カフェインを摂り過ぎないために──本場イタリアの栄養士が勧める、コーヒーの代わりになる飲み物

コーヒーを飲まなくてもいいようにしたければ、まずは健康的な食事と運動、睡眠を確保しよう。そのうえで試してほしい代替オプションを栄養士が伝授する。
Bevande alternative al caffè
Bevande alternative al caffè

毎日31億杯のコーヒーが消費されているという世界において、その代替品を探すことはいい考えかもしれない。イタリアでは10人に7人が毎日コーヒーを飲んでおり、多くは自宅での消費を好んでいるという。

このデータは、コーヒー産業の振興を目的とする団体Consorzio Promozione Caffèが最近発表したもので、同じ調査では好みの淹れ方(カフェポッドシステム、モカ、エスプレッソマシンの順)や、何よりもなぜイタリア人がこれほどコーヒーに情熱を傾けるのかについても取り上げられている。イタリア人にとってコーヒーを飲むことは、精神力と肉体的エネルギーの補充(42.2%)であり、個人的な儀式(35.6%)であり、いいムードの醸成や社交のきっかけ作り(33.7%)でもあるそうだ。しかしコーヒーを楽しむうえで大切なのは、もちろん摂取し過ぎないことである。

チョコレートやお茶など、カフェインを多く含むほかの食品は除いてコーヒーに限定した場合、1日に300~400mgを超えるカフェイン、つまり3~4杯以上を摂ると、不安、頻脈、不眠に悩まされる可能性が高まります」。伊パヴィーアの栄養士アンナ・ラウレンティはそう話し、これが体重の増加に繋がることもあると付け加えた。「睡眠不足は、消化を促したり空腹感を調整する2種類のホルモン分泌に影響を与える」というのがその理由だ。また、彼女がさらに指摘した次の点は言わずもがなだろう。「カフェインには中毒性があり習慣化しやすいため、時間が経つにつれて同じ効果を得るためにより多くの量を必要とするようになります」。早い話、自らを律しつつ、コーヒーに代わる飲食品を模索してみてもいいのではないか、ということだ。

カフェインは本来必要ない

まずは前提から。私たちに活力を与えてくれるのはコーヒーそのものではなく、コーヒーに含まれるカフェインであり、これはコーヒーだけでなく様々な飲料に含まれる。「飲料の摂取で活力を得るというのは応急処置のようなもので、よく眠り、定期的に体を動かし、果物や野菜中心の食生活を送っていれば本来必要がないものです。なぜなら、私たちに必要なエネルギーを与えてくれるのは、主にビタミンやミネラルなどの栄養なのですから」

目覚めのコーヒーに代わるお茶

「エナジードリンクなど、カフェインを含む飲料はコーヒーのほかにもありますが、そのなかには含有量の少ないものもあります。例えば、紅茶6杯はコーヒー3~4杯分に相当します。ホットチョコレートも良い選択肢ですが、この場合はカロリーが高くなることを考慮しなければなりません」と、ラウレンティは言う。

コーヒーの代替品として良いもう一つの選択肢がマテ茶だ。精神的パフォーマンスを向上させるといわれる南米発祥のビタミン豊富な飲み物である。ただし、タバコやアルコールをたくさん摂取する人や、不安症、出血性疾患、心臓病、糖尿病、下痢、過敏性腸症候群、緑内障、高血圧、骨粗しょう症の人などにはお勧めできず、全ての人に適しているわけではない点に注意が必要だ。

カフェインなしの代替品

この場合に求められるのは、習慣的な意味合いや、健康や味覚の嗜好に関連したものになる。カフェインがなければブースト効果もなくなるからだ。ラウレンティは、「中枢神経系を刺激することなく活力を向上させてくれる、フルーツや野菜などのフレッシュジュースやエキス」を勧めている。また、「フェンネルやショウガを使ったものなど、消化を助ける効果がある」ハーブティーも良いという。

しかし、それでもコーヒーを飲む長年の習慣を捨てきれない場合は、デカフェコーヒーを飲むという手がある。「カフェインを除去する化学処理を施した後」でも、愛しいコーヒーのフレーバーは残っているのだから。

胃炎の場合はカフェ・ドルツォを

「胃炎を患っている場合、胃の粘膜を刺激するカフェインを含む飲み物はお勧めできません。そういう人にとって良いオプションとなるのがカフェ・ドルツォ(大麦コーヒー)です。前述のフェンネルやショウガのハーブティーと同じように、大麦コーヒーは刺激がなく、消化を助け、胃酸を抑えるので特に適していると言えるでしょう。もう一つの選択肢がチコリコーヒーです。ただし、名前に惑わされないよう注意が必要です。大麦コーヒーもそうですが、味に関してはコーヒーとは似ても似つかぬものですからね」

朝のカフェで飲めるオプション

では、イタリアの朝のカフェでは、何を頼めるのだろうか。もちろん選択肢は多くない。上記のデカフェコーヒーの代わりに「活力を与えるアルカロイドが豊富な高麗人参コーヒーを飲むことができますが、カフェの提供する一杯には、古典的なエスプレッソより低用量とはいえカフェインが含まれています」と、ラウレンティは言う。「最後に、抹茶という選択肢もあります。抹茶はテアニン(集中力を高めたり、リラックス効果があるとされる成分)を豊富に含むため、カフェインの副作用を抑える効果があります」

From GQ Italia

by Olga Noel Winderling
Translated and Adapted by Yuzuru Todayama


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