、警察官がやってきた。 伊豆丸氏はICレコーダーで警察官とのやり取りを録音し、この録音が番組中で流されている。 警察署への同行を求められた伊豆丸氏は、「自分は現行犯逮捕されていないということでいいか」「任意の事情聴取のために警察署に同行するのか」ということを警察官に繰り返し確認した。 警察官は「そうです」などと答えた。 そこで伊豆丸氏が警察署に同行したところ、警察署にいた別の警察官は、伊豆丸氏に対し「あなたはもう逮捕されている」という趣旨のことを告げ、手錠と腰縄をかけた。 「話が違う」と抗議する押し問答の中で、警察官は「刑訴法上の話なんかどうでもええ
日本の法律は、民事については弁護士を強制する制度をとっていない。だから交渉であれ裁判であれ、弁護士をつけずに自分でやることは自由だ。 紛争当事者の一方が弁護士を依頼すると、もう一方も不利になりたくないから弁護士をつけることが比較的多い。 しかし弁護士相手に自分でやろうとする当事者も珍しくないから、我々弁護士は、「相手方が弁護士でなく素人」という状況にけっこうよく遭遇する。 弁護士にとって、相手方が素人であることにはメリットもデメリットもある。 1.相手方が素人であることのメリット 相手方が素人であることの弁護士から見たメリットは、一言で 「相手が弱い」 に集約される。 相手方は素人だから何も知らない。法律も判例も、和解の相場も知らない。ネット等でいろいろ自分で調べてくる場合はあるが、素人は断片的な知識を仕入れてもこれを消化する能力がそもそもないから、ほとんど常に誤った理解しかしていない。
刑事事件について、「国選弁護人は手抜きをする」との風評が一部にある。 結論からいうと、この風評は誤っている部分が大きいが、全面的に誤りともいえない。 そこで簡単に解説しておきたい。 1.多くの弁護士は私選でも国選でも真面目にやる 1-1.国選でも私選でも手抜きはできない 1-2. 付加的サービスに差がつくことはあるかも 2.国選は弁護士を選べないのがリスク 3.弁護士の良心に依存した制度は持続可能か 1.多くの弁護士は私選でも国選でも真面目にやる 1-1.国選でも私選でも手抜きはできない 「国選は手抜き」と聞くと、「同一の弁護士でも、私選は真面目にやるが国選は手抜きをするという使い分けをするので弁護の質に著しい差が生じる傾向がある」という意味にとる人が多いだろう。 このような傾向が一般的にあるかというと、答えはノーだ。 国選弁護の報酬はきわめて低廉だ。私選の場合の相場と比べると、ざっと3分
国会議員が秘書に対し、殴ったり暴言を吐くなどのパワハラをした件が話題になっている。 私もネット上に公開されていた録音を聴いたが、あまりのひどさに驚いた。文句なしに不法行為であろう。 行為そのものは非難に値するが、加害者も精神的にケアが必要な状況ではないかという気がする。被害者にきちんと謝罪や損害賠償をするとともに、加害者もしっかり療養してほしい。 1. パワハラは線引きも立証も難しい 2. 叱責はどこからパワハラになるか 2-1. 物理的暴力はアウト 2-2. 「馬鹿」などの人格否定的発言もアウト 2-3. 退職を迫ったり解雇や懲戒処分などを示唆する発言はパワハラになりやすい 2-4. 他の人がいる前で叱責したりするとパワハラになりやすい 2-5.いずれにせよ強い叱責はパワハラのリスクが高い 3.参考文献 1. パワハラは線引きも立証も難しい ところで、話題の議員の件くらいひどい事案
道交法違反関係の裁判例を検索していたら、「これはひどい」という裁判例にヒットした。面白いので紹介しておく。 事件そのものは昭和50年。裁判は刑事が昭和51~52年、民事が昭和58~61年と、かなり古い話ではある。 以下に流れをまとめてみた。 昭和50年5月4日、タクシー運転手のAがタクシーを運転していたところ、路上で交通整理をしていた警察官Kの脇にA車両が停止し、AとKは会話をした。 KはAに対し、Aが道交法違反(進路変更禁止違反)をした旨を告げ、執拗に運転免許証の提示を求めるなどした。なお道交法違反の事実はなかったし、Kが道交法違反を疑うべき合理的な理由もなかった。 AはKに反論して口論になった。Aは車を発進させて立ち去ろうとしたため、KがAの右腕を押さえた。Aがこれを振りほどこうとするなどして、もみ合いになった。この際に、Aの右手がKの顔に当たり、Kは加療約1週間を要する顔面挫傷を負っ
今国会では重要な刑法改正案が成立した。*1 この改正は、性犯罪に関する複数の規定を大幅に改めるものだ。6月23日に公布され、7月13日に施行される予定。 共謀罪の影に隠れて、一般の方にはあまり注目されていないようだから、簡単に解説しておきたい。 今回の刑法改正で、特に重要なポイントは以下のとおり。 1. 強姦罪の罪名が「強制性交等罪」に変更された 2. 強制性交等罪は肛門性交・口腔性交も対象 2-1. 改正前 2-2.改正後 2-3.コメント 3. 強制性交等罪は男性も被害者に含まれる 3-1. 改正前 3-2. 改正後 3-3. コメント 4. 強姦罪改め強制性交等罪の厳罰化 4-1. 改正前 4-2. 改正後 4-3. コメント 5. 監護者わいせつ罪および監護者性交等罪の新設 6. 非親告罪化 6-1. 改正前 6-2.改正後 6-3.コメント 1. 強姦罪の罪名が「強制性交等罪」に
1. 「ソシャゲ破産は免責されない」との誤情報は人を殺す 2. 浪費や射幸行為は免責不許可事由だが裁量免責は可能 2-1. 浪費や射幸行為は免責不許可事由 2-2. 免責不許可事由があっても多くの事例では裁量免責される 3. とはいえ過度の浪費は禁物 1. 「ソシャゲ破産は免責されない」との誤情報は人を殺す 先日Twitterで、「ソシャゲ課金で破産しても免責を受けられないから債務が残る」という趣旨のツイートが大量に拡散されたようだ。 結論から述べるとこれは誤りだ。 既に私以外の複数の弁護士がTwitterなどで誤りを指摘している。 6月19日20時30分現在、Twitter検索によって問題のツイートを見つけることができなかったから、当該ツイートは既に削除されたのかもしれない。そうだとしたら、誤りだということに気付いて削除したということなのだろう。 しかし、誤った情報が一度多くの人に拡散さ
1. やりたくない事件には「抑制的」な警察 2. 警察を動かしたいときどうするか 2-1.告訴と被害届 2-2. 告訴を受理すると捜査をする義務が生じる 2-3. 警察は告訴状の受理を嫌う 2-4. 弁護士が警察に捜査を求める場合どうするか 1. やりたくない事件には「抑制的」な警察 少し前の話だが、政治学者の三浦瑠麗氏が、共謀罪関連のコメントで 「日本の警察がいかに抑制的か知らず、法案の字面だけ読んで「大変な事態になる」と反応しているのでしょう。」 と述べて、困惑や嘲笑などの様々な反応を引き起こした。 www.asahi.com そのとき私はこういう感想をツイートしたし、これに付け加えることは特にない。 三浦瑠麗氏、国際政治学者だから、日本の警察が抑制的かどうかという話については、端的に言って素人じゃん。んで、素人のくせに口出したから案の定間違ってるじゃん。共謀罪関連の主張全体はそん
1. クジラックス氏が警察から自宅訪問を受けた件 2. 表現の自由の主戦場は昔も今もエロ 1. クジラックス氏が警察から自宅訪問を受けた件 漫画作品に描かれた強姦の手口を模倣した強制わいせつ犯が発生したとのことで、埼玉県警が、作者のクジラックス氏の自宅を訪問して「配慮」を「要請」したそうだ。 mainichi.jp ネット上では大きな話題となっており、「表現の自由の侵害だ」など、埼玉県警を批判する声が強い。 しかし、法律論(憲法論)としては、この件を「表現の自由の侵害」というのは困難だろう。 報道やクジラックス氏自身のツイート等から判断すると、警察は、何ら強制的なことはしていないと思われるからだ。単なる「お願い」にとどまるかぎり、人権侵害の問題は生じない。*1 しかし、警察といえば権力機構の最たるものだ。 形式的には強制を伴わない「お願い」にとどまるとしても、警察官がいきなり自宅に訪問して
目次 1. 違反をしていないのに切符を切られそうになった件 2. 道交法の携帯電話などの規制の解説 2-1. 道交法71条5号の5 2-2. 「注視」とはどのような行為か 3.追記 1. 違反をしていないのに切符を切られそうになった件 2週間ほど前のこと。私は仕事の移動のため、地元の走り慣れた道を車で走っていた。 見通しのよい広い道の少し先で、対面の信号が黄色に変わるのが見えた。この信号の変わりばなに引っかかると、1分以上は停止することになる。 私は信号に向けて減速しながら、目の前のホルダーに左手を伸ばしてスマホを取った。 そしてスマホを左手に持ったまま減速しつつ進行し、信号待ちの数台の車列の最後尾に停車した。停車後にスマホを見て、LINEのメッセージが来ているのを確認した。 すると、後方からパトカーがやってきて、私の車の右に停まった。パトカーの窓が開いて、警官は「この信号を過ぎたところで
www.sankei.com 橋下徹氏の実父と叔父が暴力団組員だった等と報じた月刊誌「新潮45」の記事が名誉毀損及びプライバシー侵害にあたるとして橋下氏が新潮社らを訴えていた件で、最高裁が上告不受理を決定したようだ。 民事訴訟法上の権利として上告できる「上告理由」はきわめて限定されており、この上告理由にあたらないとき、最高裁は上告を門前払いできる。 上告理由がない場合でも、重要な法的論点を含む事案で最高裁が法的判断を示す必要があるときに、最高裁の裁量で上告を受理できる「上告受理申立」という制度はある。 しかし話題の件は、上告理由もなく、かつ上告受理の必要も認められないということで、最高裁は上告を門前払いしたわけだ。 ネット上で、「最高裁が出自差別を認めた」などと述べていた人が散見されたが、本件について最高裁は何ら実質的判断をしていないので注意。論評するなら地裁と高裁の判断がその対象となる。
日本の刑事裁判を語るとき、必ずといっていいほど持ち出されるのが「有罪率99.9%」とか「有罪率99%以上」というフレーズだ。 「有罪率99.9%」については、匿名弁護士の刑裁サイ太氏が以前ブログで検証していた。*1 keisaisaita.hatenablog.jp この記事によるとどうも99.9%ではなさそうだが、99%台後半ということにはなるようだ。いずれにしてもきわめて高い。 このような高い有罪率は、それ自体問題ではある。 しかし、マスコミや一般の方が「有罪率99%」云々を、「いったん疑われたら確実に有罪まで持っていかれる」的なニュアンスで言っているのを見ると、弁護士としては違和感がある。 以下に述べるとおり、刑事手続の全体像を見れば、疑われた人の99%以上が有罪になるなどということは全くないからだ。 1. 無罪より不起訴で終わるほうが圧倒的に多い (1) 起訴前に検察官が事件をふる
「保釈」という言葉はマスコミ報道などでもよく目にするが、意外と誤解の多い制度だ。 典型的な誤解としては、「悪いことをしたのに金を積めば出られるのはおかしい」といった意見が散見される。 保釈制度を理解するためには、前提となっている大原則から理解する必要がある。 以下、無罪推定という大原則から説き起こして、「保釈金はどの程度か」「実際どのくらい保釈が認められるか」といった実務的な事項まで解説を試みよう。 1.無罪推定の原則→有罪が確定するまでは自由の身 無罪推定の原則とは、「何人も、有罪判決が確定するまでは犯罪者として取り扱われない」という原則だ。 有罪判決確定まで罪人とは決まらないから罪人として取り扱われないというのは、考えれば当然の話だ。有罪判決を待たずに罪人として扱ってよいなら裁判はいらないことになる。 有罪判決確定まで罪人として扱われないということは、被疑者・被告人は、私たちと同様の自
一審で無期懲役の有罪判決を受けた殺人事件の被告人が控訴したというニュースが話題になっている。 なんでも、被告人は一審の公判において「無期懲役は実質的な終身刑。私は唯一、それだけはいやです」と述べたらしい。 それはいやだろうとは思う。高裁の結論がどうなるかわからないが、控訴するのは被告人の権利だから、控訴審でも思う存分争った上で判決を受ければよい。 ところで、「無期懲役は実質的な終身刑」という言葉は、 「無期懲役で仮釈放はあまり期待できないから、生涯刑務所にいなければならない可能性が高い」 という意味で言っているのだろう。 後に述べるが、その認識は正しい。 そして、それ以前の問題として、無期懲役と終身刑は、実は概念的にも同じものだ。 1.そもそも無期懲役と終身刑は同じ概念 無期懲役は、実際の運用はともかく、概念としては終身刑とは異なると思っている人が圧倒的に多数だと思う。 無期懲役と終身刑が
労働者が仕事上のミスによって使用者に損害を与えた場合に、損害額を労働者の給料から差し引いて支給するケースがときどき見られる。 このような天引きは、業務上の事故がつきものの運送業などでは、ある程度広く行われているようだ。 この問題は2つの層に分けて考えることができる。 そもそも使用者は、労働者の業務上のミスを理由に、労働者に対して損害賠償請求できるか。 仮に使用者が従業員に損害賠償請求できるとしても、賠償金を給与から差し引く方法で取り立てることは許されるか。 以下、この2つの問題について説明する。 1.使用者は労働者の業務上のミスを理由に労働者に損害賠償請求できるか 労働者が業務上の注意義務に違反して、故意または過失により使用者に損害を与えた場合、使用者は不法行為(民法709条)または債務不履行(民法415条)を根拠に労働者に損害賠償請求をできる場合がある。 労働者が自らの故意または過失で使
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