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Yahoo知恵袋で風評被害を受けた誹謗中傷対策会社、同業者を裁判で訴える

By Arjen Stilklik

風評被害対策・誹謗中傷対策を行っている会社が「Yahoo!知恵袋」で根拠のない書き込みをされたのでヤフーに書き込んだ者のIPアドレス開示請求を行ったところ、同じ風評被害対策・誹謗中傷対策を行っているライバル会社の代表取締役であることが判明したため、名誉毀損、信用毀損及び威力業務妨害による損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴したそうです。

ネット上で弊社を誹謗中傷した競合企業社長を特定。名誉毀損及び威力業務妨害による損害賠償請求を提訴|シエンプレ株式会社


経緯は以下のような感じになっています。

今回の提訴は、同業者である坂本大氏が弊社に対し、平成22年12月14日にYahoo知恵袋(http://chiebukuro.yahoo.co.jp)上で、弊社が「自作自演」(自ら顧客の中傷を書き込んだ後、営業を行い、対策の提案をする)を行っているという虚偽の記載を行なったことが発端にあります。弊社では、即座にYahoo知恵袋を運営するヤフー株式会社及び該当プロバイダーに対しIPアドレス及び情報開示請求を行いました。そして、平成23年10月26日、契約者は坂本大氏である旨と、契約時のメールアドレス(パフォーマンスマーケティング株式会社のドメインのもの)の開示を受け、坂本大氏を被告とし、名誉毀損及び威力業務妨害による損害賠償請求を東京地方裁判所に提訴した次第です。


以下が訴えられたパフォーマンスマーケティング株式会社が過去にリリースに書いていたアドレス「誹謗中傷対策.net」および「www.pmarketing.jp」にアクセスすると飛ばされるサイト。

誹謗中傷対策・ネット危機管理専門コンサルタント


企業情報ページ(キャッシュ)を見るとパフォーマンスマーケティング株式会社とは違う社名「株式会社プログノシス」であり、住所も代表取締役の名前もまったく違っています。


上記ページの最終更新日は「2011年12月14日 0:18:03」となっており、どういうわけか代表取締役の名前や取締役の名前が検索避けのためなのか何なのか、画像になっています。


※2011/12/16 18:27追記、上記で名前が出された「株式会社日本シークレット・サービス」は公式サイト(キャッシュ)下部にて「企業情報ページに掲載されていた弊社の社名・役員名・肩書き・経歴は、弊社に一切断り無く掲載されていたものです」「業務上を問わずいかなる関係もありません」と関係を否定しました。また、株式会社プログノシスは他者の名前を無断使用していたことが明らかになったため、ページをこのように書き換え、顧問から日本シークレット・サービスの名前を消しています。

しかし、過去のプレスリリース、例えば以下を見るとリンク先は上記ページになっており、過去に上記ドメインを使っていたことは明らかです。

WEBレピュテーションリスク監視・調査・分析サービス開始|パフォーマンス・マーケティング株式会社のプレスリリース


ページ下部から確かにリンクしています


また、代表取締役の名前についても、同じく過去のプレスリリースを見ると明記してあります。

パフォーマンス・マーケティング、誹謗中傷対策「ブログ書き込み削除」開始|パフォーマンス・マーケティング株式会社のプレスリリース


さらにウェブ魚拓で調べてみると、以下のような感じで過去の企業情報(2010年2月16日午前1時22分時点)が出てきました。

http://xn--fiqt5dqxqbs5avcqeqa.net/kigyo.html - 2010年2月16日 01:22 - ウェブ魚拓


また、以下のような情報もあります。

パフォーマンス・マーケティング株式会社 代表取締役 坂本 大|プロフェッショナルを探す|経営者通信Web


サイト下部には「このサイトは、取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております」と明記してあるため、上記ページの内容はパフォーマンス・マーケティング株式会社自身が自分で書いたモノ、ということになっており、2ページ目下部にはちゃんとサイトへのリンクが書いてあり、プロフィールも掲載されています。それによると過去にアフィリエイトのA8.netを運営している株式会社ファンコミュニケーションズに勤めていたことがあるようです(2011/12/15 15:06追記、株式会社ファンコミュニケーションズからの連絡によると「坂本氏は確かに当社の元社員ではありますが、退職後何年も経過しており、当社のあとは別の会社に勤務されていることと思われます」とのことです)。

パフォーマンス・マーケティング株式会社 代表取締役 坂本 大|プロフェッショナルを探す|経営者通信Web


また、さらにファンコミュニケーションズ退職後に勤めた別会社で起きた出来事について、2011年5月1日更新の以下のインタビューで割と詳細に答えています(2011/12/15 15:04追記、株式会社ファンコミュニケーションズ社長室からの連絡によると「当社についてのことではなく、別の会社に在籍していたときのことだと思われます」とのことです)。

カンパニータンク ~経営者の元気を伝える情報誌~|インタビュー|パフォーマンス・マーケティング 株式会社 代表取締役 坂本 大


以下がその部分です。

坂本 私は起業する前、上場企業グループ傘下のネット関連会社に勤めていました。主な業務内容はインターネットを通じた各種情報サービスの提供です。その会社に在籍していたあるとき、なぜか急に、不自然なほど多くの取引先から契約解除が相次ぎました。原因を探っていくなかで、私のいた会社を誹謗中傷したブログ等の記事がアップされていたことに気づいたのです。そのせいで10億ほどの年商が約1億8000万減り、会社は相当な被害を被りました。

大門 それは、悪意を持って事実とは違うことを書き込まれた?

坂本 ええ、内容は「不正経理をした」「個人情報を流した」といったもので、全くの事実無根です。ただ、取引先に本当のことを説明しても後の祭り。一度植え付けられてしまったマイナスイメージを払拭するのは難しく、再度ご契約頂ける取引先はほとんどないというのが現実でした。私が独立する1年前、2007年のことですね。

大門 もはやそれは、どの企業にとっても起こりうること。対岸の火事ではありませんね。IT革命により便利な時代にはなりましたが、インターネットはかくも恐ろしい一面を持っているのですな。

坂本 ええ。そのとき私はネット誹謗中傷対策の責任者に任命され、色々な対応策を講じたのです。当初はネット技術に頼った方法を模索していましたが、そうではない別の手法も独自に編み出すなど、そこで蓄えた誹謗中傷対策のノウハウを以て2008年の起業に至りました。

また、誹謗中傷対策企業がマッチポンプをしているのではないか?という質問に対しては以下のように回答しています。

大門 なるほど。少し穿った質問ですが、その匿名性ゆえ、SEO対策会社自体が仕事を得るため悪質な書き込みをすることもあるのでは?心ない自転車屋に例えると、近所に停めてある自転車をわざとパンクさせるといったような。

坂本 ええ、我々のような業者自体が何かやっているのではないか、といった疑念を抱かれることもあります。マッチポンプ的なことですね。弊社ではこちらから営業することはなく、お問い合わせのみで対応していますので、当然ながらそのようなことはありません。ただ、同業で後発の会社もたくさんあるなかで、ひょっとするとそういった自作自演をする会社が存在するかもしれない。例えば “食”の安全性への意識が高まっている今、飲食系企業が「○○社が運営する飲食店で食中毒になった」などと事実無根のことを書かれようものなら被害は甚大です。このようなことをする人々を総称して、ネットヤクザとも言いますね。

今回、パフォーマンスマーケティング株式会社代表取締役である坂本大氏を訴えたシエンプレ株式会社によると、

企業の誹謗中傷を対策する立場の者が、自ら「根も葉もない噂」や「誹謗中傷」を書き込むということは、風評被害対策・誹謗中傷対策業界全体の信用を著しく貶める行為であり、当業界のリーディングカンパニーである弊社としては、弊社の信用毀損以上に看過できないことであります。今回の坂本大氏の行動が当業界への影響力が決して小さくないことも考慮に入れ、坂本大氏を提訴する運びとなりました。

となっており、今回の件に限らず、このパフォーマンスマーケティング株式会社のWikipediaの項目も謎な経緯を辿っています。

パフォーマンス・マーケティング - Wikipedia


「出典がまったく示されていないか不十分」「大言壮語的な記述になっています」「宣伝広告的であり、中立的な観点で書き直す必要があります」「他の記事からほとんど、または全くリンクされておらず、孤立しています」というようにして山のように突っ込まれ、さらに主な誹謗中傷対策事例として書き込まれた以下の一文には「要出典」と書かれる始末。

2008年に起きた某マザーズ上場会社に対する誹謗中傷ブログが100件以上立ち上がった問題にて、 全面解決を図ったのは有名[要出典]。詳細は、およそ1年間でその企業に対する100件もの誹謗中傷ブログが乱立し、年間約2億円もの損失が発生。危機管理部門を担当し、ネットの書き込みに対するコンサルティングを行う。

Wikipediaの「履歴表示」をクリックすると、どうやら2009年12月11日 (金) 10:57に作られたらしく、約1時間半後に速攻で「この記事の解説する対象は「特筆性」を欠いているおそれがあります。もしこの記事が解説する対象が百科事典に掲載するに足る特筆性を持つものであるなら、それを立証する出典を示してください」と書かれています。が、それを無視して少しずつ書き足されていき、2010年1月1日 (金) 04:10には後に「要出典」と書かれることになる「2008年に起きたマザーズ上場会社に対する誹謗中傷ブログが100以上立ち上がった問題にて、 全面解決にあたる」が書き込まれています。また、2011年7月22日 (金) 21:07には突如として代表取締役の名前とサイトへのリンクが消えています。

加えて気になるのが「ネット誹謗中傷対策委員会幹事」という一文。こんなものがあったのかと思って検索してみると、出てくるのは以下のページ。パフォーマンス・マーケティング株式会社に関するプレスリリースばかりです。

ネット誹謗中傷対策委員会に関するプレスリリース/プレスリリース配信・掲載のPR TIMES


もう一つ出てくるのがamebloに開設された以下のブログ。記事は2009年9月21日と22日のわずか2本のみで、いずれも最終的には「http://sakujyo.com/」への誘導となっており、さらに「パフォーマンスマーケティング運営」ということで、「誹謗中傷対策.net」「削除.jp」「誹謗中傷.com」「関連検索削除.net」があげられています。

誹謗中傷対策委員会のブログ
http://ameblo.jp/no-hiboutyuusyou/


さらに前述のパフォーマンス・マーケティング株式会社代表取締役である坂本大氏への俳優大門正明氏によるインタビューも、なぜわざわざ大門氏なのかという理由は以下のページにあるのではないか?と推察されます。

シエンプレ 株式会社 代表取締役 清水亘|経営者インタビュー|仕事を楽しむためのWebマガジン、B-plus(ビープラス)


今回、パフォーマンス・マーケティング株式会社代表取締役である坂本大氏を訴えたシエンプレ株式会社、その代表取締役である清水亘氏に対して、俳優の大門正明氏がインタビューしています。つまり、パフォーマンス・マーケティング株式会社はシエンプレ株式会社と同じような信頼感を演出するためにわざわざ俳優の大門正明氏をインタビュアーとして選んだのではないか?という推測も可能です。

これがシエンプレ株式会社の代表取締役である清水亘氏、そして記事中にインタビュアーとして出てくる俳優の大門正明氏


パフォーマンス・マーケティング株式会社代表取締役である坂本大氏、記事中にインタビュアーとして出てくる俳優の大門正明氏とがっちり握手


基本的に過去の経験上、「有名人と握手して一緒にとなりに並んで記念写真」というのは、いわゆる「ハロー効果」を狙って、イメージをねじ曲げようとする場合によく使われる手法であり、信頼性を向上させるためにこういったテクニックを今回は使ったものと予想されます。

調べれば調べるほどパフォーマンス・マーケティング株式会社については「?」なところが多く出てくるわけですが、逆に訴えた側のシエンプレ株式会社についてはあまりこれといったものはネット上には出てこないようになっており、めぼしいのは以下のまとめブログの中で名指しされている程度です。

「ネットの書き込みが企業イメージに悪影響、早めに対策を」 ネット工作会社シエンブレ代表・清水亘氏 : 気になる2ちゃんねる(n´・ω・`n)


片っ端から不利な情報を消して回っているのか?と思いそうなほどですが、もしそうだとすれば恐るべきノウハウと実行力ということになり、風評被害対策・誹謗中傷対策として考えると、ネット上で調べればぼろがいっぱい出てくる会社とそうでない会社と、どちらに頼むのが適切であると判断するべきか、という話になります。

このようにして、まさしく高度な情報戦がリアルで繰り広げられているわけですが、今後、パフォーマンス・マーケティング株式会社からシエンプレ株式会社に対する何かアクションが起きるのか、あるいは上記のようなパフォーマンス・マーケティング株式会社に関する「?」な情報の数々もまた、どこかの誰かによって時間をかけて仕掛けられた用意周到な仕掛けなのか、それともそう思わせようとする何者かの……

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in メモ, Posted by darkhorse

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