三井公一の「スマホカメラでブラブラ」

さすが「Galaxy」のフラッグシップ機! 「Galaxy S25 Ultra」のカメラを試す

はじめに

 2025年2月14日に発売されたサムスン「Galaxy S25 Ultra」。SoC「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を採用し、AI機能「Galaxy AI」や「チタニウム シルバーブルー」、「チタニウム ブラック」、「チタニウム グレー」、「チタニウム ホワイトシルバー」、「チタニウム ジェットブラック」、「チタニウム ジェードグリーン」、」チタニウム ピンクゴールド」という7つものカラー展開が話題だ。今回はこの端末に搭載されている4つの背面カメラを楽しんでみたい。

 端末の特徴や詳しいスペックなどは、本誌別記事を参照いただきたい。

「Galaxy S25 Ultra」の背面搭載カメラの描写は?

 さっそくカメラ部分を見ていこう。実はカメラ部は大きな変更がない。超広角カメラの画素数がアップしただけとなっている。ちょっと残念だが、画像処理エンジン「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」の能力が向上しているので、これにより画質が高くなっているとのこと。

 4つのアウトカメラのスペックはこのとおり。

  • 約5000万画素超広角カメラ(F1.9)
  • 約2億画素広角カメラ(F1.7)
  • 約5000万画素光学5倍望遠カメラ(F3.4)
  • 約1000万画素光学3倍望遠カメラ(F2.4)

 撮影画面はオーソドックスだ。カメラの切り替えアイコンは6つ並ぶが、触れると「30」と「100」のアイコンが現れる。スライドさせるとシームレスに撮影倍率を変更可能だ。

 「EXPERT RAW」モードではマニュアルライクな設定を自分でセッティングできる。

 各カメラの画角はこのような感じ。晴れた日の大分空港で駐機中のJAL機を撮影した。コントラストがありシャープネス高めのGalaxyらしい絵作りだ。30倍まではかなりの描写を見せてくれた。100倍のデジタルズームはかなり厳しい写りに感じられる。

0.6倍
1倍
2倍
3倍
5倍
10倍
30倍
100倍
2億画素記録も可能だが、シャッターを切ったあとにしばらく待たされる。画素数的にもじっくりと被写体と向き合う撮影用だろう。細部の写りはさすがに鮮明である

その他モードの特徴は?

ポートレートモードは「ぼかし」効果をスライダーで調整できる。ライブビューでボケ具合を見ながら撮影できるが、通常撮影からこのモードに入ったときに一瞬待たされるのが気になった
「EXPERT RAW」モードでも「仮想絞り」を使ったボケ効果を得られる。表示される「F値」を参考に好みの表現ができるのがいい

「Galaxy S25 Ultra」でブラブラ実写スナップ

 街を歩きながらのスナップショットは実に軽快だ。電源ボタンのダブルクリックでカメラ機能もクイックに立ち上がるし、動作もキビキビしていて通常のモードでならストレスを感じることなく撮影を楽しめた。

寺社の狛犬を撮った。立体感と精細感ともに良好で、HDRも発色も自然な仕上がり。色合いも見た目に近い
酒場で焼き鳥を撮ったが、初期のAndroid機のような写りだ。シャープネス高めでギスギスした写りでちょっといただけない
電源ボタンのダブルクリックで立ち上がるカメラは使いやすい。レスポンスもまずまずで視線を遠くにしてブラブラと歩いていれば、きっと多くのシャッターチャンスをものにできるだろう
太陽を画面中央に入れてシャッターを切った。雲がかかってはいるがこのようなシチュエーションではクリーンな描写だ。干潟の様子や遠景の建物もしっかりと写しとっている
歴史ある温浴施設を撮ったが、建造物を構成するそれぞれのディテールが確認できる描写である。色再現も自然でいい印象である
空港の展望デッキでのカット。鮮やかな発色と、壁面の微妙な凹凸を「Galaxy S25 Ultra」は繊細に写しとった
暗所での写りも良好だ。ナイトモードにしなくてもハイライト部からシャドウ部まで見た目に近い再現性だ。半円形の椅子から、LEDに照らされる葉まで細やかにキャプチャーしてくれた
超広角カメラでのマクロモードは被写体に肉薄できる。風に揺れる花を連写してピントの合ったカットをチョイスした。「しべ」の様子がよく分かる
上と同じ花を望遠カメラで撮った。カメラを変えると同じ被写体でもこんなに印象が違うものだ。こちらのカットもなかなかの描写で、誰でも簡単に美しい花を撮れるスマホになっていると感じた
30倍で池にいたカモを撮影。等倍で見ると塗り絵的な仕上がりだが、引いてみると結構いい線の写りに感じる。オートフォーカスもレスポンスがよく、この程度の大きさと動きの生き物なら楽に写しとることが可能だ
近所の川で「チー」というカワセミの声が聞こえたので30倍で撮影したカット。ちょっと物足りない
そこで100倍にしてみたが、かなりしんどいカットになった。だが「カワセミ」だということは判別できる写真である。「記録写真」としては有効な倍率だ
知人を酒場で撮影。新型カメラについて思案しているところをポートレートモードのカラーポイントで撮った。背景がモノトーンになり印象的な仕上がりだ
夜の教会をナイトモードで。ディテール、ホワイトバランスともにいい感じ。「Galaxy S25 Ultra」はそつなくさまざまなシーンで楽しめる端末だと感じた

「Galaxy S25 Ultra」まとめ

 超広角から望遠まで「Galaxy S25 Ultra」は誰でも簡単に、優れた描写の写真を撮影できる端末に仕上がっている。絵作りはやや硬い印象を受けるが好みによるだろう。長時間撮影していると、真冬にもかかわらず端末が熱くなるのが気になった。夏場は果たしてどうなるかが心配である。総じてバランスもよく、ウィークポイントも感じられず、さすが「Galaxy」のフラッグシップ機だな、という感じであった。

三井 公一

有限会社サスラウ 代表。 新聞、雑誌カメラマンを経てフリーランスフォトグラファーに。 雑誌、広告、ウェブ、ストックフォト、ムービー撮影や、執筆、セミナーなども行っている。Twitter:@sasurau、Instagram:sasurau