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「楽観的な人ほど貯蓄額が多い」という驚きの研究結果が発表されました。特に低所得者層において、楽観主義が貯蓄行動を促す重要な心理的資源となる可能性が示唆されています。将来への希望と賢い貯蓄スキル、その両方が経済的安定への鍵となるかもしれません。
楽観的な人ほど貯蓄額が多い?
物事の明るい面を見ることは、気持ちを前向きにさせるだけでなく貯蓄にも役立つ可能性のあることが新たな研究で示唆された。米コロラド大学ボルダー校のJoe Gladstone氏と米ニューハンプシャー大学のJustin Pomerance氏らによる研究で、楽観性が高い人ほど貯蓄額が多い傾向があり、この傾向は特に低所得者層で顕著であることが示唆された。この研究結果は、「Journal of Personality and Social Psychology」1月号に掲載された。
Gladstone氏は、「楽観主義は、それをかけると全てが素晴らしく見えてしまう『バラ色のメガネ』であり、将来のための貯蓄を減らす原因になる可能性があると考えられがちだ。しかし、本研究では、特に経済的困難に直面しているときには、楽観主義が貯蓄に役立つ重要な心理的資源である可能性が示唆された」と話している。
この研究でPomerance氏らは、米国、英国、およびヨーロッパ14カ国で実施された8件の調査(参加者の総計14万3,461人)のデータを用いて、楽観主義(素質的楽観主義)と貯蓄行動との関連を検討した。いずれの調査でも、「将来について常に楽観視している」や「全体的に悪いことよりも良いことの方が多く起こると思っている」などの質問を通して調査参加者の楽観主義が評価されていた。8件の調査のうち、3件はある時点でのみ調査を行う横断調査であり、残りの5件は同じ参加者を追跡して複数回の調査を行う縦断調査であった。
その結果、楽観性の高い参加者ほど、概して貯蓄額も多いことが明らかになった。例えば、貯蓄額の中央値が8,000ドル(1ドル152円換算で121万6,000円)の世帯の場合、楽観性の1標準偏差増加は貯蓄の1,352ドル(約20万5,500円)の増加と関連することが示された。この結果は、年齢、性別、交際状況、子どもの有無、小児期の社会経済的状況、健康状態、雇用状況、および「ビッグファイブ(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向)」など、貯蓄と楽観主義の両方に影響を与える可能性がある因子を調整した後も変わらなかった。
さらに、楽観主義が貯蓄行動に与える影響は、低所得者層で最も強いことも明らかになった。この結果についてGladstone氏は、「毎月の給料を使い切るような生活をしている人は、貯蓄に意味を見出せないかもしれない。しかし、楽観的な見通しがあれば、たとえ今、大変な状況に置かれていても、貯蓄しようという動機が生まれる可能性はある」と述べている。
研究グループは、「本研究結果は、特に低所得者層の貯蓄を増やすことを目的とした金融教育プログラムや政策に影響を与える可能性がある。従来の金融リテラシー訓練に楽観主義を育む手法を組み合わせることで、貯蓄行動を促す効果を高められる可能性がある」との見方を示している。Gladstone氏は、「最終的には、将来に対する希望と貯蓄を賢く管理するスキルを組み合わせることが、より多くの人々が経済的安定を築くための鍵となるかもしれない」と米国心理学会(APA)のニュースリリースで述べている。(HealthDay News 2025年2月9日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fpspp0000530
Press Release
https://www.apa.org/news/press/releases/2025/01/optimism-boost-saving
構成/DIME編集部
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