女子プロゴルフ小林浩美会長の改革論〈上〉超V字回復の原点「お客さまは誰ですか?」

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が、隆盛を極めています。宮里藍、渋野日向子選手らスター選手が続々と誕生し、実力も世界トップクラス。低迷の時代からプロスポーツ界で人気コンテンツに押し上げた小林浩美会長(62)が、人気の理由を明かしてくれました。小林会長は「経営者」として協会を運営し、組織改革に着手。ビジネス界でイノベーションに必要だといわれる「よそ者、バカ者、若者」を活用しました。選手にはお客さんへ対しての「おもてなしの心」の教育を徹底。中長期計画を策定し収益の黒字化に成功しました。どのように成長を遂げていくのか、その舞台裏に迫ります。

3回に分けて連載します。

ゴルフ

◆小林浩美(こばやし・ひろみ)1963年(昭38)1月8日生まれ、福島県いわき市出身。福島県立磐城女子高時代、ソフトボールの投手として活躍。卒業後、父親のすすめでゴルフを始め、84年9月、プロテストに合格。89年、プロ5年目で初優勝し、このシーズン6勝を挙げた。93年には「JALビッグ・アップル・クラシック」で念願の米ツアー初優勝を飾った。生涯試合出場234試合で国内10勝、米国4勝、欧州1勝の通算15勝。師弟関係はマイク・バービッチ、中島弘二氏。趣味は美術館巡り、旅行。日本女子プロゴルフ協会(LPGA)第6代会長。所属は日立グループ。

■ゴルフ場とのギャップ

いよいよ3月6日には「ダイキンオーキッドレディス」(沖縄・琉球ゴルフクラブ)で今シーズンが開幕する。竹田麗央選手ら新たな米国ツアー挑戦組もいるが、小祝さくら選手ら国内の人気選手は健在。なぜ、ここまでの人気スポーツになったのか―。舞台裏を知ることで、よりファンの方が興味を持っていだだけるよう、その秘密を取材しました。


昨年12月、都内ホテルで開催された「JLPGAアワード」のパーティーは、選手たちの派手なファッションで豪華絢爛(けんらん)だった。

和洋折衷。昨季、年間女王の竹田麗央、小祝さくら選手らは振り袖の着物で、和のおしとやかさを表現。山下美夢有、古江彩佳選手らはドレスで洋の華やかさを表現した。

特に目立ったのは河本結選手のスリットが入った緑色のドレス。そして山内日菜子選手のオレンジ色のウィッグのヘアスタイル。ゴルファーとは思えない、モデルのような雰囲気に、カメラのシャッター音を独り占めした。そんな光景を小林会長は誰よりも喜んで見守っていた。

小林会長皆さん、かわいくてゴージャスでしたね。選手のここ一番の時のファッションは個性的で、年々、華やかになりますね。大会スポンサーの方々はじめゲストの方々は、普段のイメージとの違いに感嘆しているようでした。こういったところに、選手の自覚とおもてなしの心が出ているとも感じます。

ゴルフ場とは違う姿に、魅力を感じるファンも多い。選手は華やかなファッションもファンサービスの一環として意識している。

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野球

平井勉Tsutomu Hirai

Kumamoto

1967年、熊本市生まれ。1990年に入社し、プロ野球の西武、ヤクルト、巨人などを担当。米ロサンゼルス支局時代には大リーグを担当し、野茂英雄、イチローらを取材した。
野球デスク、野球部長、経営企画本部長などをへて現職。著書「清原和博 夢をつらぬく情熱のバッター」(旺文社)「メジャーを揺るがす大魔神 佐々木主浩」(旺文社)がある。