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「た」からはじまる ことわざ 5

126. 民を視ること子の如くす ( たみをみることこのごとくす )

 君主が人民をわが子のように深く愛すること。

127. 矯めるなら若木のうち ( ためるならわかきのうち )

 木の枝ぶりを直そうと思えば、若木のうちがよい。 人も悪いくせは、大きくなってからではどうにもならない。

128. 田もやろう畦もやろう ( たもやろうあぜもやろう )

 田と畦とをやってしまえばそれで全部なので、何もかもあげよう、ということから、相手の言いなりになること。

129. ダモクレスの剣 ( だもくれすのけん )

 生命をおびやかす危険が、いつも身に迫っているたとえ。常に危険の脅威にさらされている状態をいう。 西暦400年ごろ、シチリア島にディオニュシオスという非常に疑心の深い王様がいた。 ある日、廷臣(ていしん)のダモクレスに、王とはどういうものか知ってもらいたい、と言い、彼を一日限りの王位につけた。 ダモクレスは、王様の椅子(いす)に座って王位を満喫していたが、祝宴の最中に、ふと自分の頭上に、 一本の馬の毛でつるされた抜き身の剣が垂れ下がっているのを見て胆(きも)をつぶし、ただちに王位の返上を申し出たという故事。

130. 便りのないのはよい便り ( たよりのないのはよいたより )

 手紙が来ないのは無事な証拠であるから、安心していてよい。
 【参考】 No news is good news. の訳語。

131. 足らぬは余るよりよし ( たらぬはあまるよりよし )

 すべて物事は足りないくらいがよく、あり余るのはかえってよくない。 古歌に、「こと足れば足るにまかせてこと足らず、足らでこと足る身こそ安けれ」というのがある。

132. 足るを知る者は富む ( たるをしるものはとむ )

 満足することを知っているものは、たとえ貧しくとも精神的には富んで豊かである。

133. 足るを知れば辱められず ( たるをしればはずかしめられず )

 足るを知って、余分の欲を出さなければ、恥をかくこともなく、身を誤ることもない。

134. 誰か烏の雌雄を知らん ( たれかからすのしゆうをしらん )

 人の善悪は、外形だけではわからない。是非・善悪の判断しにくいたとえ。 烏の雌(めす)と雄(おす)とはどちらも黒くて同じ形だから、だれが見分けられるだろうか、という意味。

135. 誰でも自分の荷が一番重いと思う
   ( だれでもじぶんのにがいちばんおもいとおもう )

 他人の仕事はみんな楽な仕事に見えるが、やってみれば案外自分の仕事よりむずかしいものだ。
 【参考】 Every one thinks his sack heaviest. の訳語。

136. 弾劾 ( だんがい )

 罪や不正を調べあばいて、訴えること。

137. 短気は損気 ( たんきはそんき )

 短気を起こすと、うまくいくはずの物事も失敗に終わることが多くなり、結局自分が損をする、という意味で、短気を戒めた言葉。
 【参考】 「損気」は「短気」にごろを合わせたもの。
 【例】 「おまえはいつも結論を急ぐから、短気は損気で、話がまとまらないんだ」

138. 短気は未練の初め ( たんきはみれんのはじめ )

 短気を起こすと後悔することが多いので、未練の心が起こるようになる、という意味。

139. 断機の戒め ( だんきのいましめ )

 物事は中途でやめては何もならないという戒め。孟子が勉学の途中で家に帰ったとき、 その母が織りかけの機の織物を裁ち切って、学問を中途でやめるのはこれと同じであると戒め、 再び師のもとに帰らせたという故事。

140. 断金の交わり ( だんきんのまじわり )

 きわめて堅い友情。金をも切断するほどに強固に結ばれた友情。
 【類句】 金蘭の契り / 刎頸の交わり

141. 端倪すべからず ( たんげいすべからず )

 物事の成り行きを見通すことができない。はかり知ることができない。 「端」は山頂、「倪」は水のほとり。物事の始めと終わりの意。

142. 団結は力なり ( だんけつはちからなり )

 ひとりひとりの力は小さくても、大勢が一致団結して事に当たれば強い力を持つ。
 【参考】 Union is strength. の訳語。

143. 談合柱 ( だんごうばしら )

 話し合いのたよりとする人。「談合」は、談じ合い、話し合い、相談。

144. 単糸線を成さず ( たんしせんをなさず )

 糸はよりあわせてできるもので、一本だけではできるものではない。 相手がなくては何事もできないことのたとえ。

145. 男子家を出ずれば七人の敵あり
   ( だんしいえをいずればしちにんのてきあり )

 男はいったんしきいをまたいで家を出れば、多くの敵があるものだ。 したがって、事をなすに当たっては、細心の注意を払うことがたいせつ、という意味。

146. 男子の一言金鉄の如し ( だんしのいちごんきんてつのごとし )

 男が一たび口にした言葉や約束事は、金や鉄のように堅く、絶対に守らなければならない。

147. 断じて行なえば鬼神もこれを避く
   ( だんじておこなえばきしんもこれをさく )

 堅く決意したうえで迷わずに決行すれば鬼神も恐れてこれを避け、何ものも妨げることは出来ない。

148. 男女七歳にして席を同じゅうせず
   ( だんじょしちさいにしてせきをおなじゅうせず )

 七歳ともなれば男女の区別を明らかにし、みだりになれ親しんではいけない。
 【参考】 「席」は部屋ではなく、「ござ・むしろ」のこと。昔は、土間にござを敷き、一枚に四人まで座った。 一枚のござの上に一緒に座らないという意で、同じ部屋にいないということではない。 一つのソファーに一緒に腰掛けないということは、今でも良家の子女の守るべきマナーである。

149. タン石の儲え ( たんせきのたくわえ )

 わずかな米穀のたくわえ。転じて、わずかなたくわえ。「タン」は二石、「石」は一石。 ともに中国の量目の単位で、米穀のわずかなこと。転じて、わずかなこと。

150. 胆大心小 ( たんだいしんしょう )

 人は度胸は大きくもち、心は細かいことにも注意を払うべきである。

151. 断腸 ( だんちょう )

 きわめて悲しいこと。悲しみのあまり、はらわたがちぎれるような思いがする形容。 晋(しん)の桓温(かんおん)が舟で三峡を通った時、従者が猿(さる)の子を捕らえて舟に乗せた。 母猿が悲しい泣き声を立てながら、岸に沿ってどこまでもあとを追いかけて来て、ついに舟に飛び込んで悶死(もんし)した。 その腹を裂いて見ると腸が細かくちぎれていたという故事。

152. 単なれば則ち折れ易く衆なれば則ち摧け難し
   ( たんなればすなわちおれやすくしゅうなればすなわちくじけがたし )

 一本だけのものなら折れやすいが、大勢まとまればくじけにくい。 毛利元就が三子に弓を折らせ、兄弟が仲良く結束することをさとしたのは有名だが、中国にもこれに似た話がある。

153. 短兵急 ( たんぺいきゅう )

 だしぬけ。にわか。無遠慮で突然な、行動や表現をいう。 「短兵」は短い武器。刀剣の類。刀剣を手にして敵に迫り、急に襲いかかる意。

154. 短慮功を成さず ( たんりょこうをなさず )

 「短慮」とは短気のことで、あせっては事を成しとげられないとのいましめ。

155. 短を捨てて長を取る ( たんをすててちょうをとる )

 短所や欠点を捨てて、よいところだけを選び取る。是非を見きわめすぐれた点を自分のものとする。

156. 短を護る ( たんをまもる )

 人に不得手なことを強要せず、人の短所や欠点をかばってやること。 また、自分の短所をさらけ出さないようにすること。

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