NHKは2025年2月4日、日本IBMに対して、システム開発の業務委託契約の解除に伴う支払い済み代金の返還と損害賠償を、2月3日付で東京地方裁判所に提起したと発表した。請求額は54億6992万7231円としている。
NHKの発表によると、受信料関係業務全般を支える「営業基幹システム」を刷新するため、2022年12月に新システムの開発・移行を委託する業務委託契約を日本IBMと締結した。その後、日本IBMは1年2カ月以上にわたってプロジェクトを進めてきたが、2024年3月に大幅な開発方式の見直しが必要とNHKに述べた。2024年5月には納期を1年6カ月以上遅らせる必要があると申し入れたという。当初の納期は2027年3月だった。
これら申し入れに対して、NHKは「事業継続に甚大な支障が生じる」と判断。2024年8月に業務委託契約を解除することにした。同時に日本IBMに対して、支払った代金の返還を求めた。しかし、日本IBMが代金を返還しなかったため、NHKは訴訟提起に至ったという。
NHKは「裁判のなかでNHKとしての考えを主張し、適切に対応していく」とした。システム開発の中止に伴う対応は既に実施しており、業務に影響は出ないようにするという。
一方、日本IBMは日経クロステックの取材に対して「協議を重ねて申し入れてきたが、このような形になってしまい非常に残念に思う。訴状が届いていないため、現時点では詳細なコメントは差し控える」とした。