土曜日に仕事をすべきか否か

 爽快な土曜日の午後1時。あなたは数カ月前、勤務先の雑誌の編集長に、今度の号で働きすぎについてエッセイを書くと言った。しかし、他の仕事やプロジェクトに追われ、また、医療的な処置と回復のための休暇に向けて、肉体的にも精神的にも準備をしている。刻々と時は過ぎ、締め切りに間に合わないかもしれない。

 週末に原稿を書くか、それとも月曜日に取りかかるか。その決断と、決断について熟考することは、あなた自身が過労の問題を抱えることになるのだろうか。

 そう、これは私の話だ。私は休みの過ごし方について悩むタイプだ。私だけではないだろう。ひたすら働くことに価値があると教え込まれてきた米国人として、私は昼夜を問わず仕事に没頭してきたという自覚がある。一方で、近年は仕事より大切な趣味を持つようになり、編集長からは、このエッセイを週末に書かないようにと釘を刺された。

 仕事に対する態度や行動は、往々にして二分化される。仕事にのめり込むか、あるいは、いわゆる静かな退職や静かな休暇(流行の言葉はいろいろあるだろう)を選ぶか。しかし、現実はもっと複雑で繊細なのではないか。適切なバランスを見つけるためには、意志の力だけでは不十分だ。それを物語る4冊の新著を紹介する。

働きすぎを克服する力とは何か

 シンクタンクの新米国研究機構(New America)のベター・ライフ・ラボのブリジッド・シュルテはOver Work: Transforming the Daily Grind in the Quest for a Better Lifeの冒頭で、タイトルでもある働きすぎの苦痛が慢性的なストレスや高血圧を引き起こす仕組みについて詳しく説明している。仕事のスケジュールが不安定で予測不可能な人は、特に深刻な問題だ。

 しかし、ほとんどの人は立ち止まらないだろうと、シュルテは指摘する。「仕事を失うかもしれないと考えただけで、(さらに)ストレスが生まれる」からであり、雇用主は現状を変えることに興味がなさそうだ。スタンフォード大学のジェフリー・フェファーはあるインタビューで次のように語っている。「現状維持のシステムが動いている。慣性の力は強大だ。そして(中略)慣性を克服するには、慣性より大きな力が必要になる」