Everything you've ever Dreamed

ただの日記です。それ以上でもそれ以下でもありません。

花束を君に

当たり前の、何気ない、毎日の暮らしこそが尊く、美しい。そんなことに気づくのに40年もかかってしまった。今、僕は忘れてしまいがちな、素晴らしくもありふれた生活に花束を贈りたい。そう、マジで思っている。
 
今日、会社を休んだ。普段より遅い朝でも、いつもと同じようにフジテレビ系列の「めざましテレビ」。妻のお気に入りは愛犬紹介コーナー「今日のわんこ」。コーナーの始まりをキッチンにいる妻に知らせるのが僕の役目。「今日の○ンコ始まったよー」「はーい!○ンコ~ちょっと待って~」
 
僕はコーヒーをすすりながら、彼女はエプロンの裾で濡れた手を拭きながら画面を見つめた。画面の中で散歩する雑種犬。子犬時代の写真。ありきたりの幸せなエピソード。「この○ンコ、子供のときは白くて可愛いのに、なんで大人になると黒くなっちゃうんだろう?」彼女は言った。
 
僕は適当に相槌を打ちながら早起きして皮を剥いたタマ○○について考えていた。ネギは長ネギよりも断然タマ○○。長ネギの長さとタマ○○の硬さが両立すればいいのに。皮を剥いたタマ○○はいつも僕を悩ませる。やれやれ。視線を落とした先にはボロボロの○ックス。テレビには北朝鮮のミサイルの映像。よく見ると先月の発射映像。近いうちにまた発射するらしい。将軍様のバースデーミサイルの火を吹き消すことは出来ない。世界の誰にも。
 
「これ何?」と彼女は訊く。「北朝鮮の、いや、金○○のミサイル」と僕は答えた。「凄いの?金○○のミサイル?」彼女の声の鋭さに思わず驚く。「大型で危険。射○数千キロ。何発もある」「そんなに射○長いの?」「アメリカに届くヤツもあるらしい。安保に影響あるよ」「○ンポ?」「○ンポ。日米○ンポ」チン黙が僕らを包んだ。「金○○の、長い、射○」彼女は一語一語、まるで重要文化財に指定された庭園に置かれた踏み石を一歩一歩踏むように、丁寧に紡いだ。
 
「じゃあイッてくるね」彼女には学友と○ンチする約束があった。テラス席でオシャレ○ンチ。「○ンチ楽しんでおいで」僕は彼女の背に声を掛けて送りだした。ひとり残された部屋で僕は皮を剥いたタマ○○を弄りはじめた。このように何気ない日常も、見方によってはエロチックな美しさをたたえるのである。僕は自分のどうしようもない人格に菊の花を供えたい。(所要時間16分)
 
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