政府は16日に閣議決定した国家安全保障戦略など新たな安保関連3文書で、国会審議でも長年使われてきた「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」に言い換え、正式に名称変更した。表現を弱めて批判を避ける狙いがあるとみられるが、ネット上では「危険な感じを除去する印象操作だ」と指摘されている。
◆安保法→平和安全法制 共謀罪→テロ等準備罪
名称変更の理由を与党幹部は「先制攻撃のニュアンスが出ないよう改めた」と説明する。だが、政府はまだ攻撃を受けていなくても、相手国がミサイル発射準備に「着手した」と判断した段階で攻撃することを否定していない。「反撃」と表現しているが、実際は相手国や国際社会から「先制攻撃」と受け取られかねない内容を含んでいる。
言い換えたことで「相手のどこを攻撃するのか」も曖昧になった。政府・与党は「反撃能力」の対象について、相手国領域内の基地だけでなく、指揮統制機能や相手国の「中枢」への攻撃も排除していない。
政府はこれまでも、集団的自衛権の行使を容認した「安全保障関連法」を平和安全法制とするなど名称変更で反発をかわそうとしてきた。「共謀罪」も「テロ等準備罪」とし、兵器の輸出を原則禁じていた「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」に改めて輸出の要件も緩和した。「空母」も使わずに「多機能な護衛艦」と表現している。
共産党の小池晃書記局長は本紙の取材に「名称変更でごまかすやり方は安倍政権以来のお家芸だ」と批判している。(山口哲人)
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