モノを売るために使える5つの人間心理学と実例から学ぶスゴい活用術

あなたは、「何でも売れる営業マン」や、「どんな商品でも結果を出すWEB屋」を見て、「なぜそんなことができるんだろう?」と疑問に思ったことはないだろうか?

そして、その答えを求めて、人間心理学に興味を持って調べたりしたことはないだろうか?

確かに、その行動は正しい。なぜなら、知ってか知らずか、「販売」という分野で高い成果を出している人は、必ず、何らかの心理テクニックを使っているからだ。

しかし、本を読んだり、ネットで調べたりして、そうした心理テクニックの名前や仕組みは理解しても、実際にどのように使えばよいのか分からないという方は多いだろう。

そこで、本日は、私が凄腕のセールスマンに出会い、モノを買うまでの実体験をもとに、セールスの人間心理学の使い方を解説しようと思う。

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1.「認知的不協和テクニック」

人は誰でも売り込まれることを嫌う。そのため、誰もが営業マンに対して強い警戒心を持っている。この事実は、オフラインでもオンラインでも変わらない。従って、最初の段階では、セールスに見られないようにファーストコンタクトを取ることが重要だ。

「認知的不協和」を使うと、簡単にファーストコンタクトを取ることができる。

認知的不協和:人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた場合、これを解消するために、自身の態度や行動を変更するという考え方

何だか小難しい説明だが、これからお話する実話をご覧頂くと、手に取るように分かって頂けるだろう。

夏の、ある暑い日に、私は、なんとなく近くのお祭りに出かけた。そこで、ふと一つの看板が目に入った。その看板には、東北大震災の被災者の人たちが、機材も満足にそろわないプレハブ暮らしの中で、一生懸命にお店を開いている姿が写されていた。

お店は、八百屋、小物屋、魚屋、なかには居酒屋まであった。

それらの写真を無意識に眺めていたら、突然・・・、一人の礼儀正しい男性が、「宮城県で取れた野菜はとてもおいしいですよ。」と笑顔で、冷たい氷でキンキンに冷やしたきゅうりスティックを差し出して来た。

彼は、看板のすぐ横で、宮城県の野菜を売っている震災ボランティアの青年だった

被災地の写真を眺めていて、少しの感傷に浸っていた私は、「被災地を思いやる優しい自分」という自分像を持ってしまったため、親切な自分として行動したい心情になり、そのきゅうりを受け取った。(認知的不協和)

これは、ファーストコンタクトとしては満点に近い。


2.「返報性のテクニック」

ファーストコンタクトを取った後は、セールスの側としては、あの手、この手で、お客様との心理的距離を縮めなければいけない。

そして、「返報性の原理」は、お客様との距離を縮めるために有効なテクニックの一つだ。

返報性の原理:他人から何らかの好意を受けると、お返しをしなければならないという感情を抱く心理的な効果

キュウリを食べ終えた私に対して、売り子の男性は、すかさず、「宮城の土地は、冬の厳しい寒さにも負けない強い野菜を育てるんですよ。だから美味しいんです。」と詳しく説明してきた。(これが後の「一貫性の法則」につながる。)

そして、「トマトもおいしいですよ」と、今度は真っ赤に熟したトマトを渡して来た。

そこで男性は、「宮城は水がキレイだから、食べ物がおいしいんですよ。日本酒も有名なんですよ。」と、「宮城県の野菜はおいしい」という価値観を私の頭に植え付けた。(「一貫性の法則」の繰り返し)

彼の熱心さと礼儀ただしさに好感を持った私は、きゅうりとトマトの試食を貰ったお礼に、いくつか野菜を買うことにした。


3.「一貫性の原理(クロスセル)」

一貫性の原理を使って、見込み客の頭の中に、商品選択の基準となる「価値観」を植え付けておくと、後のアップセルやクロスセルの成約率が倍増する。

一貫性の原理:自分の行動、発言、態度、価値観などに対して一貫したものとしたいという心理

どういうことかと言うと、野菜を買った時点で、私は、宮城県の野菜を買うというと「行動」、宮城県の野菜はおいしいという「価値観」を埋め込まれていた。

こうやって、一貫性の原理を持った状態の顧客に、重ねて新しい提案をすると、あなたのオファーが、遥かに受け入れられやすくなる。

つまり、クロスセルの機会を上手に作り出すことができるのだ。

この事実を知ってか知らずか、野菜を買った直後の私に、となりの魚屋のおっちゃんが、満面の笑みで「宮城県の笹かまぼこも食べてってちょうだい!」と、焼きたての笹かまぼこを手渡して来た。

試食をして、宮城県の食べ物の美味しさを実感していた私は、その笹かまぼこも買うつもりになっていた。


4.「希少性の原理(アップセル)」

笹かまぼこを買いかけ途中だった私に、魚屋のおっちゃんは希少性の原理を使ってアップセルをかけてきた。

希少性の原理:手に入りにくいものほど、良く見えてしまうという心理

この希少性の原理を、アップセルに取り入れると、一人当たりの顧客単価を劇的に上げることができる。

つまりは、こういうことだ。

笹かまぼこを買おうとしていた私に、「干物はもっと美味しいよ!大人気で残り1つしかないんだけど、お客さんみたいな人のために取っておいたんだよ。」と、笹かまぼこの7倍の値段の干物をススメて来た。

この時点では、まだ悩んでいたのだが、このようにアップセルの機会がある時は、希少性の原理を組み合わせて、堂々と提案をすることで、一人当たりの顧客単価が確実に上昇する。

事実、私は次の段階で、結局、干物を買ってしまった。


5.「プレミアム性の演出」

「あと一押し!」というところまで来て迷っている顧客に対しては、プレミアム性を演出することで、背中を押して、成約率を劇的に上げることができる。

プレミアム:額面以上に上乗せされた金額。転じて、付加価値を指す。

簡単に言うと、プレミアムとは、「取引自体のお得感」を出すことだ。

干物を買おうか迷っている私に、魚屋のおっちゃんは、「最後の一匹だけど、兄ちゃんには特別に笹かまぼこも2箱、無料でつけて上げるよ。」と、割引によってお得感を演出してきた。

あなたのご想像の通り、結局、私は、この魚の干物を買ってしまった。

この時は、「笹かまぼこが無料!」がプレミアム性を出すための手段だったが、この外にも割引価格での提供や、アフターケアの保証などもプレミアムになる。

こうやって、セールスステップにがっちりとはまってしまった私は、結局、野菜と干物、日本酒まで買って、総額5千円ほども使ってしまった。

その後、家に帰った私は、妻から「あんたがセールスマンに手玉に取られちゃってどうするのよ。」と軽いお叱りを受けた・・・。


どの企業も心理的テクニックを使っている?

本日は、セールスに心理的テクニックを取り入れていたもののうち、私が実際に経験した一例をご紹介した。

実は、深く分析をしていくと、急成長をなしとげた企業は、知ってか知らずか、マーケティングに、このような心理的テクニックが含まれている例が非常に多い。

例えば、あの東京ディズニーランドは「一貫性の原理」の達人だし、ジャパネットたかたや、やずやはプレミアム性の演出や希少性などの全てに長けている。米ベンチャー企業のZapposも素晴らしい。

また、売れる営業マンも、売れるWEB屋も、ほぼ例外無く、こうしたテクニックを身につけている。

もし、あなたが心理的なセールステクニックに興味を持ったら、あなた自身で、様々な企業のやり方を分析してみよう。そこから得られる気づきや学びは、何よりも貴重な財産となる。

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