タイ発のBLドラマやアイドルの存在感が増している。その特徴と成功の理由は何か、英誌「エコノミスト」が分析した。
ドラマの半分はBLかGL
近年、ポップソングやテレビドラマをはじめとするタイカルチャーの人気が世界的に高まっている。ブームが始まったのは2020年頃。なかでも、男性同士の恋愛を描いたBL(ボーイズラブ)ドラマは驚くべき成功を収めた。
現在、同国で制作されているテレビドラマは、約半数がBLものかGL(ガールズラブ、女性同士の恋愛を描く)ものだ。バンコクにあるタンマサート大学の研究者プーウィン・ブニャヴェチェウィンによると、2024年に放送されたテレビドラマのうち、61作品がBL・GLもので、2018年の5作品から大きく増加しているという。
タイでは俳優が副業として音楽活動をすることがよくあるため、BL・GLドラマの成功は、タイのポップミュージック、通称「T-POP」の人気上昇にもつながった。Spotifyでは2023年、T-POPの再生回数が前年の2倍に増加。2021年から2023年にかけて、タイの音楽業界の収益は55%増加した。
推しに「手が届く」幸せ
BLは、1970年代の日本で漫画のいちジャンルとして生まれた。しかし、漫画的プロットと洗練された美学が組み合わさったこのジャンルについて、ドラマ化のポテンシャルをより強く認識したのはタイのドラマ制作会社だった。
現在、この分野は大きな利益を上げている。タイの研究機関「SCB経済情報センター」は、2025年、タイBL・GLによる収益は49億バーツ(約219億円)に達すると予測している。これは2020年のほぼ5倍の数字だ。バンコク市内の看板は、BLドラマの俳優たちのものばかり。同国最大の番組制作会社のひとつである「GMMTV」のロビーは、お気に入りの俳優が出勤する姿を一目見たいファンで溢れている。
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