会員登録の敷居を下げる入力フォームの作り方(PC編)

102_0387本エントリは、20〜40代のPCをある程度使いこなしているユーザー向けの会員登録フォームの設計について述べたものである。ケータイサイトは含まないし、シニアも対象としていない。シニア向けUIについては(古いエントリだが)こちら

"ユーザーID"と"メールアドレス"

減ってはきたものの、ユーザーIDとメールアドレスの両方を取るWebサービスがいまだに結構ある(ex. Remember the milk)。はてなやYahooAuctionのように「ユーザーIDがニックネームに相当するコミュニティサイト」は除くとして、ユーザーIDを一般客に公開しないにも関わらずIDとメルアドの両方を取る意図がわからない。

ユーザーIDとしてメールアドレスを使うメリットは

  • 会員登録フォームの入力必須箇所が1個減る
  • 好みのIDが取れない事件が防げる
  • "ID忘れ"による機会損失/幽霊会員が減る
    • 流石に自分のメアドは忘れないよね
  • メルマガ送信時に不達となる可能性が減る
    • docomoを解約してsoftbankにしたあと、ログインしようとしてフォームに「xxx@docomo.ne.jp」と入れたら『あ、softbankに変更しなきゃ』と気づくでしょ?

デメリットとしては(日々のログイン作業において)入力桁数が多くて難しいとかあるが、少なくとも会員登録はやりやすいし、AUTO LOGIN機能を設けておけばデメリットを限りなくゼロにできるはず。

この点は後述するが、ニックネームが必要なサービスであったとしても、必ずしも初回会員登録時に取得する必要はない。初回ログイン時に『あなたのニックネームを決めてください』と問えばいいからだ。

生年月日を取るFORMは「年齢」だけにしては?

会員登録ページで「生年月日を入力してください」といって「年」「月」「日」のフォームをそれぞれ設置すると急激に入力する気がなくなる。

抵抗要因として3つもフォームがあって、合計8桁も入力しなければいけない(or 10項目以上ある選択肢から3つも選ばないといけない)ので面倒くさい、というのが1つ。『まさかこの情報「あなた様のマイページ」とかにででーんと掲載されたりしねぇだろうなぁ?』と思ってしまうのが1つある。

あなたのサービスでは本当に「月日」まで必要か? 正確な”年”が必要か? あとで要るかもしれない...という考え方で取るのはやめよう。お客様がリピートしてくれる限り、いつでも取れるチャンスはあるのだから。

でも、ターゲット広告を出したいので年齢はほしい...というときは

eメールアドレス:[ FORM ]*
パスワード:[ FORM ]*
今、何歳? [ FORM ]*
  ※*印の情報は公開されません

とだけ聞けばいい。ほうらこれで入力フォームが2つも減った。セキュリティ的にどうなの? という話もあるにはあるが、パスワードは登録完了通知メールに記載すること*1で「パスワード再入力確認フォーム」を減らすことができる。当然、CSコストも削減できる。そして、公開されない情報であることは明示しよう。安心感が格段に上がる。

緩やかに会員情報を引き出そう

先に述べたIDについての話のなかで、必ずしも会員情報全てを会員登録フォームで取得する必要は無いよ、という話の続き。

ここに、お住まいの地域に合った情報を提供するサービスがあるとする(ex. テレ便番組表や,天気予報)。この類のサービスで会員登録時に必要な入力フォームを1つ減らすTipsは『最重要情報はログイン後に取得させる』である。

最重要情報とはすなわち、そのサービスを受けるにあたって提出すべき、誰が見ても納得性がある情報のことだ。


「そりゃぁ天気予報を受信するには、どの都道府県に住んでるかは入力しないといけないよねー」
なんてことは誰だってわかるし、納得性がある。こういった情報については、会員登録終了後初ログイン時に取得してしまえばいいのだ。

「ようこそ○○ウェザーニュースへ。ニュースを受信するにはあなたがお住まいの都道府県を入力してください」
てな形で取ればいい。

他の例では、月・日まで含む誕生日情報がほしくなったとき、これを入力することが必然であるような機能を実装してゆるやかに取得するというパターンもある。「日替わり星座占い」などを実装して「誕生日を入れるだけで占い結果が毎日届く!」とするわけだ。

Bad Case

とまぁこの系の話は尽きないが、そろそろ眠くなってきたのでw 比較用として、"これはひどい"となる最低パターンを挙げて終わりとしたい。

ユーザーID:[ FORM ]
パスワード:[ FORM ]
パスワード(確認):[ FORM ]
eメールアドレス:[ FORM ]
eメールアドレス(確認):[ FORM ]
生年月日: [ Pulldown list(4digit*100) ]年 [ Pulldown list(2digit*12) ]月 [ Pulldown list(2digit*12) ]日
お住まいの地域[ Pulldown list(46) ]

※パスワードはメールで配信されます。
 メール内URLにアクセスするとお好きなパスワードに
 変更することができます。


見ただけでがっくりと膝を折りたくなる入力フォームである。だめな点を挙げていくと

  • 入力必須フォームの数が多すぎる
  • 公開される情報か否かの明記がない(たとえ全て非公開だとしても、だ)
  • パスワードとemailアドレスの二重チェックしている(面倒)
  • 生年月日や都道府県にプルダウンリストを使っている(面倒)
  • 地域を会員登録時に必須情報としている

入会フォームはシンプルに行きたいものである。




注: シニア向けUI、ケータイ向けUIはこれまた違ってくるので注意。例えばシニア向けではキー入力は極力避けて"あえて"プルダウンを使わせるとか、パスワードを自分で考えることに慣れていないので自動発行パスワードにしてメールで通知してあげる*2、とか。

シニア向けUIについては、だいぶ古いが下記エントリーも参考にしていただければと思う。

▼入力ミスを減らすメールアドレス入力フォームの作り方
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20080516/p2

団塊〜シニア層向けのWeb設計 やっちゃいけない10のUI
http://d.hatena.ne.jp/wa-ren/20061117/p1

※追記。本エントリーははてなブックマークコメントが面白い。時間があればこちらもぜひ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http%3A//d.hatena.ne.jp/wa-ren/20080410/p1

*1:追記: はてブでもコメントがあったが、この点は賛否両論異論反論オブジェクション山ほどある問題という認識はしてる。でも、送ってくれよ!という人が実はすごい多い。やっぱり忘れたときに検索したり、最初のうちは覚えてないから確認メールを見ながらアクセスする人が多いようだ。ケータイサービスではログイン専用URLをプロテクトメールとして保存しているユーザーが多いのと同じなんだろう。経験上、平文メールで送りつけることに文句を言うひとより、登録完了メールにPWがないことで文句を言う人のほうが多い印象

*2:どのみち印刷してPCの脇に張ったりする使い方なので、考える手間・入力する手間を削減してあげよう、というねらい

pFad - Phonifier reborn

Pfad - The Proxy pFad of © 2024 Garber Painting. All rights reserved.

Note: This service is not intended for secure transactions such as banking, social media, email, or purchasing. Use at your own risk. We assume no liability whatsoever for broken pages.


Alternative Proxies:

Alternative Proxy

pFad Proxy

pFad v3 Proxy

pFad v4 Proxy