Intel副社長がクラウドの講演「次の10年を支えるデータセンター基盤とは」
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Intelはクラウドというものをどのように考え、どのように捉え、そして行動しているのか?Intelの副社長兼データ・センター・グループ事業本部長であるKirk Skaugen氏による基調講演「次の10年を支えるデータセンター基盤とは」が、今日と明日の2日間にわたって東京国際フォーラムで開催されている「Cloud Computing World Tokyo 2011」&「Next Generation Data Center 2011」において行われるため、聞きに行ってきました。
基調講演前の説明文によると、「クラウドの急成長に伴い複雑化していくデータセンターは、変革が求められます。ITの直面する課題を解決し、クラウド・コンピューティングの大きな利点を実現していくためには、オープンで業界標準規格に基づくアーキテクチャーを定義していく必要があります。本講演では、今後のクラウドに向けてのビジョンと、その実現に向けたインテルの活動について、標準化団体、オープン・データセンター・アライアンスとの協業や、インテルIT部門のクラウド・プロジェクトの状況などを織り交ぜ解説します」とあり、実際になかなか興味深い話が展開されました。
以下がその基調講演を再現したものです。
ものすごい量の人、列が東京国際フォーラムの中でこのようなことに。これは全部、Intelの講演のために並んでいる人です。
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会場の様子はこんな感じ
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満員御礼
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立ち見が出るレベル
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あまりにも人数が多すぎて別の部屋でも中継
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Intelの副社長兼データ・センター・グループ事業本部長であるKirk Skaugen氏が登場
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インテルのビジョン
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2011年には10億人がインターネットに接続され、2015年には10億人から25億人がインターネットに接続されるようになろうとしています。そして、ソーシャルネットワークなどを通じて、人と人、人とマシン、マシンとマシンが繋がり、実に150億台ものデバイスがインターネットに繋がると予想されています。
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この数は非常に多いようにも感じられますが、エリクソン社などは2020年までに500億台ものデバイスがインターネットに接続されると予測しています。これは、IPアドレスが割り当てられたテレビや携帯電話、組み込みデバイス、工業用ロボットなどもネットに接続されることになるということを意味しています。
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その結果、なんと1000エクサバイト以上ものデータが2015年までにインターネット上でやりとりされるようになると見込まれており、既に2010年までに245エクサバイト分ものデータのやりとりがインターネット上でなされています。
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また、2010年までに行われたデータ通信よりも、より多くのデータ通信が2015年には行われると予測されており、今後4年間の間に今の4倍ものデータ通信がされると言われています。
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そして、この1000エクサバイトというデータ通信が発生するという事は多くのデータが発生するということであり、この大量のデータを処理するため、Intelはこの5年間でシングルコアからデュアルコア、シックスコア、そして10コアの発表を行い、高速化を行っていますが、業界としてより一層、CPUのコアのコストを下げていくためには、より多くの努力をしていかなければならない状態になっているのです。
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これをビジネスメリットの見地から考えた場合、Intel社としては、250億ドルもの節約ができるようになるべきだと意識しており、2015年までにそれが実行出来るように取り組んでいます。なぜこのようなことができるようになるかというと、データセンターの約80%はビジネスに重要な部分であるのですが、その約80%のコストを今はただ運用を行うだけのために、予算を確保して取り続けなければならないという状態になっている、つまり「無駄」が多すぎるわけです。そこで、データセンターのエネルギー効率を考え直す事で、もっと運用予算を効率よく使えるはずだ、と考えたのです。
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世界レベルで見た際に、エネルギー消費の2~3%はデータセンターのエネルギー消費であり、だからこそ、もっとエネルギー消費の効率の良いテクノロジーを取り入れることが必要であり、結果として、45ギガワットの火力発電に相当するほどのエネルギーを節約できる効率よいシステムを開発して全世界のデータセンターに取り入れることが2014年までには可能になるとIntelは考えています。
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例えば、インストールベースの実に40%がシングルコアのサーバと言われていますが、このシングルコアのサーバを運用システム全体から外し、Intelの最新コアを使ったものに置き換えることによって、結果的に何台ものサーバを省くことが可能になるわけです。これにより、冷却コストやソフトウェアライセンスも下げることになり、最初の設備投資には費用がかかりますが、最初の2ヶ月から5ヶ月で回収可能となるわけです。
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今もなお、インストールベースのサーバは刻一刻と老朽化が進んでおり、新しいコアのサーバに置き換えれば2ヶ月から5ヶ月で初期投資の回収が可能であるにもかかわらず、まだ入れ替えることができてないことから、エネルギー効率から考えた場合に大きなムダが発生しており、コレはまさに大きな課題だと言えるわけです。
インターネットアドバイザーの方々から話を聞いていると、クラウドコンピュータのシステムは進化していく中で、それぞれ独自仕様で進化しているということであり、各ベンダー間の互換性がなく、また、パブリッククラウドなどを使用してデータのやりとりを行ったとしても、どのようなセキュアな形をとるのかといったセキュリティの問題などもあるため、そのような問題を解決すると1000億ドル分の産業になる可能性もあるわけです。
Intelはクラウドビジョンの1つにクラウド2015ビジョンというものを持っています。
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これはそう遠くない未来ではないが、だからといって、現状では問題の解決のための答えが今そこにある物とは言えないというのがあるためです。クラウドはいずれデータのやりとりを、ファイアウォールを経由し、セキュアな通信を使って自動的に独自のクラウドから他のクラウドへデータ連携されていくと考えられていますが、Intelとしては今の各種クラウドにはまだその十分な準備ができていないと考えています。例えば、出張の経費報告をする際に、ネットワークに接続して経費報告を作成し、パブリッククラウドを通して経費報告を行うという手順を行う場合、パブリッククラウドがどんどん展開されるわけではないため、コレを解決しようとすると、新しいコンピュータチップを開発したり、新たに2万ものCPUを展開しなければならないといったことになります。つまり、新しいコンピュータチップを作るだけでそれだけのエネルギーを使うという事は、パブリッククラウドはまだまだセキュアなものになっていないと判断しています。
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また、自動化といった事についてですが、クラウドは比較的にインテリジェントではなくスタティックなものなので、もっとCPUの利用を効率的に行ったり、ホットスポットの対応なども話がなされていないわけで、クラウドはもっと多岐に利用しやすく、自動化していかなければなりません。
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インテルの考えている構想の一部として、今のクラウドシステムはクライアントPCの性能があってこそのクラウドなので、どれだけ良いクラウドであったとしても、PC自体の性能が悪いと使用できなかったり、非常に遅かったりという状態になっています。そのため、クライアントPCの部分をデータセンター側のサーバが全て担い、極端な話、クライアントPCにおけるグラフィックの機能も演算の機能も全てクラウドサーバ側が行い、クライアントPC側ではグラフィック機能が無くてもちゃんと動作する、といったクラウドができればどれだけ良いことだろうかと思っています。しかし、コレを行うためには、数百ギガバイトのデータをバックアップする必要があり、日々の運用にはそこまでの時間が足りないということになっているため、なかなか実行に移せないというわけです。
ただ、クライアントPC固有の性能を上げることができれば、それに伴ってデータセンター上のサーバのエネルギー効率などを下げることができるため、「性能は上がるが、エネルギー効率は下がる」といったロードマップを考えられるようになってきています。
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ここで、インテルの考えているデータセンターの実例として、株式会社ビットアイルの天野氏による説明をして頂きましょう
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ここから実際の例としての株式会社ビットアイル天野氏によるプレゼン
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私は2000年に会社から独立後、2001年にデータセンターとして立ち上げを行いました。ビットアイルの特徴としては、都心型インターネットデータセンターとして自分たちでデータセンターを建設し、まずは自分たちで運営をやってみようとしていったことにあります。東京では既に4つのデータセンターを運営しており、西では大阪に1つのデータセンターを運営、全合計で5500ラックほどあるわけですが、来年にはさらにデータセンターを1つ増やす計画があって、合計で6000ラックほどになる予定で、これによってサーバは10万台以上が搭載される形になります。
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顧客の使用割合として、約10%がデータセンターを利用したIDCやISPサービス、約60%がオンラインゲームやECサイトなどを運営しているサービス事業者への提供、15%はシステム開発やSIer、残り15%ほどがエンドユーザーが利用しているような状態です。
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この環境の中には非常に複雑でマルチデバイスを含む環境があると考えてくれれば良いです。プロテクションとして、ユーザー様に対応する我々が踏み込む事の出来ない顧客管理のIDキーといったものもたくさん入っています。
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また、それとあわせて、我々の中にもプライベートクラウドが存在しており、我々が管理する上で必要な所はIDを使用してアクセス出来るような、複雑な運用体制を敷いていると考えていただければ大丈夫です。
これからのデータセンターについては、既にお話があったとおり、電力措置に関する建物の問題なども関連してくると考えています。今は10年前よりも電力需要というものが増大しており、そもそも、省エネという考えはデータセンターには不可欠であって、電気代だけで換算すると大きなロスがまだ発生しています。また、環境問題にも東京都安保環境条例にも従っていく必要があり、さらに3.11の東北大震災についても東京電力からの電力規制がありましたが、これも大きな課題となります。
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加えて、これからの課題について言えば、ITの機器、例えばラック単位での電力の管理、空調管理、サーバの電力管理といったものが上げられます。
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こういった管理をどうにかしていこうと考えたときに、サーバの電力使用効率を下げるポイントとして、まず「サーバ電力の消費量をメール化していこう(サーバの電力の総電力、一体何ワットつかっているのか?というのをメールで投げるということ)」というアイディアが出てきました。じゃあ、今度はそれをどう実現すれば良いかという話になった際に、インテルデータセンターマネージャを使って、電力の履歴から最大値を記録したり、電力のピーク時のタッピングをしたりということが可能になった、というわけです。
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私たちのようなたくさんのデバイスをもつ企業としては、電力管理が大変な課題となってくるため、インテルの提供するインテルデータセンターマネージャのようなものがあると大変助かっている、というわけです。
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これは電力を制限するだけではなく、色々な閾値を制限することによって、曜日・時間など詳細な値が取れ、様々なデータを集めることができる事も肝心ですが、まず何よりも大切な事は、電力の総消費量が見える化できたということであり、顧客のニーズと我々のニーズにあったデータを手に入れることができたという点が非常に重要なのです。
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※ここで株式会社ビットアイル天野副社長が退席
電力管理というものは非常にテクノロジーとしては期待できるものと考えています。例えば、サーバを動かしている場合、バッテリーによるバックアップ電源に移行しなければならない場合、電力の管理をあらかじめしておくことで、このいざというときのバッテリーのサイズを小さくしておくこともできる、というわけです。
また、今後どのように展開していくか、どのように使用限界を見極めていくかというお話をしていきたいのですが、先にIntelの考えているアライアンスの形をお話ししたいと思います。
クラウドというものをどのようにして標準化し、進化させていくのか、どのようにして普及させていくのかという努力を進めてきたわけですが、その結果、1600万人分ものサーバユニットを展開してきました。このアライアンスというのはとてもユニークな物で、特にオープンデータセンターアライアンスというのはITの会社及びエンドユーザーから構成されており、オープンスタンダードとして展開していけるように努力してきたわけです。ただし、こういった標準化の動きを強制するのではなく、お客様からの要件定義のやりやすさなどに取り入れることで標準的に取り入れやすくしていく様な努力をして行っているわけです。
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Intel社だけではなく、他の会社から開発されたUSB技術デバイスなどを取り入れる際に、例えばエンドユーザーが取り入れやすい方法や、何が必要であるかなどを検討していくことで、今後どのようにして標準的な導入をしていくか、どのように技術を広く取り入れていけば良いか、などを常に行い、標準化を行っています。他の会社からのそういった相談も受けることで、さらに標準化を進める努力を行っているというわけです。
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最後になりますが、我々は、オープンデータセンターアライアンスとともに活動しており、インターネットをよりよいものにしていくことを考えてます。また、クラウドビルダーによって、ソリューションスタックが非常に信頼性の持てるものになっており、セキュリティや管理制限を持たせていくようにしています。
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本日はお時間を取って頂いてありがとうございました。
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