ハマス、ガザ停戦合意の協議はイスラエルによるパレスチナ人釈放が条件と

がれきの前で、車輪つきの箱を引っ張る子供

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イスラム組織ハマスは24日、パレスチナ・ガザ地区での停戦合意の次の段階に関するイスラエルとの協議について、イスラエルが合意通りにパレスチナ人の収監者らを釈放することが条件だとの考えを示した。

イスラエルは23日、パレスチナ人600人以上の釈放を延期すると発表した。ハマスが20日以降、人質6人と、人質だった4人の遺体をイスラエルに返還したのを受け、多数のパレスチナ人が釈放される予定だった。だがイスラエルは、ハマスが「屈辱的な」引き渡しの式典を開くなど、停戦合意への違反を繰り返していると非難している。

ハマスの高官は、釈放を見送ったイスラエルの決定は、停戦合意全体を「重大な危険」にさらすものだと主張。仲介役、とりわけアメリカに対し、イスラエルに圧力をかけるよう求めた。

停戦合意の第1段階と6週間の戦闘停止は22日に終了した。だが、続く第2段階と戦争終結をめぐる間接交渉は、まだ始まっていない。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、停戦は「不安定」であり、戦闘行為の再開は何としても避けなければならないと警告。同時に、「残りの人質全員の尊厳ある解放」を求めた。

イスラエル人の人質の引き渡し式典。「証明書」を手にした人質らが、銃を持ち覆面をしたハマス戦闘員らと並んでいる(22日、ガザ地区中部ヌセイラト)

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画像説明, イスラエル人の人質の引き渡し式典。「証明書」を手にした人質らが、銃を持ち覆面をしたハマス戦闘員らと並んでいる(22日、ガザ地区中部ヌセイラト)

ハマスはイスラエルの決定を、停戦合意の「あからさまな違反」だと非難している。また、収監者の釈放抜きに停戦延長の話し合いはできないと、仲介役のアメリカ、カタール、エジプトに警告した。ハマスは、イスラエル、アメリカ、イギリスなどの国々からテロ組織に指定されている。

ハマスの政治部門の高官バセム・ナイム氏は24日、「もしパレスチナ人620人が解放されないのであれば、私たちはこれ以上の話し合いを続けることはできない」と、中東の衛星放送局アルジャジーラのインタビューで話した

ナイム氏は、27日に予定されている別の4人のイスラエル人人質の遺体の引き渡しに影響が出るかと問われると、「すべての選択肢が検討されている」と返答。「ネタニヤフ首相は明らかに、停戦合意を意図的に妨害し、戦争へと戻る空気を準備しているとの強いメッセージを送っている」と述べた。

ナイム氏はさらに、人質引き渡しの式典に関するイスラエル側の不満について検討したが、人質に屈辱を与えてはいないと主張。逆にイスラエル当局が、パレスチナ人の収監者を釈放前に虐待したとした。

米政府は、収監者の釈放を延期するというイスラエルの決定を支持している。ハマスが人質に「野蛮な扱い」をしているとし、そのことへの「適切な対応」だとした。

こうしたなか、米ドナルド・トランプ政権のスティーヴ・ウィトコフ中東特使は、「第1段階の延長」を実現するため今週、中東を訪問すると述べた。

ウィトコフ氏は23日の米CNNの番組で、「第2段階を開始し、終了させ、さらなる人質を解放するのに(中略)適切な時期であることを望んでいる」と話した。

パレスチナ・ヨルダン川西岸ラマラでは、収監者が釈放され戻ってくるのを、パレスチナ人たちが待っていた(23日)

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停戦合意の第1段階では、イスラエル人の人質33人が、ガザでイスラエル側に拘束されたパレスチナ人の収監者ら約1900人と交換されることになっている。

これまで、人質25人と人質だった4人の遺体が引き渡されている。この合意とは別に、タイ人の人質5人も解放された。

停戦合意を受け、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退した。何十万人もの避難者がガザ北部の自宅に戻れるようになり、トラック何百台もの支援物資が連日、ガザに運び込まれるようになっている。

停戦合意の第2段階では、残りの人質が解放され、イスラエル軍が全面撤退し、恒久的な停戦が実現することになっている。