室町時代から江戸時代初期にかけて作られた短編物語の総称「御伽(おとぎ)草子」の魅力を伝える展示会「開館86周年記念展 御伽草子-奈良絵本・絵巻を中心に-」が19日、天理市の天理大付属天理図書館で始まった。初出品となる27点を含む計51点を展示する。11月6日まで。
御伽草子は貴族や武士、後には江戸の町衆にまで広く親しまれ、「一寸法師」や「浦島太郎」の物語をはじめ、これまでに約400種類が確認されているという。挿絵を持つ奈良絵本や絵巻などさまざまな形態があり、華やかな装丁から嫁入り道具の一つとして用いられていたという。
展示では、武家物、宗教物、異国物など、6種のジャンルに分けて紹介。同館所蔵の御伽草子のうち最も古い、菅原道真の伝記「天神絵巻」(室町時代中期)など、貴重な資料が並ぶ。
担当司書の西田裕美さん(50)は、「御伽草子が作られた中世から近世は、貴族から武士が中心の社会へと世相が大きく動いた時代。作品を通じて当時の人々の息遣いを感じてほしい」としている。
会期中は無休。開館は午前9時〜午後3時半。入場無料。問い合わせは、同館(電)0743・63・9200。
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22日午後1時から、御伽草子研究の第一人者、石川透・慶応義塾大教授による記念講演「御伽草子の世界」を同館で開催。物語「小栗判官」の琵琶語りも企画している。事前予約不要、入場無料。