確定申告の時期がやってきた。会社員も無関係とは言い切れない。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「ふるさと納税でワンストップ特例を利用していた人が確定申告をした場合、特例から外れてしまう。例年は確定申告をしない人の場合、こういう落とし穴があるので注意してほしい」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

確定申告
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確定申告の「落とし穴」

今年もこの季節がやってきました。そう、「確定申告」です。会社員で確定申告をしている方は約3割という調査結果(東証マネ部!「確定申告はしていますか?」2022年2月12日)もありますが、ふるさと納税や医療費控除といった還付・控除を受けるために申告している方や、副業で確定申告をしている方もいますよね。

今回は、そんな確定申告における“落とし穴”を紹介。さまざまな制度を活用することで節税につながる一方、情報を見落とすと逆に損をしてしまう可能性も……。そんなトホホ体験をしてしまった方の実体験から、学んでいきましょう。

医療費控除の申告忘れで約60万円が消えた

では早速、ケース1「医療費控除の申告忘れ」。都内で勤務する会社員の大月さん(仮名)は、20代後半で年収1000万円オーバーという高所得者。ただ、仕事柄ハードワーク続きで、最近は体調を崩しがちになっていました。特にここ数年は毎年のように入院するほどの大病を患ったことや、歯科矯正をはじめたこともあり、医療費が年間100万円を超える年もあったそうです。

大月さんの所得税率は約23%なので、年間100万円分の医療費控除を申告した場合、約21万円が戻ってくる計算……なのですが、彼女はなんと、一度も医療費控除の申告をしたことがありませんでした。というより、「“医療費控除”ってなんですか?」状態でした。

とはいえ、大月さんのようなケースは決して珍しくなく、むしろ私的には、“高所得者×ハードワーカーあるある”とすら思っております。日々忙しい彼・彼女らは確定申告について知識を深める時間がないことに加え、節税意識を持たなくてもやっていけてしまう年収ということもあり、基本的な確定申告の知識を持っていない&持たずとも済んでしまったのでしょう。

大月さんには、「これまで医療費控除の申告をしていたら合計60万くらいは戻ってきていたはず」とお伝えし、その重要性を認識してもらいました。