「
インディーズゲームの小部屋」の第197回は,クリスタルソードの
「エリィのアクション」を紹介する。本作は,可愛らしい草の妖精エリィが,いたずら好きの妖精ファータに奪われてしまったメロンを取り返すために冒険を繰り広げるという横スクロールアクション。目に入れても痛くないほどキュートなドット絵と,見た目とは裏腹にもほどがある極悪なトラップの数々が特徴の作品だ。
ゲームの目的は,奪われたメロンを取り返すため,道中に出現する敵やトラップをかいくぐりながら,エリィをゴールまで導くこと。エリィの操作は,方向キーでの移動に加え,ジャンプ,ダッシュ,物を持ち上げる,という3つのキーで行う。ゴール地点には三角旗を掲げたポールが立っているので,そこまでたどり着けば一応ゴールだ。うん,まあ,一応は……。
エリィ
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だがしかし,ゴールに到着したからといって気を抜いてはいけないのが本作の恐ろしいところ。なぜならば,本作ではゴールの向こうにも敵やトラップが待ち構えており,たとえポールにタッチしても,これらの攻撃にやられるとミスになってしまうからだ。
スーパーマリオブラザーズで例えると,マリオがゴールのポールから滑り降り,上空では花火がバンバン上がり,ホッと一息ついて次のステージに向けて歩いているまさにその瞬間,ゴールの向こうから現れたクリボーにやられてしまった,みたいな感じだ。
えっ,マジで? それって反則じゃね!?
ファータ
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当然ながら,本作でもゴール後に自動的に歩いている間は操作ができないため,これは実に悪質な罠だ。しかし,ちょっと何を言っているのかよく分からないかもしれないが,
“ゴール後に死なないようにする”というのは,本作においてごく初歩的なことであり,ゴールインする前に,ゴールの向こうの敵やトラップをどうやってやり過ごすか,あらかじめ対策を立てておくことは常識なのだ。そして本作では,一事が万事この調子で,知らなければ絶対に回避できない極悪トラップが至るところに仕掛けられている。
例えば,ゲームはエリィの家から始まるのだが,家から出ようと数歩進むと突然天井からタライが落ちてくる。当たれば,もちろんアウトだ。しかもこのタライ,何の前触れもなく降ってくるうえ,ゲームを開始するたびに落下パターンが変化するので,ここでざっと5回は死ねる。
タライをかわして最初のステージに進んでからも,油断はできない。いきなり足元からトゲが生えてくる,突如として上からトゲ付き鉄球が落ちてくる,割れ目を飛び越えようとしたら,頭上にあった見えないブロックにぶつかって墜落する,足場にジャンプで飛び乗ろうとしたら,足場がヒョイッと動いてあえなく落下する,などなど,行く手には意地悪な仕掛けが山ほど待ち受けており,こちらの邪魔をしようとする敵キャラまで出現する。
これで死ぬなというほうが無理だ。
こんな調子なので,エリィの残機はみるみるうちに減っていき,
あっという間にマイナスになってしまうはず。またしても,ちょっと何を言っているのかよく分からないかもしれないが,実際そのとおりだから仕方ない。
しかし本作では,残機がマイナスになってもゲームオーバーにはならない……というか,ゲームオーバーそのものが存在しない。残機数はあくまで何回やられたかの目安のようなもので,プレイヤーがあきらめたら,そのときがゲームオーバーというわけだ。ちなみに筆者が本作をクリアしたときの残機は,
マイナス750ほどだった。さすがにちょっと死にすぎですか?
なお本作では,途中いくつかのステージでボス戦があり,どれもなかなかにハードなアクションが要求されるのだが,終盤にはもはやアクションゲームとは呼べないボス戦が用意されており,さすがの筆者も思わず
「これはヒドイ!(そのままの意味で)」と叫ばざるを得なかった。これぞまさに制作者の狙いどおりだと思うが,実際にどうヒドイのかはプレイしてのお楽しみ(?)ということにしておきたい。
そんな本作は,公式サイトで序盤のステージが遊べる体験版が公開されているほか,製品パッケージ版が1260円,ダウンロード版が1050円(共に税込)で発売中。公式サイトでは
“かわいいのに骨太!”などと謳われているが,よくよく見ると,その同じページに
“鬼畜”だの
“悪質”だの
“理不尽”だのといった,なにやら不穏な単語が散りばめられている本作。100回やられても泣かない自信がある人は,ぜひお試しを。
■クリスタルソード公式サイト
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