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「改造上等!」な中国PC雑誌事情:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/3 ページ) - ITmedia PC USER

「改造上等!」な中国PC雑誌事情山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/3 ページ)

» 2005年06月13日 16時26分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

ハード改造志向の中国PC雑誌

 実は中国も日本と同様、実に沢山の雑誌が出版されている。アジア民族の性なのか、日本も中国もその中身は“コンシューマ向けハードウェア志向”という意味でよく似ている。日本のPC雑誌の多くが、PC本体を紹介するだけでなく、新しいPCパーツのベンチマーク結果を比較したり、PC本体の内部写真を掲載しているが、中国のPC雑誌もその編集方針はほとんど同じである。

 価格は数十円から200円ぐらい。日本と比べてずいぶん安いが、意外にも、紙代と印刷代は中国といえど安いわけでない。では、なぜこうも安くできるのかというと、それは、圧倒的な人口を背景とした販売部数の多さが影響していると考えられる。

 コンシューマ向けハード志向じゃなかったら、ほかにどんな傾向があるんだ? ほかの国はどうなんだ? と疑問に思われるかもしれない。例えば米国やヨーロッパ、それにIT大国のインドなどで発行されているPC雑誌では、その多くが、PCハードの紹介を少しにとどめ、むしろソフトウェアで何ができるのか、ということに多くの紙面を割り当てている。

 ハードウェアは動いてくれればそれでいい。むしろ、そのハードウェアでどんな面白いことができるのか、により多くの労力と紙面を使ってしているのが欧米やインドのPC雑誌の編集方針だ。

 もちろん、欧米だろうがインドだろうが、日本のPCユーザーと心を通じ合わせ、あらゆるパーツが真っ先に店頭に並べられる「世界に冠たる秋葉原」へ巡礼することを憧れるヘビーなベンチマーカーもいるが、あくまで一般的なPC雑誌の主役は「ソフトウェア」なのだ。

 ただ、中国と日本が同じハードウェア志向といっても、日本のPC雑誌のように新しいテクノロジについて考察することは少ない。テクノロジトレンドについてはプレスリリースで書かれている程度の技術紹介に限られており、日本で熱心に取り上げられるGPUやCPUのロードマップの紹介や将来の予測に関する記事は皆無に近い。

 従来のCPUからクロックが下がってしまったデュアルコアCPUの是非や、SLIの存在意義、インテルのプロセッサナンバーやAMDのモデルナンバーの賛否両論、といった論議も中国のPC雑誌では見ることがない。

 中国のPC雑誌が重きをおいているハードウェア記事は「分解」「改造」ネタだ。ものすごく極端で、かつ、よくある例を紹介すると、中国のPC雑誌では分解したら命に関わるような「電源ユニット」の分解記事が頻繁に掲載されている。危険な電源ユニットを分解するくらいだから、ほかのありとあらゆるものが分解されて記事にされているのは想像に難くない。

電源を静音化したり開けて掃除したりしてしまおう!、という特集が掲載される

 分解だけでなく、中国のPCユーザーは少しでも安くあげたい、という考え方を非常に重視しているためか、メーカー保証外当たり前、というような「豪快!改造記事」もよく見かける。

 ひと昔前でいえば、ゴールデンブリッジに手を入れてクロックアップする改造は、新しいCPUがリリースされるたびに検証記事が掲載されていたし、最近でもRADEON 9550のBIOSを書き換えてRADEON 9600に変えてしまう記事が多くのPC雑誌で紹介された。

 ちなみに、従来、中国本土系グラフィックスカードベンダーはビデオチップ1種類につき1製品しか出荷しなかったのに、この改造記事の影響か、RADEON 9550搭載カードだけは、メモリクロックが異なる数種類の製品を発売するなど、いま、RADEON 9550ブームが中国で吹き荒れている。

 ちなみに「歴史大好き中国人」を反映してか、PCやGPUの歴史など、なんでも歴史年表化して記事にするのも中国PC雑誌の特徴だが、多くのCPU史記事で諸葛亮孔明の如く神格化し崇められているCPUが、オーバークロックの始祖「Celeron/300A MHz」なのだ。

 PC雑誌が改造するのはPCパーツだけではない。ファームウェアの書き換えができるなら、デジタルカメラをはじめとする、ありとあらゆるデジタルモノが「上位機種にアップデート成功!」と雑誌に報告される。

豪快な物理的な改造記事は日常茶飯事

「ニセモノ対策」も重要な特集企画

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