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今日までは「変動金利」を選んだ人のほうが、結果的に低金利の恩恵を受けてきたが、マイナス金利が解除され、金利の上昇圧力が高まりつつある。
そのような中、住宅ローン利用者・利用予定者は今後の見通しをどのように予測しているのか、また住宅ローン利用予定者はどのような観点で銀行を選ぶのか?
不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」はこのほど、10年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用中(以降、購入者)の825名と5年以内に住宅を購入し、住宅ローンを利用予定(以降、購入検討者)の825名を対象に「住宅ローンに関する意識調査」を実施して、その結果を発表した。
【住宅ローンの種類について】購入者の7割が「変動金利」の一方で、検討者の「変動金利」予定は6割を切る
購入者には現在組んでいる住宅ローンの種類、購入検討者には検討している住宅ローンの種類について聞いたところ、共に「変動金利」が最多となった一方で、その割合は購入者が69.7%、購入検討者が57.3%と10pt以上の乖離があった。その分、「固定金利(全期間固定型)」の選択割合が購入検討者の方が高くなっており、金利の上昇を不安視している購入検討者が多いことがうかがえる。
【住宅ローンの世帯年収倍率】「4倍未満」までは検討者の選択割合が高く、「4倍以上」になると購入者が逆転
住宅購入者には住宅ローンを世帯年収の何倍で借り入れているか、検討者には何倍で借り入れる予定かを聞いたところ、購入者は「4倍以上5倍未満」が最多になったのに対し、購入検討者は「3倍以上4倍未満」が最多となった。24年7月に実施した前回調査では購入検討者の最多回答は「4倍以上5倍未満」であったことから、多額を借り入れることへの不安が増大していることが推察される。
両者を見比べると、「4倍未満」までは購入検討者のほうが回答割合が多く、「4倍以上」になると購入者の回答割合が上回っている。
【(購入者)世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合】「2割以上3割未満」が最多。3割以上のうち「もっと借入額を減らせばよかった」が3割
住宅購入者に対し、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合を聞いたところ、最も多かったのが「2割以上3割未満」(40.7%)、その後に「1割以上2割未満」(33.5%)となり、「1割以上3割未満」が約7割を占めた。
続いて、世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合別に借入額に対する意識を調査した。世帯月収に占める住宅ローン返済額の割合が「2割未満」までは「もっと減らせばよかった」の割合は1割程度だったのに対し、「2割以上3割未満」になると22.0%、「3割以上」になると28.3%にまで増加した。
【(購入検討者)住宅購入に対する意向】約5割が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」前回調査より増加
購入検討者に対し、住宅購入に対する意向を聞いたところ、1位が「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」(47.9%)、続いて「住宅ローン控除(減税率)が変わらないうちに買いたい」(33.6%)、「希望に合う物件が出たら買いたい(現状希望に合う物件が出ていない)」(32.1%)となった。
中でも1位の「住宅ローン金利が上がる前に買いたい」は前回調査よりも回答率が6.6pt上昇しており(前回41.3%→今回47.9%)、購入検討者の住宅ローン金利の上昇への不安が感じ取れる。
【今後1年間の住宅ローンの見通し】「上昇」の予測は購入者48.1%に対し、購入検討者68.3%。前回調査より増加
購入者・購入検討者双方に対し、今後1年間の住宅ローン金利の見通しについて聞いた。「上昇」(「何かをきっかけに大きく上昇する」「ゆるやかに上昇する」計)の予測をした割合は購入者が48.1%、購入検討者は68.3%となった。
購入者・購入検討者ともに「上昇」予測の割合は前回調査よりも増加しており(購入者:前回36.6%→今回48.1%、購入検討者:前回62.5%→今回68.3%)、前回と同じく、購入者よりも購入検討者のほうが今後の金利上昇を懸念している傾向となった。
【住宅ローンを払いきれるかの不安について】不安を抱いているのは購入者67.8%に対し、検討者90.1%。一方で金利上昇対策は「していない」が4割
購入者・購入検討者双方に対し、住宅ローンを払いきれるかの不安があるかどうかについて尋ねたところ、「大いに不安がある」と回答した購入者は18.7%だったのに対し、購入検討者は50.2%と過半数を占めた。
不安を抱いている割合(「大いに不安がある」「やや不安がある」計)は購入者が67.8%に対し、購入検討者は90.1%と20pt以上上回った。なお、購入者・購入検討者ともに前回調査から微増となっている。
購入者に対し、金利の上昇に備えて行っていることを聞いたところ、何かしら対策をしているのは62.2%となり、完済への不安はありつつも、対策を打てていない人が一定数いることがわかった。最も多かった対策は「新NISAやiDeCo」(35.4%)、「預貯金」も3割いた一方で、「繰り上げ返済」は15.3%しかおらず、経済の不透明感が強まる中、現金を保有しておきたいという意向がうかがえた。